
スーダン・カポエタ事務所駐在
豊井 彰一
スーダン・カポエタ事務所駐在
豊井 彰一
2010年6月よりスーダン・カポエタ事務所駐在。大学卒業後、民間企業に勤務。その後、青年海外協力隊員としてウガンダでの村落開発に携わり、帰国後難民を助ける会へ。(兵庫県出身)
記事掲載時のプロフィールです
難民を助ける会が活動するスーダン南部のカポエタで暮らすトポサの人々の食事は、いたってシンプル。今回は、トポサの人々の食生活をご紹介します。
スーダン人スタッフと、事務所近くで猛暑でも育つ野菜の栽培を始めました(右は豊井彰一)
トポサの人たちは、ほぼ毎日毎食、ソルガムという主食を食べています。ソルガムは、日本でもかつて主要穀物として家庭の食卓に並んだ稗(ひえ)の一種です。トポサの人々は年に一度の雨季(4月~11月中旬)にソルガムを栽培し、乾燥させて保管します。そうすることで、ほとんどの植物が姿を消してしまう乾季でもソルガムを食べることができるのです。
そんなソルガムの調理方法は、いたって簡単。
食感は、お餅の粘り気を少なくしザラザラさせた感じで、ほのかな甘みがあります。乾季は、このソルガムが彼らの食事です。そして食事は1日に2回だけ。朝食と昼食を兼ねた食事でソルガムを食べ、夕食にはまたソルガム。メニューはこのひとつだけです。
乾季には気温が日中最高で45℃を記録するほどの暑さが続くため、そんな環境の中でも育つオクラやモロヘイヤといった、ビタミンが豊富で乾燥に負けない野菜を一緒に食べることもあります。そして雨季になると植物が再び姿を現し、草を食べて育った牛から搾った乳を飲みます。木にフルーツが実れば食事は増え、ネズミを狩ることができた日にはご馳走にネズミも食べます。
カポエタの市場では様々な野菜や果物、米などが売られています
現金収入のある村のトポサの人々は、市場で食料を買うこともありますが、収入がない人は、当然お金を出さなくても手に入るものだけを食べます。ちなみに村人の収入の大半は薪を集めて市場で販売することで得られています。スーダンをはじめ東アフリカ周辺諸国では、米は高級品とされており、村ではお祝いの際などに限って特別にふるまわれたりします。市場で入手することもできますが、難民を助ける会の現地スタッフに聞いてみると、米よりソルガムやウガリ(とうもろこしやキャッサバなどの穀物の粉を使って、ソルガムと同じ調理法で作ったもの)の方が好きだと言います。小さいころから慣れ親しんできた味が一番ということでしょうか。
日本にいたころは、「昼食には何を食べようか」「今日の夕飯はあれが食べたい」などと毎日考えていた自分でしたが、トポサの人々の、「身近で手に入るものを食べる」という、自然の営みに沿った食生活も、また良いなと思うようになりました。「足るを知る」ことを、今日もトポサの人々から学んでいます。
ソルガム畑。とうもろこしに似ていますね
①石でソルガムを粉末状にします
②薪を使ってお湯を沸かします
③粉末状になったソルガムと熱湯を混ぜ、ヘラでこねると完成!
乾季に備え、ソルガムを保管庫で乾燥させます
この槍で捕まえたネズミがときにはご馳走に