東日本大震災:「目標に向かってがんばって」被災地で健康づくり講習会
マラソンランナーの谷川真理 理事が被災地で健康づくり
被災地では、狭い仮設住宅での生活による運動不足や子どもたちの肥満などが問題となっています。2014年2月10日から12日にかけて、マラソンランナーの谷川真理AAR理事が岩手県釜石市を訪問し、健康づくりに役立つ講習会を行いました。
「こんなに降るなんて」。地元の人も驚くほどの大雪の中、釜石市内の2つの仮設住宅で、ご高齢の方向けにストレッチ教室を行いました。各集会場それぞれ約10名の参加者に、狭い場所でもできるストレッチを紹介。ひざや腰を痛めている方も多く、日常的に運動をされている方はほとんどいません。谷川理事は、「今日だけではなく、これからもテレビを見ながらでいいから続けてくださいね」と参加者に声をかけました。体を動かした後は、お茶を飲みながら仮設での生活やマラソンのことなど、理事を囲んで話が弾みました。「いつもテレビで見ている谷川さんが来てくれるというので楽しみにしていた」と、小さな会場は笑い声であふれました。
地元の学校を訪れてマラソン講習会も
鵜住居小学校と大平中学校の2校では、マラソン講習会を行いました。自宅や校舎を津波で失い、通学時間が長くなったり、仮設住宅の狭さなどが原因で、両校では子どもたちの運動不足が問題になっています。数々のマラソン大会で優勝を果たした谷川理事は、実は「高校時代は練習が嫌いだった」と語り、「社会人になり、目標を持ってから本気で練習をするようになった。"やる"という気持ちを継続させ、目標に向かってがんばって」と、子どもたちを激励しました。そして、準備運動のやり方や早く走るコツを伝授。足を高く上げたり、体育館を何周も走ったり、慣れない動きに「きつい!」「もう足が上がらないよ」と、あちこちから声が聞こえてきますが、みんな一生懸命ついていきます。太平中学の生徒の皆さんからは、「今日学んだことを次の体育祭で活かしたい」「私たちテニス部も大会に向けて、たくさんの壁を乗り越えていきたいと思った」などの感想が寄せられました。
マラソンを楽しむ笑顔にほっとしながらも、「鵜住居小の子どもたちが大人びた表情をしているのが衝撃的だった。辛い体験をし、これから一生懸命生きていかなくてはいけないんだという気持ちが伝わってくるようだった」と谷川理事。「難しいと思うけれど、被災した方にとって何が本当に必要か、もし自分だったらどうか、ということを考えて支援をしていきたい」と語っています。谷川理事の、日々の健康づくりに役立つ講習と、軽快な語りに、笑顔が生まれた3日間でした。
この活動は、カタール フレンド基金の助成を受けて実施しています。
カタール フレンド基金とは? |
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カタール フレンド基金は、2012年1月に設立された、東日本大震災の被災地復興を支援するカタール国の基金です。カタール国の前首長シェイク・ハマド・ビン・ハリーファ・アール・サーニ殿下の指揮の下、ハリッド・ビン・モハメド・アルアティーヤ カタール国務大臣の主導で活動しています。ヨセフ・モハメド・ビラール駐日カタール国特命全権大使が議長を務め、親善大使には俳優の別所哲也さんが就任しています。復興が本格化する2012年1月から2014年12月の3年間にわたり、「子どもたちの教育」「健康」「水産業」の3分野を支援するプロジェクトを対象に、総額で約1億ドルの活動資金の助成を行う予定です。東日本大震災の復興に向けた歩みを、被災地と共に手を携えながら進めてゆく友でありたい、というカタール国の願いと意志が込められています。 |
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 山田かおり
2007年11月より東京事務局で広報・支援者担当。国内のNGOに約8年勤務後、AARへ。静岡県出身