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ウガンダ: 新型コロナウイルス緊急支援を開始 -難民の人々が安心して明日を迎えられるように-

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東アフリカに位置するウガンダでは、隣国南スーダンの紛争より逃れてきた約88万人の避難民が暮らしています。AAR Japan[難民を助ける会]は2016年から、1人でも多くの難民の子どもたちが就学できるよう、ウガンダ北西部の南スーダン難民居住地にて、教育支援を行ってきました。しかし、いま新型コロナウイルス感染症の世界的流行により支援活動は大きな影響を受けています。

2020年5月8日時点で、ウガンダ国内で爆発的な感染拡大は見られていません。しかし、元々、経済・社会的に不安定な地域で、移動制限などによる経済の停滞は人々の生活をより困難にし、治安の悪化もみられます。そのため、ウイルス感染の予防対策と同時に、人々の不安を取り除くための支援が一刻も早く求められています。ウガンダの難民居住地における新型コロナウイルス感染症の影響と、それを受けて実施する支援活動について、ウガンダ駐在員の藤田綾が報告します。

ウガンダにおける新型コロナウイルスの状況

ウガンダにおける新型コロナウイルスの感染状況は、総感染者数101人、死亡者数0人と、爆発的な感染拡大はみられていません。(2020年5月8日現在)。これは感染が世界各地で拡大し始めた3月中旬から、ウガンダ政府が学校の閉鎖や私用車での移動禁止といった厳格な規制をいち早く設けたことも影響しているのかもしれません。

私たち駐在員も、学校の閉鎖や移動制限といった規制を受けて、準備してきた活動を一部取りやめなくてはならなくなりました。3月下旬には、現地駐在員4名はやるせない思いを抱えながら臨時便で日本に一時退避することになりました。治安の悪化が懸念されることや、もし私たちが感染し、重症化した場合、活動地から医療の整った病院は車で10時間以上も離れているため多くの人から支援を受けなければならない状況に陥ると判断したためです。現在、私たちは、安全に配慮しながらも「今こそ踏ん張らなくては」と難民居住地近くの事務所に残る頼もしい現地スタッフたちと一緒に、現地政府や国際機関、他のNGO団体と調整しながら現地への影響やニーズ、支援状況について情報収集を行い、新型コロナウイルスに対応した緊急支援と予定していた支援活動の計画策定や見直し、実施の準備を進めています。

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ユンベ県にあるAAR事務所の現地スタッフたち(2020年1月、ユンベ県)

感染の恐怖より、飢餓や暴力に対する恐怖

ウガンダの難民居住地では、ウイルス感染自体よりも、飢餓や暴力に対する不安や恐怖の方が大きくなっています。例えば、支援団体の配付物資が減ることや価格高騰によって、食料や日用品が手に入らなくなるかもしれない、マラリアに罹っても病院に行けないかもしれない、治安が悪化したら事件や暴力に巻き込まれるかもしれない、といった不安です。

実際に、ウガンダ政府の感染予防対策によって、移動や行動が厳しく制限されるようになってから約1ヵ月が経ち、難民居住地では多くの影響が出始めています。
以下は、難民居住地にいる南スーダン難民の人々からの報告です。

「食料を確保するのに必死です。国連世界食糧計画(WFP)から配付される食糧が大幅に減りました。人々は食料を十分に得られないことでストレスが溜まっていて、生き残るために食料を探し求めて歩き回っています。また水供給センターでは管理者が難民居住地に入れなくなり、故障が多くなってきたことで、井戸の給水所で大混雑が起こっています。感染予防をしたくても手も洗えない人がたくさんいます。(ムクリア・ジョゼフさん、男性)」

「難民を受け入れていたウガンダ人たちも感染や飢餓を恐れるようになり、私たち難民との共存を拒むようになってきています。先日は、受け入れ地域(ウガンダ人が居住する難民を受け入れている地域)で、難民の女性が住民に殴られて重傷を負いました。(ラドゥ・チャールズさん、男性)」

「女性や子どもへの家庭内暴力が多発しています。ある女性は、家計の支えの現金収入が減ったせいで、夫から暴行を受けました。(ポニー・ベティさん、女性)」

「私の住む地区では、性的暴力が増えています。中には7歳の女の子が50代の男性にレイプされるという悲しい事件も起きました。(アムレ・アレックスさん、男性)」

私たち駐在員が日本に帰国してからの約1ヵ月の間に、難民居住地で起こった多くの痛ましい事件が次々と報告されています。


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新型コロナウイルス感染症の影響前の、給水所の様子。メンテナンスが滞ると水道が故障し、家庭まで水を運べなくなることもあるといいます。(2018年8月、ビディビディ居住地)

