メディアで見ないシリア。佐賀で講演会を開催
AAR Japan[難民を助ける会]が、昨年8月に佐賀市に事務所を開設してから1年。昨年11月に佐賀事務所開設記念イベント「シリアー難民の現実と私たちにできることー」を開催した際、「できればシリア人からも直接お話を聞きたい」との声をいただきました。そこで今年7月、佐賀県西九州大学と佐賀県国際交流プラザで、「メディアで見ないシリア」と題した講演会を開催し、5月にAARに入職したシリア出身のラガド・アドリーが、紛争が起きる前のシリアについてお話ししました。
「本当のシリアを知ってほしい」
7月11日には、佐賀県の西九州大学の佐賀キャンパスで、12日には同大学の神崎キャンパスで講演し、合わせて204名の学生が参加してくださいました。ラガドがシリアの歴史や宗教、戦争前の日常生活や食文化などについてお話しし、最後に学生の皆さんに対して「ほかの国で起こっていることだから自分に関係ないと思わないでほしい。まずは知って、自分に何ができるのかを考えてみてほしいです」と伝えました。
参加した学生の皆さんからは、「シリアに抱いていたイメージが事実とこんなに違うのかと衝撃を受けました。紛争状態になる前のシリアはとてもきれいな街並みだったことを、もっとたくさんの人に知ってもらいたいです。平和な日々が戻ったら行ってみたいです」「亡くなる人は数ではない。それぞれ1人ずつストーリーがある、という言葉が印象に残っています」など多くの感想をいただきました。
また、7月11日には、佐賀県国際交流プラザで一般の方を対象とした公開講座を開催し、ここでもラガドが普段報道で目にすることのないシリアの実像についてお話ししました。わざわざ遠方から足を運んでくださった方など、41名の方にご参加いただき、「今紛争の中にあるシリアの人たちにも、平和で穏やかな日常生活があったことを知り、とてもつらい気持ちになりました」「一刻も早くシリアが元の状態に戻ることを祈るばかりです。シリア情勢についてもっと日本人が知る必要があると思います。ラガドさんにはもっと日本中で講義をしてほしいです」「荒れてしまった地域であるというイメージが覆されました。戦闘が始まったのがほんの6年前だということにとても驚きました。たくさん本を読んだりしてまた考えを深めたいです」など多くの声をいただくことができました。
佐賀事務所では、今後も国際理解につながる啓発活動を行ってまいります。7月22日には、佐賀NGOネットワーク主催の公開講座が佐賀県国際交流プラザで開催され、佐賀事務所所長の久保田雅文が、世界の感染症をテーマに講義を行い、AARの活動についてお話ししました。佐賀NGOネットワークの公開講座は隔月で行われており、どなたでもご参加可能です。お近くの方、ぜひお気軽にご参加ください。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
佐賀事務所 糸山 麻耶
2016年11月より現職。短大卒業後、民間企業での勤務を経てAAR佐賀事務所へ。佐賀県出身