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ケニア・ザンビア:一人ひとりの人生を継続して支えるために

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AAR Japan[難民を助ける会]が難民支援を行うケニアとザンビア。2018年1月、活動地を訪問した、広報部長 伊藤かおりの報告です。

多様な背景の難民たち

今回の出張でも、あらためて感じたことがいくつもあります。そのひとつが、難民と呼ばれる人たちが実に多様であるということです。ケニアのカクマ難民キャンプだけをとっても、南スーダンやコンゴ共和国をはじめ、18ヵ国から18万人もの難民が暮らしています。一人ひとりに目を向ければ、元政府関係者もいれば農業従事者も会社員も自営業者も、教師もいます。高等教育を受けた人、母国では教育を受けられなかった人。逃れてきたばかりの人、数十年間を難民キャンプで暮らしている人、難民として生まれた人。その全員が、本来なら母国から与えられるはずのものを、何も持たずにいるのです。難民に最も必要な支援は何ですか、と時々聞かれますが、こうした状況ですから、「あらゆることです」、と言うしかありません。

井戸から水を汲む駐在員の直江を、住民が見守る様子

ザンビアでは、紛争終結後も母国に戻れなかった元難民の定住支援を実施。安全な水の提供とともに、新たなコミュニティづくりを支援しています。右はザンビア駐在員の直江篤志(ザンビア・メヘバ、2018年1月18日)

多くの困難を一つひとつ乗り越えて

もうひとつ感じたのは、どんな支援でも非常にさまざまな支援のピースが集まってやっと可能になる、ということです。カクマ難民キャンプでは、AARは中等教育の支援をしています。支援校の校長先生らに話を聞くと、「学校の数が足りない、あっても施設や設備がまったく足りない」と口を揃えます。AARの駐在員からは、「学校があっても制服や文房具が買えない、遠くて通えない、親が教育に理解を示さない、という子どもがたくさんいる」という話を聞きました。ある生徒の保護者は、「自分は失業しているので、子どもの文房具や服などを買うために、手に入ったわずかな食料を売らざるをえない」と話していました。保護者の就労、早期結婚や若年妊娠の問題、教員の給与、医療、そのほか、課題を挙げたらきりがありません。さらに難民を受け入れている地元住民への配慮も欠かせません。カクマのあるトゥルカナ地域は経済的に貧しく、難民の受け入れが大きな負担であるだけでなく、住民自身が教育を受けられずにいる中、キャンプの中だけに支援が集中しては大きな軋轢が生じます。地元住民への支援も、難民支援の大事な要素になっています。

どの支援も、教育という大目標のために必要なピースです。受け入れ国がすべてを負担することは不可能ですし、国連だけでも、ひとつのNGOだけでも完成しません。だからこそ、それぞれができることを、協力や調整をしながら、ともに進めていくことが大切です。

数名の生徒が、教室で教科書を読む様子

AARが支援する中等校で学ぶ生徒たち。厳しい環境の中でも、「卒業後は会計のプロになりたい」「ジャーナリストになりたい」など、大きな夢をもって熱心に学んでいます。奥はケニア駐在員の兼山優希(ケニア・カクマ難民キャンプ、2018年1月12日)

「人」の豊かさを実感

支援の現場に行くと、いつもまず、「ない」ものの多さ、大きさに圧倒されます。それから取材を進め、たくさんの方にお会いするうちに、今度は「ある」ものの豊かさに気づかされます。限られた紙面でひとつ挙げるとすれば、それは「人」です。難民の方たち、受け入れ国の人々、AARで働く現地スタッフ、彼らの強靭な精神や意志、献身、勇気、知恵......。私も何か、必ずできる、いや、できるまで努力しよう、そんな力が、今回の出張でも湧いてきました。

後藤と男性が笑顔で話している

ザンビア駐在員の後藤由布子(ザンビア・メヘバ、2018年1月20日)

金森が笑顔でこちらを向いている

駐在員の金森大輔(ザンビア・ルサカ、2018年1月17日)

乳児がお母さんに抱かれている、雨宮が乳児に優しく微笑みかけてる

ウガンダ駐在員の雨宮知子(ケニア・カクマ難民キャンプ、2018年1月12日)

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 広報部長 伊藤 かおり

2007年11月より東京事務局で広報・支援者担当。国内のNGOに約8年勤務後、AARへ。静岡県出身

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