ロヒンギャ難民キャンプ周辺で衛生啓発活動-新型コロナウイルス緊急支援
ミャンマーから逃れた累計100万人超のイスラム少数民族ロヒンギャ(ミャンマー避難民)が滞留するバングラデシュ南東部コックスバザール県の難民キャンプで5月末、新型コロナウイルス感染によって男性(71歳)が亡くなるなど死者5人(6月末現在)が確認され、ホストコミュニティ(周辺の集落)でも感染が急速に広がっています。AAR Japan[難民を助ける会]は6月中旬以降、キャンプが点在する同県テクナフ郡の農村部で、感染予防のための衛生用品の配付、衛生啓発活動を実施しています。
農村で衛生用品配付
AARは従来からテクナフ郡の難民キャンプで水・衛生分野の支援、子どもや女性のための施設運営に加えて、貧しい農民が多いホストコミュニティでも井戸やトイレの建設を行っています。バングラデシュ国内で感染拡大が続き、コックスバザール県の農村部でも多数の死者が出ていることから、AARは現地NGOと協力して、同郡ニラ地区の165世帯に衛生用品(石けん、マスクなど)、小型タンクに蛇口が付いた手洗い器を配付しました。また、手洗いを呼び掛けるポスターを持って660世帯を戸別訪問し、注意を呼び掛けたほか、地元で「トゥムトゥム」と呼ばれる三輪バイクタクシーにスピーカーを積んで、啓発メッセージを伝えて回りました。
さらに、同郡のFMラジオ局「ラジオナフ」を通じて、コロナ感染に関する正しい情報をベンガル語で発信しました。メッセージでは「ウイルスがくしゃみ、せき、あるいは感染者に触れることで感染することを伝え、感染の予防法として「密を避ける」「仕事などやむを得ない用事以外で外出しない」「外出時はマスクをする」「他の人から少なくとも3フィート(約90センチ)離れる」「石けんで20秒以上手を洗う」など、日本でも励行されていることと同様の注意を呼び掛けています。
難民キャンプ近くのドンドミア村の女性、ベラワ・カトゥンさん(43歳)は「新型コロナウイルスのことは、よく知りませんでしたが、家庭訪問による衛生啓発のおかげで正しい知識が増えました。石けんやマスク、手洗い器をもらい、子どもたちにも手洗いさせるなど役立てています。手洗い器を見ると『石けんで手を洗おう』と思い出します」と話します。
約90万人のロヒンギャ難民が極度に密集する難民キャンプだけでなく、難民流入によって多大な影響を受けたホストコミュニティの住民も、同じようにコロナ感染の危険にさらされています。AARは引き続き、難民と地域住民の双方に配慮し、コロナ感染拡大の防止に取り組んでいきます。
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