駐在員・事務局員日記

駐在員はどんなものを食べてるの?ザンビアの主食「シマ」に迫る!

2014年01月16日  ザンビア
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執筆者

ザンビア事務所
櫻井 佑樹

大学卒業後、民間財団に勤務したのち、イギリスの大学院で平和学を学ぶ。パキスタンでのNGO勤務を経て、2012年8月よりAARへ。東京事務局でタジキスタン事業などを担当し、2013年10月よりザンビア駐在。一児の父。趣味は旅行(千葉県出身)

記事掲載時のプロフィールです

海外に駐在しているNGO職員にとって、日々の食事は業務の質やモチベーションにも影響してくる、とても重要なものです。ザンビア駐在員の櫻井佑樹が、普段どんなものを食べているかご紹介します。

主食は白トウモロコシで作った「シマ」

ザンビアはアフリカ南部の内陸の国です

私は2013年10月からザンビア共和国の首都ルサカに駐在しています。南半球にあるので日本とは季節が逆。私が赴任した頃はちょうど春から夏に入ったところで、ルサカ中心部の沿道にはアフリカの桜とも呼ばれるジャカランダの花が咲き誇っていました。人も気候も穏やかな、とても過ごしやすい国です。

さて、駐在すると必ず食べるものは地元食。ザンビアでは、「メイズ」と呼ばれる白トウモロコシの粉をお湯で練ってつくった、「シマ」(Nshima)が主食です。ケニアやタンザニアなど東アフリカの国々で食べられている「ウガリ」とよく似たものですが、製粉の仕方が少し違うようです。

皮の削り度合いで、風味の違うシマができます

ザンビアの昼食

右のお皿の中央、白い蒸しパンのようなものが「シマ」です。手で一口サイズにちぎりながら食べます

シマを作るには、まずメイズの外側の皮を削って(お米で言えば精米です)から製粉するのですが、この皮の削り度合いによって風味の違うシマができます。粉の種類は、皮の削り度合いの多い方から順に、ブレックファスト、スーパーローラー、ローラーと呼ばれます。ブレックファストは、まずメイズに水を加え少し柔らかくしてから外側の皮を削り、製粉したもので、お米で例えるなら白米にしたものです。ルサカ市内のスーパーでもこれが最も多く販売されており、私も現地職員も、ふだんはこの粉で作ったシマを食べています。スーパーローラーは、水を加えずに皮を削って製粉したもの。ローラーは、皮を削らずにそのまま製粉したものです。玄米のような感じですね。ローラーで作ったシマが一番メイズの風味が強く、とうもろこしの香りがするそうですが、私はまだ食べたことがありません。

レストランで注文すると、シマのおかずには、主に鶏肉や牛肉、焼き魚(川魚)、つけ合わせとしてキャベツとトマトを煮込んだもの、豆(赤インゲンマメ)や高菜の一種を煮たものがついてきます。日本でもおなじみの、アフリカ原産のオクラもときどき添えられます。値段は一食だいたい15クワチャ~25クワチャ(約270円~約450円)です。

皮むき前のメイズ

皮むき前のメイズ

皮むき後のメイズ

皮むき後のメイズ。色の違いが分かるでしょうか?

現地職員との昼食

シマを食べる筆者(左)。手でちぎりながら食べるのに慣れず、最初はぽろぽろこぼしてしまって大変でした。現地職員のようにスマートに食べるにはもう少しかかりそう?

ザンビア人は、日本人が食事でお米を食べる頻度と同じくらい、シマを食べているようです。一日三食の人なら2回、二食の人なら1回、といったところでしょうか。私は自分ではまだ作れないので、お昼に外に出る機会があれば必ずシマを探して食べています。トウモロコシの粉を練って作ったシマですが、粒がなめらかで食べやすく、穀物の臭いも強くありません。個人的には、日本でいえば餅のような感じかな?と思うのですが、なぜか他の駐在員やザンビア在住の日本人からはあまり同意が得られません。「少々水気の多い蒸しパン」といった意見もありました。

現地の生活に密着している食品で、エイズ対策活動を行っています

2011年の国連の統計によると、ザンビアには親をエイズで亡くした子どもたちが68万人もおり、子どもの約9%がエイズ遺児という計算になります。AARは、エイズで親を亡くした子どもたちが学校に通うための支援の一環として、メイズの製粉事業と、養鶏事業を行っています。ここでの得られた利益は、すべて子どもたちの学費や教科書・制服・文具代などに充てられます。なぜ製粉と養鶏かといえば、上述のようにシマの材料になるメイズと、そのおかずになる鶏肉は、ザンビア国内でよく消費されている品だからです。

ちなみに、AARの製粉所で製粉する際に出たメイズの皮を粉にしたもの(お米で言えばぬかの部分)は、飼料に混ぜて鶏のえさとして使っています。余すところなく活用できるところも、メイズの魅力です。

ステリさん

製粉所で働くステリさん。AARはステリーさんの孫で、両親をエイズで亡くしたモゼスくん(15歳)の就学を支援しています

養鶏

養鶏事業で育てている鶏。1羽まるごと(約2kg)で27クワチャ(約490円)で販売しています

AARが作っているメイズや鶏肉は、「他で買うものよりも素材の味がしておいしい」と地元の方々に好評です。私も地元で生産された物を食べているせいか、初めてのアフリカ駐在でも、それほど体調を崩すことなく過ごすことができています。

ザンビアにお越しの際は、ぜひシマに挑戦してみてくださいね!

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