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南スーダン緊急支援:安全な水の供給が急がれます

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戦闘の続く南スーダンを逃れ、隣国ケニアのカクマ難民キャンプに避難してきた人々は26,000人に上ります(3月14日現在)。同キャンプで支援活動を行う南スーダン事務所駐在員の土川大城(だいじょう)が、現在の支援活動と、人々の状況をお伝えします。

南スーダンの方々へのインタビューの様子

避難してきた人々にインタビュー調査を行うAARの土川大城(写真左 2014年3月12日)

水浸しの難民キャンプ

難民キャンプに辿りついたばかりの人々が体を休めるテントが浸水。疲れ切った体で、別の場所に移動しなければなりません(2014年3月14日)

2013年12月に首都ジュバで勃発した政治紛争に端を発した戦闘により、これまでに数千人の命が失われました。93万人以上がふるさとを追われ、そのうち約22万人が国境を越えて、隣接する諸国へと避難しています。現在も南スーダン国内での戦闘は拡大しており、今後更なる難民数の増加が予想されています。(2014年3月14日現在 UNOCHA<国連人道問題調整事務所>)
 AARが今年2月より調査、支援を行っているケニアのカクマ難民キャンプは1992年に設置され、近隣諸国からの難民、約13万人が既に生活していました。2013年12月以降南スーダン騒乱から避難してきた人々の急激な増加により、キャンプは収容能力を越えつつあります。キャンプでは水・食料・テント・衣類など、生活必需品が圧倒的に不足していますが、特に生活用水の不足が深刻な問題です。国連機関は給水車でキャンプ内に水を配付していますが、大雨が降り続くと路面状態が悪化し、給水車がキャンプまで辿りつけなくなることもあります。このため安全な水が足りなくなり、地面に溜まった水を飲まざるを得ない人々が増え、衛生状態の悪化も懸念されています。

給水車

降り続いた雨で道路がぬかるみ、キャンプの手前で立ち往生してしまった給水車(2014年3月19日)

現在AARは国連機関や他の国際NGOと協力して、安定的に安全な水を供給するための給水システムを建設する計画を進めています。AARはキャンプから北東約5キロの場所に位置する井戸とキャンプ内で既に稼働している給水塔を繋ぐ、全長約4.5キロの給水パイプの敷設を担当する予定です。4月から本格的となる雨季でも安全な水が手に入るよう、準備を進めています。

戦火を逃れた人々の声から―「隣にいた友人は撃たれて亡くなりました」
マーサ・ソッドさん

マーサ・ソッドさん(25歳)。夫は昨年6月に病死。3人の子どもたちはまだ南スーダンにいるはずですが、連絡がつきません。現在は難民キャンプで弟と暮らしています。

「夫の死後、私は3人の子どもたちと私の母に仕送りをするため、家から車で2時間程離れた首都ジュバで1人で暮らしながら、通行人にお茶を売って収入を得ていました。

ジュバでの戦闘は昨年12月、突然始まりました。母も子どもたちも携帯電話を持っていないので、連絡を取ることもできず、逃げるしかありませんでした。民兵が私たちの住む家々を襲撃しているのが見えたので、友人と国連機関の敷地内に走って逃げました。友人は途中、流れ弾に当たって亡くなりました。母と子どもたちはきっと無事だと信じていますが、今も消息はわかりません。」

テントの内部

現在マーサさんが弟と暮らしているテントの内部。地面に直接布団を敷いて眠ります。テントの奥に固まっているのが、マーサさんの持ち物のすべてです(2014年3月11日)

「私はもう南スーダンには戻らないでしょう。子どもたちもカクマ難民キャンプに呼び寄せたいです。私はまた起業して、子どもたちにケニアで教育を受けさせたいと思っています。」

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

南スーダン事務所駐在 土川 大城(だいじょう)

2012年10月より東京事務局でケニア事業、南スーダン事業を担当。2013年4月より駐在員として南スーダンで井戸掘削事業、ケニアのカクマ難民キャンプでの支援を担当

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