難民に関するグローバル・コンパクトが国連で採択
圧倒的多数の賛成:難民問題に世界中で取り組むことが合意されました
去る12月17日(ニューヨーク時間)、国連総会で「難民に関するグローバル・コンパクト」という文書が採択されました。これは「難民問題に世界各国が連携して取り組んでいこう」という意思を示すもので、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)主導のもと、2年かけて国連加盟国や国際機関、NGO、企業などとともに議論が行われてきました。AARのスタッフも、ジュネーブで開かれた公式協議に今年5月と7月の2度にわたりオブザーバー参加し、その様子をホームページで報告してきました。
最新の国連の報告では、強制的に住むところを追われた人々は世界中で6850万人に達し、その内2540万人が国境を越えて難民となっています。日本で報道されるのは欧州に渡った難民に関する内容が多いですが、難民の実に85%は低・中所得国に身を寄せており、元々経済的に脆弱な国々が、難民受け入れや支援の負担の多くを担っているのが現状です。
「難民に関するグローバル・コンパクト」はそうした事情に鑑みて、難民問題を特定の国だけの問題とせず、あらゆる国で連携して取り組んでいくことを合意するものです。17日の国連総会では、この案に対し、アメリカとハンガリーが反対票を投じました。大国アメリカや、多くの難民が身を寄せるハンガリーが棄権したことは残念ではありますが、181ヵ国の大多数の賛成をもって採択されたことは、大きな意味があります。この採択を受け、来年には各国の取り組みの進捗を報告する4年に一度の「グローバル難民フォーラム」が開催される予定であるほか、「社会全体でのアプローチ」という考え方に基づき、各国で様々な施策が実行されることが期待されます。
AARは1979年にインドシナ難民の支援から活動を始め、現在もシリア難民や南スーダン難民、アフガン難民等、世界各地で難民支援を継続しています。この未曽有の難民危機を生み出す紛争や迫害等の解決を切に願いながら、今後も支援活動に邁進してまいります。
●「難民に関するグローバル・コンパクト」とは(UNHCRによる解説)