ウガンダ:初めてのラジオ発表会
AAR Japan[難民を助ける会]が活動するウガンダの難民居住地の学校は、新型コロナウイルス感染拡大により3月より休校となりました。10月に一部の学年で再開すると、久しぶりの再会に子どもたちの笑顔が教室中にはじけました。11月、AARが支援するクラブ活動の成果発表として、演劇とラジオ発表会を12の学校で行いました。駐在員の宮崎充正が報告します。
AARは2016年からウガンダの難民居住地で校舎の建設、学校やクラブ活動の運営などを行っています。子どもたちの日頃のクラブ活動の成果を、保護者や地域の方々に披露する発表会を予定していましたが、コロナ禍による大人数の集会禁止の政策を受け、ラジオでの発表会に切り替えました。
クラブ活動を、多様性を学ぶ機会に
複数の民族が暮らすウガンダでは、異なる言語や文化が入り交ざっています。加えて、難民を積極的に受け入れる同国政府の方針により、南スーダンやコンゴ民主共和国、スーダン、ルワンダ、ブルンジ、エチオピア、ソマリアなどから逃れた人々が暮らし、日本では考えられないほどの多文化が共存しています。残念ながら、互いの文化の理解や尊重が不十分で、争いが起きることも少なからずあります。だからこそ、子どものころから多文化共生に関する学びが必要です。その想いで、AARは12の支援対象の各学校にクラブ活動を立ち上げました。
演劇クラブでは、表現力を高めることを通じて心身の健康をはかることなどを目的として、歌唱やダンス、詩を詠んだりします。障がいについて理解を深めるクラブでは、異なる民族や国籍の者同士が融和して生きることの大切さや、障がいのある子どもが学校に通いやすくするための環境整備の重要性などについて学びます。こうした活動や学習の成果を詩や歌にのせて表現し、寸劇やディベート形式で発表することにしました。
発表会では、なかにはセリフがうまく言えずに悔し涙を流している子、笑顔で元気よく詩を朗読する子、楽しそうに歌を歌う子どもたちの姿が見られました。また、子どもたちの発表が成功裏に終わり、ホッと胸をなでおろす教員の姿も。ディベートでは、民族の違いや障がいのある人々との共生などをテーマにした議論があり、白熱した意見交換がラジオを通じて多くのご家庭や地域の方に届けられました。
発表会の放送後、子どもたちからは「多様性を理解し受け入れることの大切さや、障がいの有無によらない社会を実現することの大切さを学んだ」「違う民族の新しい友だちができた」といった声がきかれました。また、ラジオ局での収録という初めての経験から、「ラジオ局で働いてみたくなった」といった声もきかれました。
異文化の環境に身を置いているとはいえ、子どもたちの多くが学校と家庭の往復が大半で、狭いコミュニティの中で過ごし、視野を広げる機会が限られています。互いの発表を耳にした子どもたちが、新たな事柄に好奇心を抱いたり、勉強に一層励むきっかけとなったり、彼らの将来の可能性を広げることにつながればと願っています。
学校は徐々に再開
政府の方針により、学校はいまだ一定の制限のもとで再開しており、多くの生徒が授業を受けられていません。また、再開にあたり、マスク着用の徹底、手洗い用水タンクや消毒液の設置、検温の実施など、学校に多くの対応が求められています。こういった課題の一つ一つを、児童、教員、地域の方々とともに乗り越え、支援を継続できるよう努めて参ります。引き続き皆さまの温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。
※この活動はJPFの助成により実施しています
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【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
ウガンダ事務所 宮崎充正
2019年10月よりウガンダ事務所に駐在。大学で教育学を専攻。卒業後、青年海外協力隊員の理科教員としてマラウイ共和国に派遣。任期終了後、英国の大学院で教育開発学修士を取得したのちにAARへ。徳島県出身