活動ニュース

東日本:障がい者施設に図書室を

2014年06月23日  日本緊急支援
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AAR Japan[難民を助ける会]では、福島、宮城、岩手の3県で、東日本大震災により被災した障がい者施設に、図書室を設置し図書を寄贈しています。震災による環境の変化に戸惑う障がい児の心の安定などに、おおいに役立っています。

大型絵本で子どもたちの感性が豊かに ‐福島‐

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大型絵本が届いてから、職員による読み聞かせが大切な時間になりました。AARが支援した「絵本の部屋」で

社会福祉法人いわき福音協会「なずなホーム」(いわき市)は、震災でいわき市に移り住む障がい児が増えたため、福島県からの受託で新たに開設された通所施設です。現在は18名の障がい児が登録し、慣れない土地での避難生活と育児の不安を抱える親のサポートも行っています。AARはこの4月、同施設に「絵本の部屋」を支援しました。大型絵本を数多く配置したところ、読書が嫌いだった子どもも、自宅にある絵本の何倍もの大きさの絵本に興味を示すようになりました。大型絵本は小さいサイズよりも発達障がい児が理解しやすく、以前よりも物語のイメージを膨らませたり、新しい物語を思いつくなど、積極的に読書に関わるようになりました。職員の方々も、「子どもたちの感性がどんどん豊かになっています」と喜んでいます。

子どもたちの心が落ち着く場 ‐宮城‐

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「たけちゃんち」の図書室は、子どもたちが落ち着ける大切な場所です。地域の方々にも開放されています

NPO法人幸創「たけちゃんち」(多賀城市)は、障がいのある小学生から中学生までの250名が放課後や長期休暇中に通う施設です。東日本大震災で津波の 被害に遭い、約3年前に現在の場所に施設を移しました。近くに図書館もない同施設の、「子どもたちが落ち着ける場所を作りたい」という希望に応え、昨年8 月にAARが図書室を増設し、図書139冊を寄贈しました。高野幸男代表も「自由に本を読める場ができたことで、子どもたちの感情も安定するようになっ た」と話してくださいました。今では子どもたちの大切な居場所のひとつです。施設では図書室を地域の方々にも開放していて、「障がい児への理解を深め、交 流する場になれば」と期待しています。

障がいについて学び、憩う空間を‐岩手‐

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るんびにい美術館の三井信義館長(左端)と、絵本を楽しむ利用者の皆さん。右はAAR東北事務所長・加藤亜季子

社会福祉法人光林会「るんびにい美術館」(花巻市)は、知的障がいのある方々による作品を常時展示している美術館です。昨年6月、AARの支援で1階カフェ脇に図書コーナーができました。震災直後、急激な状況の変化に対応できない特性のある知的障がい者の方々がパニックを起こし、大勢が集まる避難所から出て行くよう言われるなどの事例が多くありました。こうした経験をした施設からの「災害時でも障がい者を受け入れてもらえるよう、知的障がいへの理解を深める場が欲しい」という要望に応えたものです。障がいに関する図書や地元の作家・宮沢賢治の絵本など369冊を寄贈したところ、来館者にも好評です。美術作品の作り手である障がい者の方々と交流する機会も生まれています。

来館者と障がいのある方々が自然に交流できる空間づくりを心がけているという同館のアートディレクター・板垣 崇志さんは、「図書コーナーを通じて、障がいのある方々や、お子さま連れのお客さまなど、沢山の方々へ喜びに満ちた空間を提供できるようになりました」と話してくださいました。

AARは引き続き、被災地の障がい者施設へ、図書室の設置と図書の寄贈をすすめてまいります。

※この活動は、皆さまからのあたたかいご寄付に加え、カタールフレンド基金(東日本大震災の被災地復興を支援する中東カタール国のチャリティ基金)の助成を受けて実施しています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

仙台事務所 小笠原 裕子

2011年4月よりAAR仙台事務所勤務。自身も東日本大震災で被災し、「同じように大変な思いをされた方々の力になれば」とAARへ。「皆さんからの"ありがとう"が支えです」。2児の母(秋田県出身)

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