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支援物資が届くまで... ミャンマーサイクロン緊急支援活動報告

2008年09月10日  ミャンマー緊急支援
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支援物資の袋詰め作業を行う

配付する物資を1世帯分ごとに袋詰めします

難民を助ける会では、5月2日にミャンマー(ビルマ)を襲った大型サイクロンによる被害者への支援を行っています。
サイクロン発生から3ヵ月が経過した8月上旬、広報担当の吉澤が緊急支援物資の配付に同行しました。支援物資の準備から輸送、被災地での配付までの様子を報告します。

配付物資の調達・仕分け

「緊急支援物資の配付」と一口に言っても、配付する村の調査から、支援物資の調達、輸送、配付まで、行うべきことがたくさんあります。この日は、1,700世帯へ配付する物資の調達を行いました。
日本のようにすべての物資をスーパーで購入、というわけにはいきません。商品の代金も「後ほど銀行に振り込みます」というわけにもいきません。多額の現金をもって複数の商店を1軒1軒まわり、物資を購入します。物資の量は、トラック6台分ほどになります。

難民を助ける会が緊急支援物資として配付しているものは、食料や水のほか、調理に必要な鍋ややかん、火をおこすために必要なライターなど、十数種類におよびます。これらの緊急支援物資を、被災地でスムーズに配付するため、1世帯分ごとに袋詰めします。米や水などは、被災者の間で不公平とならないよう分ける必要があり、正確さが求められる作業です。さらに、ビニールシートは約90mのロールで購入するので、1世帯分の長さ6.4メートルに切断する作業が必要です。重たいビニールシートを動かしながら1枚1枚、手作業で切断していくので重労働。
準備ができた物資はトラックへ。あらかじめ調査してある被災者世帯数と過不足のないよう、個数を確認しながら確実に積み込みます。

一人ひとりに手渡しで配付

8月6日、ヤンゴン管区トンテー地区にあるチェウン・マジー村へ。162世帯約642人分の支援物資を5台のトラックに積み込んで出発です。
ヤンゴン市内から車で2時間半。トラックは港に到着しました。ここからはボートでの移動です。物資を車からボートに積み替えます。ボートに乗って約1時間。川の支流に入ると、村が見えてきました。
教会の鐘を合図に鳴らすと村の人々が教会に集まってきました。雨季である今の時期は、村全体が水に囲まれており、人々の移動は村の中でさえもボートです。
全員に確実に渡るよう、事前に準備した被災世帯一覧表で確認をしながら一世帯ごとに名前を読み上げ、手渡します。誰一人として割り込んでくる人はおらず、混乱もなく配付することができました。この村に限らず、訪れる多くの村で、どんなに苛酷な状況であっても大きな混乱は起きていません。争いや怒ることを嫌うミャンマーの国民性なのかも知れません。

物資を車からボートへ積むスタッフ

物資を車からボートへ積むスタッフ

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ヤンゴン管区トンテー地区にあるチェウン・マジー村

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ボートで集まってくる村の人々

被災者に支援物資を手渡す吉澤有紀(左)

支援物資を一世帯ごとに手渡しをします(写真左が吉澤有紀)

被災地を訪れて

家の周りが川と化してしまった村

雨季のため、思うように農業も再開できず、食料も手に入れることが困難です

サイクロン発生から約3ヵ月が経ち、ヤンゴン市内ではサイクロンの大きな傷跡は見られず、また、大きな道や川の主流沿いの村でも支援が届いている様子でした。しかし、少し奥に入るとまだまだ支援が届いていない人々がたくさんいました。

政府が発行している地図にも、村の名前が記載されていないような地域。被害の甚大な地域には、物資が配布されるどころか、存在が知られていない村々がたくさんあります。サイクロンの影響に加え、今は雨季のため思うように農業が再開できず、食糧も手に入れることが困難です。最低限、次の収穫が見込まれる乾季までは、支援物資の配布が必要だと痛感しました。
サイクロン発生時、そして今現在、どれを聞いても悲惨な状況です。それでも、話してくれる村人たちはニコニコしています。決して、怒りや悲しみを顔に表しません。

