ミャンマー避難民:2,598世帯に緊急支援物資配付、女性や子ども、障がい者、お年寄りに最大限配慮
ミャンマー西部ラカイン州から隣国バングラデシュに逃れたイスラム系少数派の避難民が暮らす同国コックスバザール県の避難民キャンプで、AAR Japan[難民を助ける会]は1月29、30日の両日、合計2598世帯に緊急支援物資を配付しました。
毛布・蚊帳・衣類を配付
数キロ四方のエリアに60万人余りの避難民が密集する通称"メガキャンプ"。その中核に位置するクトゥパロン避難民キャンプ内の配給所に、クーポンを手にした人々が続々と集まりました。AARが現地のキリスト教系NGO「Bangladesh Nazarene Mission」(BNM、本部ダッカ)と協力して準備した支援物資は、1世帯あたり毛布2枚、蚊帳1張、大人用・子ども用の衣服それぞれ2着です。
キャンプ内の配給所を管理するバングラデシュ政府や避難民のボランティアと協力して、人々に順番を守って並んでもらい、事前登録の際に配ったクーポンを確認しながら、支援物資を詰めたバックを1人ひとりに渡していきます。ときおり強風による砂ぼこりが舞う中、トラック3台で運び込んだ支援物資を配るのに約1時間半かかりました。
より支援がいきわたりにくい人々に配慮
配付に先立ってキャンプ内で3日間行った聞き取り調査では、女性や子どもが世帯主の家庭、お年寄りや障がい者、幼い子どもがいる家族を確認し、こうした社会的に脆弱な人々が支援からこぼれ落ちないように最大限配慮しました。生後7カ月の男児を抱いて配給所に来たアイシャさん(22歳)は、25歳の夫と5人の子どもと一緒に昨年8月末、ミャンマー治安部隊による弾圧を逃れて、5日間歩いて国境を越え、クトゥパロン避難民キャンプにたどり着いたと語ってくれました。避難のさなか、もともと病弱だった夫の父親と兄が食料もなく疲れ切って亡くなったといいます。
アイシャさんは「着の身着のまま逃げてきたので、配給される食料や生活物資が頼りです。幼い子どもが5人いるので、毛布も蚊帳も子ども服もとても助かります。大切に使います」と話すとともに、「配給は2週間に1度と知らされていますが、実際には1カ月に1度のこともありました。コメやイモ、豆類などが配給されますが、私たちがいつも食べていた魚などはもらえません。子どもたちにもっと食べさせてやりたいのですが」と訴えます。
課題が山積する避難民キャンプ
ミャンマー、バングラデシュ両政府が発表した1月下旬からの避難民のミャンマーへの帰還は始まっておらず、問題の長期化は必至の情勢です。食料や衣類、生活用品の配付だけでなく、より安全な住居や給水・トイレなどの施設の建設、子どもの教育、女性の保護など多くの課題が残されています。
AARは皆さまから寄せられたご寄付その他の資金を使って、公共トイレと水浴び場、井戸の建設などを進めています。引き続き、皆さまのご支援をお願い申し上げます。
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【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
バングラデシュ・コックスバザール事務所 中坪 央暁
大学卒業後、新聞社で特派員、編集デスクを経験。ジャーナリストとして平和構築支援の現地取材に携わった後、2017年12月にAARへ。栃木県出身