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東日本大震災:子どもたちが思いっきり遊べる合宿を開催しています

2014年01月09日  日本緊急支援
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AARでは、高い放射線量の影響で、屋外で遊ぶことができなくなった福島県浜通りの子どもたちと保護者を対象に、『西会津ワクワク子ども塾』を開催しています。このイベントは、親子に屋外で思いきり遊んでもらい、避難生活によるストレスや運動不足を解消してもらおうと、2011年7月から行っている1泊2日の合宿です。2013年11月2日~3日に開催した第8回目の様子を東京事務局の松浦純子が報告します。

1日目:楽しいイベントが盛りだくさん。「すぐに友達になったよ」

農園でしいたけをとる子ども

西会津市の『御寧農園』にご協力いただき、しいたけを収穫しました。初めての体験に子どもたちはワクワク。同農園は念入りな放射能対策を行っています(2013年11月2日)

今回は、福島県相馬市の子どもたちとその家族に加えて、地元の子どもたちとも交流を深めてもらおうと、西会津町からも参加者を募りました。その結果、合計12家族、35人の親子が参加してくださり、にぎやかな笑顔の絶えない2日間となりました。

初日は、地元のそば打ち名人木村さんによる、とっておきのそばを昼食に食べるところからスタートしました。その後は、地元の農家にお邪魔し、1日目のメインイベント「しいたけ狩り」。西会津の子どもたちもここで合流し、一緒にしいたけ狩りを楽しみました。取れたてのしいたけをその場で炭火で焼き、みんなで美味しく食べました。「おいしー」「しいたけってこんなに大きいんだ!」と歓声が沸き、大人からも「ビールが飲みたくなるね」との声が聞こえ、大好評。お腹が満たされた後は、宿泊施設に併設された体育館やプール、裏山のツリーハウスなどで思い思いに遊びました。

最初は緊張していた子どもたちも、前から友だちだったのかと思うほど、すぐに打ち解け合っていました。参加者全員で準備をしたバーベキューの夕食に、花火や温泉と盛りだくさんでしたが、子どもたちは最後まで元気いっぱいで楽しんでいました。

森の中で遊ぶ子どもたち

自然いっぱいの西会津。ブランコやツリーハウスで思いっきり身体を動かしました(2013年11月2日)

夜の花火大会

バーベキューの後は花火大会。年上の子どもたちが積極的に小さな子たちの花火に点火してくれました(2013年11月2日)

2日目:サプライズの「宝探しゲーム」に子どもたちは大興奮

木のうろに隠された銀色のたまご

宝探しゲームのたまごです。金・銀・銅の3色のたまごが隠されていました(2013年11月3日)

2日目の朝は参加者全員で朝ごはんの支度をすることから始まりました。前日にクタクタになるまで遊んだのに、子どもたちは朝から元気いっぱい。そのパワーに大人がびっくりするほどでした。朝ごはんも終わりに近づいたころ、AAR職員の浅野の「裏山でたまごを産んできたから探しに行ってきて!」と突然の号令で、宝探しゲームがはじまりました。後片付けを大急ぎで終わらせ、「よーいスタート」の掛け声とともに、子どもたちは目を輝かせ、裏山へ駆け出しました。

一生懸命、草むらや木の根元を探す子どもたち。職員が早起きしてひそかに隠していた8個のたまごはあっという間に見つけられてしまいました。枯葉が溜まったところを掘り起こしながら、「たまごが産みやすそう」と探す可愛らしい姿や、年上の子が年下の小さな子に見つけたたまごを譲っているすてきな場面も見ることができました。「金」「銀」「銅」に塗られたたまごを見つけた子どもたちには、その色に合わせて、ささやかなプレゼントが手渡されました。

2日目最後は、廃校となった小学校を利用した国際芸術村で、自然織り(草木そのものを糸として織る織物)に挑戦。子どもたちは集中して作業に取り掛かっていました。それぞれの個性豊かなコースターが織りあがりました。

金のたまごを手にした子ども

「見つけたよ!」発見したのは金のたまごでした(2013年11月3日)

自然織りに取り組む

元気に遊んでいた子どもたちも、工作の時間は集中していました(2013年11月3日)

「思い切り遊んでくれることがうれしい」

10歳のお子さんと参加したあるお母さんは「震災後引っ越して、なかなか友だちができずにいたのが、このキャンプでは、思いきり遊んでくれるのでとても嬉しいです。私も同じような立場の方と情報交換もできるので、毎回参加しています」と話してくださいました。入退院を繰り返していることもあり、なかなか学校に行けないというそのお子さんも、この合宿はいつも楽しみにしているとのこと。今回も退院して2日目ながら、「子どもがどうしても行きたいと言うので参加した」と話してくれました。

私は、震災後に東北に行くのは初めてでした。「大変な状況にある子どもたちのために、何ができるのか。どんな言葉をかけてあげられるのか」といろいろ悩んで参加しました。しかし、子どもたちと遊び、思いっきり笑い合ううちに、そんな気負いもなくなり自然に楽しく接することができるようになりました。「強い好奇心」や「何でも楽しめる力」「誰とでも仲良くなれる柔軟な心」。そんな子どもたちの持つ素晴らしい力に触れることができました。そして、子どもたちを本当に大切に思うお母さんたちの強い気持ちを感じた2日間でもありました。

合宿には、食材や調味料をご提供くださったキッコーマン株式会社から、4名の方がボランティアとしてご参加くださいました。子どもたちと遊んだり、美味しいミネストローネ(大好評でした!)をご用意くださるなど、合宿を盛り上げてくださいました。また、地元西会津町の商工観光課の皆さまにも会場の手配や設営などでご尽力いただきました。ご協力くださったすべての皆さまに心より御礼申し上げます。

SLの前での記念写真

「はい、チーズ!」SL「ばんえつ物語」号の前でみんなで記念撮影(2013年11月3日、福島県西会津市)

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 松浦 純子

大学卒業後、国際協力、人権保護などを行うNGOで、経理や支援者窓口、海外事業などさまざまな業務を担当した後、2013年7月よりAARへ。神奈川県出身

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