九州豪雨:障がい福祉施設に大型冷蔵庫などを提供
7月上旬の九州豪雨(令和2年7月豪雨)は、熊本県を中心に各地で甚大な被害をもたらし、被災地では今も懸命の復旧作業が続いています。亡くなった方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
被災した施設の復旧に向けて
AAR Japan[難民を助ける会]は発生直後から NPO法人ピースプロジェクトと協力して、熊本県内の避難所で炊き出しを実施したほか、被災した障がい福祉施設に物資提供などの支援を続けています。そうした施設のひとつ、NPO法人「ワークショップひなたぼっこ」(熊本県天草市)は、身体・知的・精神の障がいのある方々に働く場所を提供し、17名の利用者が、うどんを手作りして販売していました。きつねうどん、天ぷらうどん、肉うどん、海鮮サラダうどんなど、豊富なメニューが自慢でしたが、今回の豪雨で近くの河川が増水し、うどんを作るための冷蔵庫や製氷機も浸水で使えなくなるなど深刻な被害を受けました。
AARは7月に「ひなたぼっこ」へ大型扇風機などの緊急支援物資をお届けしたのに続いて、8月中旬に業務用冷蔵庫と製氷機を提供しました。事務長の山中祥悟さんからは「うどん店の営業が本格的に再開できるようになりました。必要な支援をすべてスピーディーに進めていただき、また私たちの気持ちに寄り添った対応をしてくれて、運営面でも精神面でも救われました。とても感謝しております」というメッセージをいただきました。壊れたブロック塀の修復工事、自宅が被災した利用者の引っ越し作業も落ち着き、復旧作業が着々と進んでいます。
また、知的障がい者の活動や社会参加の場として「さをり織り」作りや袋詰めなどの受託作業を行っていた社会福祉法人「白いキャンバス福祉会」(熊本県人吉市)では、送迎用車両として所有していた車両2台とレンタカー1台がすべて浸水し、廃車になってしまいました。AARは9月に車両1台を提供する予定で手配を進めています。
1日も早く日常を取り戻すために
AARは大規模災害時、行政の支援が届きにくい障がい福祉施設・障がい当事者団体を優先して、物資提供や施設修繕などの支援を実施しています。同時に、行政が本来担うべき支援は行政に対応してもらうため、被災者の声を行政に届けるよう努めています。また、「新型コロナウイルスの影響下における国内緊急支援ガイドライン」を策定し、感染防止対策を徹底しながら緊急支援を継続しています。
被災地からは、福祉施設の再開を待ち望む多くの声が寄せられています。コロナ禍でただでさえ困難な状況ですが、1日でも早く日常を取り戻すために、AARは被災地の方々に寄り添いながら支援を続けてまいります。
*この活動は皆さまからのご寄付とともに JPF(ジャパン・プラットフォーム)からの助成金を活用して実施しています。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 野際紗綾子
2005年に入職後、東京事務局でミャンマーをはじめアジア地域事業を担当し、障がい者支援や緊急支援に従事。2009年より障害分野NGO連絡会(JANNET)幹事、2016年より日本障害者協議会(JD)企画委員を務め、2019年5月に同理事に就任。東京都出身
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