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ハイチ:清潔にすると気持ちも爽快に

2014年10月15日  ハイチ感染症対策
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10月15日は「世界手洗いの日」

AARの活動する世界の多くの地域では今も、安全な水の不足と衛生に対する知識の欠如から、日本では防ぐことのできる感染症で、子どもを中心に多くの方々が命を落としています。

ハイチでは2010年の大地震以降、不衛生な水を感染源の一つとしてコレラが爆発的に広がり、感染率は世界で最も高いままです。紛争を逃れて来た多くの人々が避難生活を送るパキスタン北西部や、繰り返す干ばつによって、遊牧することができなくなった人々の定住が進むケニア北東部でも、住民は不衛生な水を使わざるを得ない状況です。

AARはこうした国々で、井戸やトイレ、手洗い場などを建設し、安全な水を供給するとともに、石けんを使った正しい手洗い方法やトイレを使うことの重要性などを住民に伝え、衛生的な行動が習慣化するよう取り組んでいます。

サクレ・クール小学校の子どもたち

「どこで排泄するのが正しいか言ってみよう」トイレや手洗いについての絵を見せながら、子どもたちの衛生知識を確認するAARハイチ事務所スタッフと、サクレ・クール小学校の子どもたち(2014 年3 月25 日)

学んだことを家庭で実践

子どもたちへの講習

AARの衛生講習を受けた教師が、子どもたちに衛生知識を伝えています(2014年5月29日)

ハイチではトイレの普及率が低く、屋外の排泄物にとまったハエなどで汚染された食べ物が感染症を引き起こします。また正しい衛生知識の不足から、生活用水の殺菌、排泄後や食前の手洗いなどが習慣化されていないことが感染症を蔓延させる主な原因です。AARは2013年より、首都ポルトープランス郊外のカルフール地区の5つの小学校で、トイレや手洗い場を建設・整備するとともに、教師や児童に掃除や手洗い方法などの衛生知識や、トイレを衛生的に保つことの重要性を伝えています。学んだことを実生活でどのように活かしているのか、東京事務局の本多麻純がご報告します。

「衛生的な環境で、身体も心も気持ち良く過ごせます」

手洗いする子ども

トイレのすぐ近くに設置した手洗い場で石けんで手洗いする子ども(2014年5月29日)

AAR の衛生講習を受けたアレクサンドラさんは、学校で率先して清掃活動をしたり、講習で学んだことをほかの児童に伝えています。家でも、排泄後や食前の手洗い、飲料水の煮沸、浄水剤による殺菌方法、清掃、食べ物の保管方法など、習ったことを家族に伝え、実践しているそうです。トイレを清潔に保つことで、「いい匂いがして、きれいな気持ちになる」と話してくれました。

「できることから始めよう」家族みんなで感染症予防

ジルベルトさん

ジルベルトさんと子どもたち。「一緒に食前の手洗いをするようになりました」(2014年8月19日)

2014年2月からAARは子どもたちが家庭でも衛生的な習慣を保つことができるよう、保護者向けの講習会も行っています。ジルベルトさん(38歳) は、これまで子どもへの指導どころか、自身が外から帰ってすぐ手を洗わずご飯を食べていましたが、講習会で手洗いが感染症の危険性を大幅に減らすことを知 り、食前の手洗いをするようになりました。また講習会で実際に手を洗ってみたり、どのように教えたら子どもが衛生知識を実践できるようになるかを学んだこ とで、「伝え方を少し工夫すればきちんと伝わることがわかりました」と喜んでいました。

レガルさん

「(衛生知識を実践して)健康的に暮らせるようになりました」と、レガルさん(右)と子どもたち(2014年8月19日)

レガルさん(28歳)は、「一番役に立っているのは飲み水の保管方法と地域の環境美化の重要性を知ったこと」と迷わず答えてくれました。「これまでも殺菌 用の浄水剤は使っていたけれど、感染症の媒介となるハエや蚊の接触を防ぐことは考えていませんでした」と語りながら、しっかりとふたをした容器に入れた水 を見せてくれました。また、地域全体の環境美化が蚊やハエの発生を防ぎ、感染症予防になることを知って、自宅だけでなく、家の前の道路を掃除したり、外で もごみをポイ捨てせずに持ち帰るようになったそうです。

今回訪問した家庭では、講習会に参加した方が中心となって家庭内での衛生習慣を見直したことで、トイレや室内が清潔に保たれ、手洗いの習慣化など衛生行動に変化が見られました。AARは今後も、一人ひとりが実践できる衛生知識を伝えてまいります。

※この活動は皆さまからのご寄付に加え、外務省日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 本多 麻純(ますみ)

2011年9月より東京事務局で主にハイチ事業を担当。米国の大学で文化人類学を専攻し、民間企業勤務を経てAARへ。(東京都出身)

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