障がい福祉事業所の運営継続を支援-新型コロナウイルス緊急支援
AAR Japan[難民を助ける会]は、日本国内の障がい関連団体・障がい福祉事業所・病院に対し、マスクや使い切りゴム手袋、消毒液などの衛生用品の配付を続けています。障がいのある方に必要なサービスを提供する福祉事業所には多くの利用者が集うだけでなく、利用者と職員の身体接触が避けられず、新型コロナウイルスへの感染が懸念されています。AARは、こうした事業所が新型コロナウイルスの感染対策をしながら運営を継続できるよう、衛生用品に加えて、職員のテレワークやオンライン会議の導入に必要な情報通信機器の提供などの支援を行っています。
「誰一人として失ってよい命などはない」
各地域の障がい福祉事業所が加盟する全国組織「きょうされん」(東京都中野区)には、マスクや使い切りゴム手袋などをお届けしました。これらの物資は、きょうされんを通じて北海道、および首都圏の会員事業所へ配付されています。きょうされんの担当者からは、「店頭でのマスク販売が徐々に始まっていますが、障がい福祉事業所ではまだまだその確保に苦悩しています。それぞれの事業所では、日々緊張感を持って踏ん張っており、行き場のない人をつくらない、誰一人として失ってよい命などはない、との思いで支援を続けています」との声をお寄せいただきました。
京都市で障がい児に療育などを提供する「福祉広場」では、医療的ケアを必要とする子どもの感染予防に不可欠な、70%以上のアルコールが含まれた消毒液が不足していました。そこでAARは、高濃度の消毒ジェルアルコールやマスク、使い切り手袋などを提供。事業所内でご活用いただくだけでなく、事業所に通われている児童の保護者や、近隣の事業所にも配付していただきました。担当者からは「たくさんの高濃度の消毒液をいただくことができ、助かりました。療育の現場でも使っていますが、在宅の時間も多いので、家でも使ってもらっています。(衛生用品が不足し)どこも困っていたので、喜ばれました。コロナ禍の早い収束を願っています」とのお言葉をいただきました。
予想を上回る、情報通信機器やサービス導入の依頼
長野県で福祉事業所などを運営する「ながのコロニー」にはマスクや使いきり手袋、保湿クリームなどの衛生用品に加えて、入所施設で新型コロナウイルスの感染者がでた場合の情報伝達や情報共有、また、職員の在宅勤務を可能にするための無線LAN機器を提供しました。
AARが70以上の障がい関連団体に実施したアンケート調査では、衛生用品だけでなく、情報通信機器やサービス導入の要望も多いことがわかりました。聴覚障がいのある方の中には外出制限によって対面コミュニケーションを図る機会が減り、不安な毎日を過ごされている方もいらっしゃいます。こうした方が手話を通じてコミュニケーションを図るため、また、職員の在宅勤務が増加したことでウェブ会議用カメラが必要なことから、現在、14の障がい関連団体・施設に情報通信機器やサービスの導入支援を実施しています。
感染拡大第二波、第三波に備えるために
障がいのある方の中には、基礎疾患や健康面に不安を抱えている方も多く、集団生活の場となる事業所では感染予防のための衛生用品が今後も必要とされています。また、障がいのある方の働く場となる作業所などでは、新型コロナウイルスの影響で仕事が減り、障がいのある方への工賃や賃金の支払いが困難になっている所もあります。利用者の生活に痛手となり、それに伴う精神面や体調への影響も心配されます。
AARは、障がい福祉事業所が、障がいのある方と、障がいのある方を支える支援者の方々の感染リスクを軽減しながら運営を継続できるよう支援を続けてまいります。皆さまの引き続きのご支援をお願い申し上げます。
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