ミャンマー:障がい児の家庭へ2回目の食糧配付を実施-新型コロナウイルス緊急支援
ミャンマーでは、249名が新型コロナウイルスに感染し、6名が亡くなっています(6月11日時点)。感染者の数は増え続けていますが、4月から開始した政府による外出・移動制限は、6月に入り徐々に緩和されています。感染防止対策を行ったうえで、レストランの営業もできるようになるなど、少しずつ経済活動も再開しています。しかし、緊急措置は続いており、以前からAAR Japan[難民を助ける会]が支援していた障がい児家庭はひっ迫した生活を余儀なくされています。AARミャンマー駐在員の大城洋作が報告します。
経済的に追い込まれた家庭へ、食糧を届ける
AARはミャンマーで、障がい児へのリハビリの提供や教育支援を行っています。障がい児が暮らす家庭の多くは、工事現場での日雇い労働や、小規模の家業などで生計を立てています。しかし、新型コロナウイルスの影響を受け、解雇されたり収入が大幅に減少したりしたため、日々の食事にさえ困るようになりました。
(注)ミャンマーの障がい児支援は2001年より「ミャンマー・子どもの未来(あした)プログラム」として、継続的なご寄付によって実施しています。プログラムを支援いただくと、障がい児を「里子」としてご紹介し、成長の様子をご報告しています。詳しくはこちらをご覧ください。
そこで、AARでは生活が特にひっ迫した家庭に対して、5月上旬から食糧の緊急糧配付を開始しました。その第2回目として、6月7日に15世帯へ、お米やひよこ豆、卵などが入った食糧パッケージを届けました。
経済的に不自由のない生活からの激変。それでも前へ。
脳性まひの影響で、歩行と発語に障がいがあるテッ・テッ・アウンさん(14歳)の家庭は、母親と同居する親族が働いていました。しかし、政府による新型コロナウイルスの感染防止対策により、営業停止や外出・移動制限が出された4月以降、生活は激変しました。お母さんが作った総菜を卸していたレストランは閉店し、親族が働く店も軒並み閉鎖され、一家は収入を失いました。おじさんは自転車タクシーの仕事を始めましたが、外出する人が少ないため集客できず、家計を支えらません。食糧の確保さえ厳しい中、AARはお米や卵などを届けました。6月中にはおばさんが働く店も再開されるそうで、お母さんは「本当にありがとうございます。少しずつ、以前の生活に戻れるよう前に進んでいきます」と話してくれました。
家族みんなで乗り越えていく
脳性まひのため、歩くことができないアウン・カウン・ミャッ君は6人家族です。お父さんは日雇い労働をしていますが、1日の稼ぎは日本円で500円ほどで、生活は楽ではありません。お母さんは家にあるものを売ってお金に換えたり、兄妹は工場や塾で働いています。アウン・カウン・ミャッ君のような家庭は、ミャンマーの中でも特に厳しい経済状況下で暮らしています。
新型コロナウイルスの影響で、お父さんが働く工事現場は作業が中断され、お姉さんが働く工場も閉鎖され、収入が完全に途絶えてしまいました。家族は、次男がパソコンを買うために貯めていたお金を切り崩して、何とかしのいでいる状態です。6月に入りお父さんの仕事も再開されましたが、今まで以上に厳しい待遇だそうです。AAR現地スタッフは、少しでもアウン・カウン・ミャッ君の家族が、一丸でこの危機を乗り越えていけることを願いながら、約1ヵ月分の食糧を届けました。
帰りたくても帰れない、故郷
脳性まひの障がいのあるヘイン・トゥーラ・アウン君の家族は、ミャンマーの最大都市ヤンゴンから車で4時間ほど離れたエーヤワディー地域に暮らしていましたが、両親は子どもに最適な教育環境で育てたいと、ヤンゴンに移り住むことを決めました。お母さんは子どものリハビリや勉強の手伝いなどで働けないため、日雇い労働や運送屋として働くお父さんと、大学に通いながら工場で働くお姉さんが家計を支えていました。しかし、新型コロナウイルスの蔓延後、二人の勤務先は閉鎖されました。
収入が完全に無くなり、両親は故郷に戻ることも考えましたが、政府による行動規制のため移動ができません。幸い家主に家賃を減額してもらえましたが、それでも支払えず、近所の知り合いから借金をして家賃を賄っています。ヘイン・トゥーラ・アウン君のお母さんは、「この大変な時だからこそ、AARからいただいた食糧が何倍にも大きく見えます。本当にありがとうございます」と話してくれました。
食糧に加え、衛生キットやリハビリ教本の配付を計画
今後も、経済的に困窮した家庭へ食糧を届けるとともに、感染予防のために新たにマスクや消毒液などの衛生キットの配付を行っていきます。加えて、政府による外出制限や、学校やデイケアセンターを含む教育施設の閉鎖に伴い、外出することが難しい障がい児のために、理学療法士であるAAR現地スタッフが、家族と一緒に自宅でできるリハビリの教本を作成して、配付する予定です。
収束の兆しが見えない中、ミャンマーの障がい児の家庭が元の生活を取り戻すには、継続的な支援が必要です。今後も支援届けていくために、皆さまのご協力を、どうぞよろしくお願いいたします。
*AARが運営する障がい者のための職業訓練校では、100名近くの卒業生が新型コロナウイルスの影響を受けて仕事を失うなど、障がいのある大人たちを取り巻く環境も厳しい状況です。感染症対策や障がい者支援を続けてきたAARは、今後も困難な状況に置かれた方々へ、支援を届けていきます。
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【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
ミャンマー事務所 大城 洋作
民間企業で勤務後、世界一周の旅へ。帰国後2014年4月にAARに入職し、2015年2月より約3年間、ラオス駐在員として障がい者支援に携わる。2018年4月よりミャンマーに駐在。「新たな人生を切り拓こうと励む障がい者の方々の姿に、元気をもらっています」。沖縄県出身