ネパール:地震から3ヵ月 山間部の村は今
2015年4月25日に大地震に襲われたネパール。AAR Japan[難民を助ける会]は4月29日に現地入りし、緊急支援として食料や生活必需品の配付を行いました。現在は支援の手が届きにくい山間部のダーディン郡を中心に、支援活動を継続しています。震災から3ヵ月が経過したネパールの今を、駐在員の土川大城が報告します。
「新しい家を建てるのが怖い」
AARは首都カトマンズから車で3時間ほどの山あいの村、ダーディン郡タサルプー村で活動しています。タサルプー村は被害が甚大であったにも関わらず、AARが支援に入るまでは政府からの食料配付が一度あったきりでした。山頂付近にある7区の住民は、地震後2週間以上、拾った布などを屋根にした急ごしらえの小屋で眠っていました。そこでAARは、同村1区から9区までの全1299世帯を対象に、米や塩、油などの食料と、床敷用マット、蚊帳などの生活必需品、また、6月からの雨季に備えてテント用資材を配付しました。
もともとのこの地域の家屋は土や石などで作られていましたが、ネパールでは80年ぶりといわれる大地震を経験し、ほとんどの方がまだ新しい家を建てることを怖がっています。今後もしばらくは、雨と風がしのげるだけの小屋での生活が続きそうです。
子どもたちが安心して学べる学校を
山間部の村では、食べものや寝るところなど生活に必要な最低限のものは確保されてきましたが、学校など公共施設の再建は全く手をつけられていません。そのため、AARは、タサルプー村および近隣のタクレ村、ジブンプール村、ガガンパニ村、ケヴァルプール村の5村で、計25棟の仮設校舎とトイレの建設を進めています。校長先生や地元行政の要望も聞きながら、仮設の校舎ではありますが、少しでも耐震性の高いものを作っています。子どもたちが安全で安心できる環境で勉強できるよう、建設を急いでいます。
※この活動は、皆さまからのあたたかいご支援に加え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受けて実施しています。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
ネパール事務所 土川 大城
2012年10月よりAARへ。東京事務局での勤務と南スーダン駐在を経て、2015年7月からネパール事務所駐在。大学を卒業後、日本でシステムエンジニア、高校教師などを経て、オーストラリアの大学院で開発経済学を専攻。岩手県生まれ、インド育ち