ウガンダ:12,362 人の子どもたちに文房具を届けました
2018年4月から6月にかけて実施した「南スーダン難民の子どもたちを学校へ」キャンペーンに、312名※の皆さまより4,177,248円のご寄付をお寄せいただきました。ご協力いただきました皆さまに心より御礼申し上げます。
9月下旬、お預かりしたご寄付を活用し、ウガンダ北部にあるユンベ県のビディビディ難民居住地の6校に通う12,362人の子どもたちにノートや鉛筆、ペンなどの文房具を届けました。現地からの報告です。
※Yahoo 募金を通じてご寄付くださった方々は、お名前などを特定できないため、含まれておりません。ご了承ください。
不足する文房具を子どもたちに
2016年7月の南スーダン国内の戦闘の激化により、大量の難民がウガンダに押し寄せました。翌8月に開設されたビディビディ難民居住地には、約30万人が生活しています。AAR Japan[難民を助ける会]は同年9月より支援を開始し、校舎の建設や学校の運営などを行っています。しかし、子どもたちに十分な文房具を用意できずにいました。ノートがないために課題や宿題ができず、授業についていけなくなり、通学をあきらめる子どもが出てきました。1人でも多くの子どもに勉強を続けてもらうため、広く支援を呼びかけました。
9月27日、ビディビディ難民居住地にあるアイブ初等教育校を訪れると、炎天の下、何百人もの子どもたちが歓声を上げ、私たちを迎えてくれました。AARがビディビディ難民居住地で支援する6校のうち、アイブ初等教育校は2番目に生徒数が多く、2,264人が通っています。
同校の校長を始め、教員やボランティアの協力のもと、文房具の配付を行いました。列で順番を待つ子どもたちに持ち物を見せてもらうと、以前AARが提供したかばんを大事に持っている子、4cmほどの短さになった鉛筆を持っている子もいました。子どもたちはノートや鉛筆、ペンを受け取ると大事に抱え、嬉しそうな表情を見せてくれました。1年生の児童は、カメラを向けると元気いっぱいに集まってきます。7年生の教室では、背の高い生徒が一斉に日本語で「ありがとう」と言ってくれました。
「学校で友達に囲まれているときが幸せ」
エマニュエルさん(14歳)は2年前、南スーダンに父親と4人の兄弟を残し、母親とウガンダに避難してきました。「家族が離れ離れでとても寂しい。でもここで勉強を続けて将来はエンジニアになって建築の仕事がしたい」と夢を語ってくれました。
ヘレンさん(13歳)の両親は、ヘレンさんが幼少のころ離婚。両親と3人の兄弟は南スーダンにいますが、ヘレンさんは10年前、里親となった父親に引き取られ、ウガンダで暮らしています。「将来は看護師になって、人の世話をする仕事がしたい。学校で友達に囲まれているときが幸せ」と話してくれました。
子どもたちが安心して学べる環境を
子どもたちに話を聞くと、複雑な事情を抱えた子が多く、その無邪気さや明るさからは想像できないような過酷な経験をしています。家族と離れ離れで暮らす悲しみを抱き、母子または子どもだけで生計を立てて生活する困難さは計り知れません。それでも、「学校で友達と一緒にいることが幸せ」と話してくれたように、学校が子どもたちの居場所の1つになっていると思うと、学校を存続させ、より良い環境を整えていく必要性を強く感じます。キャンペーンへのご協力に改めて御礼申し上げます。
AARは、耐久性の高い校舎への建て替えや、教員への研修、不足する備品の提供など、教育環境の整備を通じて、今後も子どもたちを支えていきます。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
ウガンダ事務所 藤田 綾
2018年8月よりウガンダ事務所に駐在。大学で開発経済学を専攻。卒業後、開発コンサルティング会社に就職。パキスタンの職業訓練校の運営管理などに従事した後AARへ。千葉県出身