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東日本大震災:障がいのある方のものづくり支援

2017年02月27日  日本障がい者支援
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東日本大震災からもうすぐ6年が経ちます。AAR Japan[難民を助ける会]は、発災直後から緊急支援を実施し、現在は原発事故により放射線の影響を受けた地域の子どもたちの支援、障がい者の作業所の支援、仮設住宅での高齢者の支援などを続けています。
そのなかで、公益財団法人イオンワンパーセントクラブさまよりいただいた「障がい者ものづくり応援募金」を活用し、岩手、宮城、福島の3県で、のべ107施設の障がい者の就労支援施設への支援を実施しています。本募金は、イオンのお客さまからの募金に、同クラブがマッチングしてお寄せいただいたものです。この募金を活用した活動の一部をご紹介します。

多くの人に商品をアピールする場を

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「ナイスハートバザールinいわて」の会場の様子(2016年11月)

岩手県では、11月19日、20日にイオンモール盛岡南店で、社会福祉法人岩手県社会福祉協議会、障がい者福祉協議会、いわて障がい者就労支援センター、共同受注センターとともに、「ナイスハートバザールinいわて」を開催しました。このイベントは2010年から開催されており、岩手の障がい者施設で作られた商品を販売しています。今回は33事業所が出店しました。
AARは、共催団体として、商品を陳列するガラスケースや棚などを提供しました。今回は800名以上の方が来場し、2日で約70万円を売り上げました。来店したお客さまからは、「このイベントをいつも楽しみにしています」「見た目もいいし味もおいしいです」などの感想をいただき、障がい者施設の商品をアピールすることができました。

新たな顧客獲得につながる支援

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お弁当を持つポッケの森の職員・星野幸様(右)と施設の利用者の方(中央)。左はAAR仙台事務所の小笠原裕子(2016年7月)

公共施設や高齢者、障がい者宅の給食・配食サービスを実施している宮城県の障がい者就労支援事業所「ポッケの森」では、AARはこれまでお弁当のメニュー開発を支援してきました。 そして今回、さらに販路を拡大するために、再利用可能なお弁当箱と、車載冷蔵庫を提供しました。
再利用可能なお弁当箱にしたことで、環境に配慮した団体など、新規の顧客獲得に向けて営業活動ができるようになります。また、車載冷蔵庫によって、品質を維持しながらイベントなどで要冷蔵のお菓子を販売できるようになりました。

新しい土地での再スタートを後押し

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あおばで利用者の皆さんが制作された人形(2016年10月)

福島県の「地域活動センターあおば」は、震災前までは福島県双葉郡双葉町で活動していましたが、原子力発電所の事故後、福島市に移転。これまでは双葉町に帰還することも考慮し、活動のための拠点を整備することができずにいましたが、このたび、このまま福島市を活動拠点としていくことを決意。これから長く活動を続けていけるよう、AARは新しい事務所用に家具を提供しました。

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あおばで作業をする利用者と職員の皆さん(2016年10月)

あおばでは、織機などを使って、手芸品を制作・販売しています。予算が限られていたことから、これまで作業台として会議用机とパイプいすを使っていました。会議用机を並べて使うと隙間ができてしまうため作業がしづらく、固いパイプいすは、身体に障がいのある利用者の体に負担がかかってしまっていました。そこでAARは、足が固定式の作業台とキャスター付きのいすを提供しました。小さい机を並べるのではなく一つの大きな机を使うことで、机と机の間の隙間がなくなり、いすにキャスターが付いたことで、身体に障がいのある方も作業しやすくなりました。所長の高山文子さんは、「パイプいすと会議机を使っていたときと比べて作業の効率が上がり、疲れにくくなりました」と話してくださいました。

東日本大震災で被害を受けた福祉事業所の多くでは、こうした設備を整えたり、備品を新調することさえ資金的に難しく、また、販路の拡大にも苦労しています。AARはそれぞれの就労支援施設が抱えている課題をくみ取り、これからも細やかな支援を行ってまいります。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 櫻井 佑樹

大学卒業後、民間財団に勤務したのち、イギリスの大学院で平和学を学ぶ。パキスタンでのNGO勤務を経て、2012年8月よりAARへ。ザンビア、タジキスタンでの駐在を経て、東京事務局で東北事業を担当。

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