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感染予防で各家庭に設置が命じられた簡易手洗い場(写真はUNHCR提供、2020年4月)

社会的に弱い立場の人々が、安心して明日を迎えられるための支援を

新型コロナウイルスは、ただでさえ困難の多い難民の人々の生活に、大きな恐怖や不安をもたらしています。その上、教会やモスクでのお祈りや集会を通じた人々の交流も制限されているため、難民の心理的なストレスも高まり、さらに立場の弱い女性や子どもが、そのはけ口になっています。悲しいことに、加害者からの仕返しを恐れ、こういった家庭内暴力事件や性的暴力事件は表面化しないことも多いといいます。

AARはこれまで、難民への支援だけでなく、難民と難民の受け入れ地域の住民の平和的共存のための活動にも取り組んできました。しかし、新型コロナウイルスの影響により、それまで時間をかけて築いてきた難民と受け入れ地域の人々の関係もあっという間に崩れていきます。人々の気持ちが荒み感情的になること、家庭内暴力や性的暴力が増えること、それが難民の中でもより社会的に弱い立場にある、女性や子どもに向いてしまうこと。これが今、難民居住地で起きていることです。

私たちが対峙すべきは、ウイルスではなく人々の抱える恐怖や不安であり、人々がどうすれば安心して安全に暮らしていけるかを考えなくてはなりません。AARは、感染拡大を予防し、難民や受け入れ地域で弱い立場に置かれた人々の恐怖や不安を少しでも和らげるため、緊急支援を開始します。緊急支援では、石けんなどの衛生用品の配付や衛生啓発による感染予防だけでなく、子どもや女性などより脆弱な立場に置かれた人々へ生活物資の配付を行います。また、ストレス増加による女性や子どもへの暴力を抑制するための啓発活動や心理的ケアの実施を検討しています。

日本を含め、世界中で人々の健康や安全、当たり前の日常が脅かされています。そんな世界的危機の中で、難民という非常に弱い立場に置かれた人々が、忘れ去られてしまわないように、支援から取り残されてしまわないように、皆さまにご協力いただけた際には、確実に支援を必要とする人々へ皆さまの想いを届けてまいります。

どうか、温かいご支援を心よりお願い申し上げます。

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新型コロナウイルス感染症が流行する直前に難民のコミュニティリーダーを対象として実施した女子教育推進ワークショップを終え修了証を手にする参加者。左から二人目が今も現地事務所で勤務する現地スタッフのアオル・アグネス、中央のバナーの右が駐在員の藤田綾。難民居住地内で移動が制限されている間も、このリーダーたちが現地で起きている事件や生活の変化などを電話で伝えてくれている。(2020年3月、インヴェピ居住地)

AAR は政治・思想・宗教的に中立の立場で、国内外を問わず、より弱い立場にある人々を 優先して支援活動を実施しています。日本を含めて、世界中の誰もが等しく新型コロナウイ ルスの脅威にさらされる今、互いの思いやりと連帯こそが、この未曽有の難局を乗り越える 力になると考えます。皆さまからの温かいご支援・ご協力を重ねてお願い申し上げます。

緊急募金にご協力ください

クレジットカードで

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    以下の口座番号と加入者宛にお振り込みください。

    三井住友銀行 目黒支店 普通 1215794 特定非営利活動法人 難民を助ける会
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    三菱東京UFJ銀行 目黒支店 普通 4520323 特定非営利活動法人 難民を助ける会
    (トクヒ)ナンミンヲタスケルカイ
    みずほ銀行 目黒支店 普通 1110211 特定非営利活動法人 難民を助ける会
    (トクヒ)ナンミンオタスケルカイ

    【ご注意】銀行からのお振り込みは、こちらでお振り込み人さまを特定できません。
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    ※振込手数料はご本人さまのご負担になります。

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    ※手数料330円はご本人さまのご負担になります。

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    以下の口座番号と加入者宛にお振り込みください。

    ※備考欄に「コロナウイルス緊急支援」とご記入ください。

    口座番号 00100-9-600
    加入者名 特定非営利活動法人 難民を助ける会

    【ご寄付くださる皆さまへ】皆様のご寄付は、ご指定の活動に活用させていただきますが、状況やニーズの変化などによっては、当初の計画よりも早い段階で活動を終了することもございます。それにより活動に必要な額をご寄付が上回った場合には、次なる緊急支援などに活用させていただきます。あらかじめご了承ください。

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    【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

     ウガンダ事務所 藤田 綾

    2018年8月よりウガンダ事務所に駐在。大学で開発経済学を専攻。卒業後、開発コンサルティング会社に就職。パキスタンの職業訓練校の運営管理などに従事した後AARへ。千葉県出身

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