パキスタン、タジキスタン:感染拡大を防ぐ―新型コロナウイルス緊急支援
AAR Japan[難民を助ける会]は、新型コロナウイルス緊急支援を国内外で行っています。物資配付を続けているパキスタン、そして、衛生啓発活動を始めたタジキスタンでの活動について、報告します。
パキスタン 2回目の物資配付を実施
「夫が日雇い労働で家族を養ってきましたが、街がロックダウンされて仕事に行けなくなりました。収入が無くなり、途方に暮れていたところでした」。2人の障がい児を育てている母親は、物資を届けたAAR現地スタッフに、こう話しました。
AARが活動しているパキスタンでは4月27日時点で、13,328名の感染が確認され、281名が亡くなっています(パキスタン政府発表)。初めて感染者が確認された2月下旬以降、感染者は増え続けています。
4月23日と24日、AARは、ハイバルパフトゥンハー州ハリプール郡で、4月9日から数日間にわたり実施した物資配付に続き、2回目の配付を行いました。障がい児が暮らす家庭を対象に、マスクや石けんなどの衛生用品、収入が減り食費の負担が増すため、小麦粉や油などの食料、ストレスへのケアの方法が書かれたリーフレットを届けました。
また市街地から離れた家庭では、新型コロナウイルスに関する十分な情報が届いておらず、「どうやって予防したらいいのかわからない」という声も聞かれました。消毒液の使い方を知らない家庭もあり、今回の支援を担当しているAAR現地スタッフやボランティアが使い方を伝えました。
(1回目の物資配付についてはこちら)
収入が途絶え、食料不足に
約11年前に事故で父親を亡くし、足に障がいがあるウスマン君(11歳)の家庭では、兄が雑貨店で働いて一家を養っていました。しかし、新型コロナウイルス対策のため、政府が街をロックダウンすると、店も閉められてしまいました。収入が途絶えたため食料を買うこともできず、近所の人たちに食べ物を分けてもらい、なんとか暮らしていました。AAR現地スタッフやボランティアが家庭を訪ねると、母親が涙ぐみながら話してくれました。「私と息子たちは、これからの生活を考えるととても不安で、支援が届くことを心待ちにしていたんです。やっと、自分で食事を作ることができます」
支援の最中に聞いた「きらきら星」
緊急支援にあたるメンバーたちが元気づけられた出会いもありました。
生まれつき、背骨に障がいがあり、歩くことができないナジュワちゃん(5歳)。スタッフが支援物資を届けると、お礼に「Twinkle twinkle little star...」と、英語で「きらきら星」を歌ってくれました。二人の姉から歌や勉強を教わっているナジュワちゃんは、AAR現地スタッフが感染防止の方法を伝えるステッカーを渡すと、興味津々で手洗いの方法などを尋ねてくれました。また、「学校に通いたい」と元気よく話すナジュワちゃんの姿を見て、それまでたくさんの家庭を回り疲れきっていたAAR現地スタッフやボランティアは、さらに支援を頑張っていこうと力をもらいました。
また、ナジュワちゃんも学校に通えるように、AAR現地スタッフは母親へ、AARが地元の学校で行っているバリアフリー設備の整備や、障がい児を受け入れるための教員向け研修などの取り組みについて紹介しました。
ウスマン君やナジュワちゃんのように、2回目の物資配付で訪問した家庭の児童のほとんどは、経済的な貧しさや障がいを理由に就学ができていません。パキスタンでは現在、新型コロナウイルスの影響で、全ての学校が閉鎖されていますが、学校が再開した後、AARは子どもたちが安心して学校に通えるように、同じ家庭に対して就学支援を行う予定です。
今後も緊急支援を継続
パキスタンでは、1回目と2回目の緊急支援を合わせて、計56世帯へ物資を届けました。今後、さらに60世帯への支援を計画しています。
タジキスタン:感染予防のための知識と実践を
タジキスタンでは、4月29日に新型コロナウイルスの感染者が初めて確認されました。十分な医療設備が整っていない同国では予防が欠かせないため、AARは感染者が確認される前から衛生啓発活動を実施し、今後も継続いたします。
AARは同国で、障がいのあるなしに関わらず、誰もが学べる学校づくりを目指すインクルーシブ教育の推進を目指し活動しています。2018年からは支援先の学校と子ども向けの劇を上演する劇団と協力し、インクルーシブ教育を題材にした劇を企画・上演しています。4月23日、劇を観に訪れた生徒と保護者たちへ、新型コロナウイルスに関する基本的な情報や予防方法を伝える時間を設けました。タジキスタンでは劇の開催日までに、人が集まるイベントの中止要請などはでていませんでしたが、観客の人数を減らして行いました。
AAR現地スタッフから、石けんを使った正しい手洗い方法、目や口元を手で触らないこと、感染予防のために人と一定の距離を保つことなどのポイントを、分かりやすくするために絵を入れたスライドや、タジキスタンの保健省が作成した動画を使いながら説明しました。この衛生教育セッションでは、約750名に情報を届けました。手洗いなどの重要性は、子どもたちも分かっていたものの、「目や鼻などを触らないようにすることや、人との距離を保つことについては知らなかった」という声が聞かれました。
昨年、AARはインクルーシブ教育を推進するため、障がい児一人ひとりに合わせた学習をサポートする学習支援室を建設しました。この学習支援室に通う生徒や、インクルーシブ教育に関する啓発活動に参加する地域の方々など、約800名にAAR現地職員から手洗い方法など感染予防のための情報を届けていく計画を立てています。4月29日に新型コロナウイルスの感染者が確認されたことを受け、より一層、安全の確保を第一に進めてまいります。
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