緊急支援に奮闘するミャンマー人スタッフ

難民を助ける会がサイクロン被災者への緊急支援を行うにあたり、新しい現地スタッフも加わり、緊急支援活動チームが編成されました。被災地での肉体的にも精神的にも厳しい業務の中でも、明るくふるまい、被害にあった人々のことを第一に考えて活動をしています。そんなスタッフを紹介します。
普段はとっても温和で笑顔の皆さん。物資配付スケジュールのあまりの厳しさに「どうしても無理ならスケジュールを変更しますが、大丈夫ですか?」と聞くと、「待っている人がたくさんいるから辛くても行くんだ」、と一気に引き締まった表情になりました。
今後もこのスタッフたちとともに、ミャンマーでのサイクロン被災者支援を行っていきます。あたたかいご協力をお願いします。

現地スタッフの紹介

ティハ・コー(26歳・男性)物資配付と作業管理を担当

ティハ・コー(26歳・男性)

「被災地までの道中は険しい道でとても大変だし、村では遺体や白骨をたくさん見て辛い。でも、村の人たちはもっと大変だから、仕事は辛く感じない」、 と話してくれました。日本語がとても流暢!日本のロボット技術に興味があり、いつか日本で勉強して情報技術者になることが夢だそうです。

カイ(38歳・女性)物資配付を担当

カイ(38歳・女性)物資配付を担当

「みんなで励まし、協力し合って活動をすることがとてもやりがいがあります。被災地の村の人が必要としているものをもっとたくさん配りたいです」と力強い言葉でした。日本の映画が好きで日本語を勉強。事務所では、ビルマ語・日本語の通訳でも活躍しています。

ベンジャミン(20歳・男性)物資配付を担当

ベンジャミン(20歳・男性)物資配付を担当

これまでにNGOや国連機関でボランティアをしてきた行動派。物資配付先の村で多く話されている「カレン語」を話すことができるため、コミュニケーションもばっちりです。なにを聞いても、辛くない、楽しい、との答えが返ってきます。

キンマウンサン(48歳・男性)ドライバー。物資調達の管理・実施を担当

キンマウンサン(48歳・男性)ドライバー。物資調達の管理・実施を担当

業務が円滑に進むよう、いつも安全運転でスタッフの送迎や、銀行・商店を回ってくれます。日本に住んでいたことがあり、流暢な日本語を話します。

ウィン・アウン(37歳・男性)ガードマン

ウィン・アウン(37歳・男性)ガードマン

大量の物資を保管している事務所を住み込みで守っています。トラックへの荷積み作業が滞りなく行われていることもしっかりチェック。外出時はいつも優しい笑顔で見送ってくれます。

ニン・ワーワー・ウィン(女性) 障害者のための職業訓練校リーダー

ニン・ワーワー・ウィン(女性) 障害者のための職業訓練校リーダー

難民を助ける会が2000年から運営している障害者のための職業訓練校の責任者。今回の緊急支援でも、活動全体の管理を補佐しています

今後は、緊急支援物資の配付とともに、被害の最も大きかった奥地の被災地で、劣悪な保健医療、栄養状態のもとで生活を続ける被災者・障害者のための活動を行います。
皆さまのご支援を心よりお待ちしております

募金の受付方法はこちらをご覧ください。

難民を助ける会の緊急支援活動については、こちらをご覧ください。

難民を助ける会のミャンマー(ビルマ)での活動は、こちらをご覧ください。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 吉澤 有紀

2007年12月より東京事務所勤務。学生時代から国際協力に関心を持ち、ボランティア活動に従事。大学卒業後にシステム会社に就職。6年半の勤務後、難民を助ける会へ。千葉県出身。

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