ネパール地震緊急支援:一刻も早く子どもたちが安心して学べる場所を
学校が再開したものの...
AARの緊急支援チームは4月25日にネパールを襲った大地震を受け、山間部のダーディン郡タサルプー村で活動を続けています。5月9日から21日にかけて、同村に住む全1,299世帯の住民に、食料、テント資材と生活用品を配付しました。現在は、タサルプー村および近隣のタクレ村およびジブンプール村で、仮設校舎の建設にむけた調査を行っています。
地震から約1ヵ月間、被災地域ではすべての学校が休校し、5月31日から一部の学校が再開しました。再開までの間、ダーディン郡の教育局が派遣したエンジニアが各村の学校を回り、建物の安全性を確認し、倒壊の危険がある教室については赤いマークを、安全性が確認された教室には緑マークをつけました。AARが支援物資を配付したタサルプー村には学校が11校ありますが、そのうち7校の45教室に赤いマークがつけられ、倒壊の危険があると認定されました。タクレ村は10校中7校の53教室、ジブンプール村は11校中10校の52教室が危険と認定されました。ただ、マークで判別した後の、その後の対処方針が示されていないため、赤いマークがついた校舎を使い続けている学校もあれば、使用を控えている学校もあります。
倒壊の危険のある教室に通う子どもたち
アンジャリ・タパさん(10歳)はタクレ村第6区の小学校に通う5年生。父親と妹3人の5人家族です。4月25日の地震で家が倒壊してしまいましたが、幸い家族は全員無事でした。倒壊した自宅からトタン屋根を拾い、竹の柱を使って雨露をしのぐ場所を作り、今はそこで寝ています。学校の制服も靴も、学用品もすべて倒壊した家の下敷きになってしまったため、私服とサンダル履きで通学しています。教科書などは同級生に貸してもらっています。学校が中断している間は毎日遊んで過ごしていて、はやく学校が始まらないかな、とよく考えていたそうです。5月31日より学校が再開し、「友達と会えてとても嬉しいけれど、 地震がいつまた起こるかと考えると不安です」と話していました。
ティルタクマリ・シャンタンさん(24歳)は、タサルプール村第9区の小中学校の教員です。学校が再開して子どもたちと会ったところ、子どもたちの様子が少し違っていました。いつ地震が来るか不安で落ち着かない様子で、床が揺れていると錯覚し、訴える子どももいます。ネパール政府は、学校を再開してから1週間は、授業を行わず生徒の心理的カウンセリング活動に専念することを決め、各教員はカウンセリングのための研修を受けました。 子どもたちはゲームを通じたカウンセリングの最中は地震のことを忘れて楽しそうにしていますが、ゲームが終わると再び地震のことを思い出している様子です。「政府から危険だと判定を受けている校舎に毎日来て仕事をするのは不安です。早く安全で心が休まる場所に教室を移転してもらいたい」と語っていました。仮設校舎の建築が急がれます。引き続き、皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。
※この活動は、皆さまからのあたたかいご支援に加え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受けて実施しています。
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【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 柿澤 福郎(かきざわ ふくろう)
2013年5月よりAAR東京事務局でアフガニスタン、パキスタン事業などを担当。2013年フィリピン台風、2015年バヌアツサイクロンなどの緊急支援にも従事。34歳、神奈川県出身