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ネパールの子どもに、安心して勉強できる場所を

2015年10月06日  ネパール緊急支援
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ネパールがマグニチュード7.9の地震に襲われてから5ヵ月。首都カトマンズの西にあるダディン郡は震災で大きな被害を受け、校舎が倒壊または損傷したために教室が不足しています。壊れた壁を撤去した状態で授業を続ける学校もありましたが、子どもたちが勉強するにはあまりに危険な環境でした。そのためAAR Japan[難民を助ける会]は、今後10年間は使える教室を目指し、鉄骨を使い、レンガ造りの壁とトタン屋根からなる仮設校舎を建設しています。

壁の壊れた学校

壊れた壁を撤去し、細い柱がむき出しの教室。危険な環境での授業を強いられていました(2015年8月25日、写真はすべてネパール・ダディン郡)

完成した仮設校舎

AARの支援によりレンガの壁とトタン屋根を使った鉄骨造りの仮設校舎が完成しました(2015年8月25日)

仮設校舎の教室で学ぶ子どもたち

完成した仮設校舎で安心して学ぶ子どもたち(2015年8月25日)

1棟につき2つの教室が入っている構造で、危険な状態の校舎の使用を強いられている17校で、26棟を建設する予定です。すでに12棟・24教室を地元の学校運営委員会に引き渡すことができました。これにより、非常に危険な環境で勉強していた生徒が安心して勉強できるようになりました。また、教室が足りず複数の学年が一緒に勉強をしなければいけないなどの問題を抱えていた学校が、スムーズな運営をできるようになりました。26棟・52教室すべてが完成すれば、2,080人の子どもが安全な学校で勉強できるようになります。将来は医者になりたいというカリカ小学校1年生のスベイチャちゃん(6歳)は「新しい学校を作ってくれてありがとう」と話してくれました。

カリカ小学校1年生のスベイチャちゃん

「将来は医者になりたい」というカリカ小学校1年生のスベイチャちゃん(2015年8月27日)

今回の支援でもっとも苦労したのは、仮設校舎を建てる際の土地を確保することでした。学校を建てるにはまとまった平坦な土地が必要ですが、山がちなネパールにおいて、このような土地の確保は困難を極めます。また多くの学校は、政府の調査によって「危険」と判断された教室を使うことを禁じられています。これらの教室を撤去することもできず、政府による修繕を待っていますが、いつになるかわからない状況です。こうした学校のニーズに応えるため、地震直後多くの支援団体が、空いている土地にトタンと竹材を使って簡単にできる簡易校舎を建設しました。しかし雨季に入りこうした校舎の何棟かは、水漏れなどにより勉強には適さない状況になってきています。とはいえ、AARがこれらの校舎を撤去して、仮設校舎を建てることもできません。こうした事情から、いくつかの学校では、土地不足により建設をあきらめざるを得ませんでした。

歌を披露する男子児童

仮設校舎の譲渡式で男子児童が歌を披露してくれました(左端からAARの土川大城、藤本矩大、2015年8月18日)

さまざまな苦労や悩みはありますが、今、実に多くの子どもたちが、震災によるトラウマをものともせず、学校で遊んでいる光景に思わず笑みが浮かびます。ある小学校では、仮設校舎の譲渡式で、地震で両親を亡くした男子生徒が歌を披露してくれました。とても困難な環境であるにもかかわらず、感謝の意を表して歌ってくれた生徒の姿に、思わず胸が苦しくなりました。仮設校舎が完成し学校に通えるようになっても、失った肉親や友人は戻ってきませんが、再開した学校で受ける教育が、生き残った子どもたちの人生を少しでも明るくする力になってほしいと思います。

※この活動は、皆さまからのあたたかいご支援に加え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受けて実施しています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

ネパール事務所 土川 大城

2015年7月よりネパール事務所駐在。大学卒業後、システムエンジニアなどを経て、オーストラリアの大学院で開発経済学を専攻し、AARへ。岩手県生まれ、インド育ち

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