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ケニア:安全な水を届けるための給水システムが完成しました

2012年12月25日  ケニア緊急支援
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水販売所と給水塔の前で

「今まで2時間かかっていた水汲みが5分で済むようになるよ」。完成した水販売所と給水塔の前で話すペレズ・ワ・カセクさん(57歳)とふたりの孫。右端は駐在員の高城大吾

AARは、干ばつ被害に苦しむケニア東部州キツイ県ムトモ郡で、安全な水を届ける支援を行ってきました。ムトモ郡では、井戸の数が不十分なため、多くの人々が川の水や雨水に頼った生活をしています。水汲み場にたどりつくまでに片道3時間かかる人もいるなど、水汲みは時間と労力の要る作業です。川が干上がる乾季には乾いた川底を掘り、そこから湧き出る水を生活用水として使いますが、干ばつが起こるとその湧き水すら入手が困難になります。水汲みは主に女性や子どもたちの仕事になっており、学校での勉強や農作業の時間が水汲みに充てられることもしばしばあります。

繰り返す干ばつの被害を軽減するため、AARは、乾季でも枯れない約54mの深さの井戸から水を汲みあげ、のべ約17kmのパイプラインを通して4ヵ所の販売所に水を送る仕組みをつくりました。この仕組みにより、住民は水販売所で安全な水を購入することができ、その売り上げは、井戸から水を汲み上げるモーターの燃料費や修繕費に充てられます。地域の方々が長期的に活用できるよう、売上げや設備の管理を行う水管理委員会も販売所ごとに設置し、2012年10月、給水システムが完成しました。

地域住民 約5,500人が安全な水を入手できるようになりました

移譲式での記念撮影

「私たちの手でしっかり管理・運営していきます」政府や水公社、販売所の水管理委員会のメンバー。左端は駐在員の松本理恵(2012年10月30日)

10月中旬、すべての水販売所に確実に水が届くことを確認し、10月30日にパイプラインや販売所、給水塔などからなる給水システムに関わる施設を政府機関である水公社に移譲しました。施設を移譲する際には、地元政府、水公社、各販売所の水管理委員会のメンバーが立ち会いました。移譲後の給水システムは、水公社と地域住民によって管理・運営されていきます。立ち会った水管理委員会のメンバーは、「(販売所が近くにできたことで)、地域の人々がきれいな水を手に入れることができる。これらの仕組みは私たち(水管理委員会)が責任をもって管理していきます。本当にありがとう。」と力強い声を聞かせてくれました。

販売開始!どの給水所も大盛況です

水販売所に並ぶ人々

近くに雑貨店があるマケレ販売所は常に大勢の人が利用しています(2012年11月13日)

施設の引き渡し後も事業地を訪れ、給水システムが問題なく稼働していることを確認してきました。各販売所では、大勢の住民たちがポリタンクを持って列をつくっていました。引き渡しから2週間後に行った住民への聞き取り調査では、事業開始前は、水汲みに1~2時間掛かる住民が半数以上でしたが、事業開始後は、15~30分ですむ住民が八割以上となり、水汲みに掛かる時間が大幅に短縮されことがわかりました。

AARは今後もケニアで干ばつ被害に苦しむ人々や、干ばつ被害を軽減するための支援活動を継続していく予定です。

水販売所の前で

いよいよ開店。管理委員会のメンバーが準備をするなか、もうたくさんのポリタンクが並んでいるマケレ販売所(2012年11月2日)

ポリタンクを担いだロバ

水をいれたポリタンクを運ぶロバがいっぱい!ンザラニ販売所(2012年11月8日)

水販売所の前でインタビューに応える女性

「安心してきれいな水が飲める。本当にありがとう」インタビューに答えてくれました(ンザラニ販売所、2012年11月13日)

ポリタンクを担いだロバと子どもたち

子どもたちも大喜びです(トゥビラ販売所、2012年11月3日)

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ケニア事務所駐在 高城 大吾

民間企業を経て、イギリスの大学院で紛争からの復興支援を学ぶ。2011年5月よりAAR東京事務局にて勤務し、福島県での支援を中心に東日本大震災緊急・復興支援などに従事。2012年2月よりケニア駐在員

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