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地雷・クラスター爆弾をなくそう!子どもサミット報告

2009年07月02日  地雷対策
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小学生から大学生までの約300名が参加

子どもサミットの会場にて

被害者の体験談にみな熱心に聴き入りました

2009年3月21日、難民を助ける会はイオン1%クラブ、滋賀県高島市とともに、ウガンダ・カンボジア・ラオスから5名の被害者を招聘し、「地雷・クラスター爆弾をなくそう!子どもサミット」を、KBSホール(京都市)にて開催しました。 2月~3月にかけてイオン各社が行った「地雷・クラスター爆弾をなくそう!キャンペーン」の一環としての開催でした。

地雷やクラスター爆弾の問題について多くの若い世代に知ってもらい、廃絶のために一人ひとりに何ができるのかを考え、行動を起こしてもらうことを目指し、当日は小学生から大学生までの若い世代を中心に、全国から約300名が参加しました。

被害者が語る廃絶への思い

「世界中の子どもたちのためにも、地雷問題に取り組み続けます」と、マーガレットさん。

ウガンダから来日した地雷被害者のマーガレットさん。母国でも自分の体験を伝える活動を続けています。

「地雷・クラスター爆弾をなくすには、問題を自分のこととして考え、なくそうと言い続けること」、「学んだことを家族や友だちに話して欲しい。そうすることが、廃絶への近道になる」。イオン1%クラブの原田昭彦委員長は開会の挨拶でサミットに込めた思いを述べました。

前半では、地雷・不発弾の被害者が自らの体験と、被害を乗り越えて今抱いている夢や希望を発表。ウガンダのマーガレットさんは、被害経験を世界各地で語り続けているほか、母国ウガンダで被害者同士が支え合う活動も推進し、多くの被害者を勇気付けています。自らの体験に加え、地雷が残っているために農業や道路整備などができず、経済成長が阻害されている自国の地雷問題の現状についても報告。「世界中の子どもたちが夢を持って生き、安心してその夢を実現できるような社会にするため、地雷問題に取り組み続けていく」と力強く語りました。

カンボジアからの招聘者は二人とも、難民を助ける会が支援する職業訓練校の卒業生。地雷被害に遭い障害が残りましたが、卒業後それぞれ開業し、家族とともに生活しています。
ラオスから来日したチャンサモンさんは不発弾被害後も、看護師として働き続けています。4人とも、一度は生きる希望を失いかけながらも、そこから立ち上がり、新たな夢を抱いて前向きに努力しています。彼らの報告は、地雷・不発弾がもたらす被害の残酷さ、そして、被害者支援の重要さが伝わるものでした。

問題を自分のことと考えて

地雷汚染が深刻なカンボジアを訪れた高校生8名による研究発表

高校生たちの発表からは、地雷問題に真剣に向き合おうとする熱意が伝わってきました

後半では、難民を助ける会の活動紹介と地雷クイズを行った後、昨年夏に地雷被害の深刻なカンボジアを訪れた高校生8名による研究発表が行われました。「地雷が埋められた背景」「世界の地雷廃絶活動」などをテーマにした発表からは、いずれも現地で受けた驚きや問題に対して真剣に向き合う姿が伝わってきました。

また、当日開会前に参加者が小グループに分かれて、地雷被害をなくし、みんなが幸せになるために、私たちに出来ることは?というテーマで話し合った結果も報告されました。一人ひとりに出来ることとして、「授業や文化祭で問題について学習、発表する」、「インターネットを通じて、世界の人々と連携し、政治の場や国連に地雷廃絶や戦争をなくすことを訴えていく」などを提言。その声が多く集まれば、大きな力になり、家族、社会、国を動かす力に繋がっていくという確信に満ちたものでした。最後にこれからの取り組みを誓った宣言文を発表し、閉会となりました。

参加した学生たちの今後の活動に期待

来日した被害者たちの言葉は、困難を乗り越えたからこその力強さがあり、参加者の心に深く届きました。そして、それに参加者が真剣な気持ちで応えるという大変意義深い会になりました。社会の問題に関心はあっても何から始めていいのか分からない、そんな声が聞かれることがありますが、今回の会議は、学生のみなさんに、行動のきっかけを提供することができたと思います。今後、より多くの若い世代とともに、地雷・クラスター爆弾問題について発信し、廃絶に向けて行動していきたいと思います。

宣言文

サミット後の彼らの活動にも期待しています

高校生たちは高らかに宣言文を読み上げました

本日、私たちは京都に集い、地雷とクラスター爆弾の問題について話し合い、それらが今でも世界中の多くの人々を苦しめ続けていることを改めて認識するとともに、その廃絶に向けて私たち自身に何ができるかを考えました。
私たちは、この地球で同じ時代を生きる人間として、それを見逃すわけには行きません。
「地雷・クラスター爆弾をなくそう!子どもサミット」に参加した私たちは、今後も継続して、地雷とクラスター爆弾を廃絶する為の活動を続け、さまざまな機会を通じて、その恐ろしさと現状を多くの人に伝え、それらの廃絶に向けて協力してくれる仲間を増やしていきます。

私たちは、こうして被害を乗り越えました-地雷・不発弾被害者の声-

マーガレット・A・オレクさん(ウガンダ、52歳)
マーガレット・A・オレクさん

地雷禁止国際キャンペーン(ICBL)大使、ウガンダ地雷生存者協会代表として、国際会議などで地雷問題解決の重要性を訴えている

10年前に、乗っていたバスが地雷を踏み、爆発。麻酔もないまま右足切断の手術をし、2ヵ月後退院して家に戻ると、家賃滞納のため5人の子どもたちは家を追われ、散り散りになっていました。友人たちも不幸がうつると離れていき、それまでの生活すべてを失いました。

世の中を恨むほど辛い思いも味わいましたが、リハビリ中、他の被害者との出会いを通じて、被害者同士が助け合っていくことが必要だと考えるようになりました。多くの人に支えられ、再び生きる力を持てるようになりました。ICBLに被害の当事者として関わることが、社会への恩返しだと考えています。

生きていれば再び希望は持てるのです。今私は地雷のない世界を作るという夢を持っています。困難ですが、必ず実現できると思っています。

ラット・リーブさん(カンボジア、23歳)
ラット・リーブさん

13歳のときに地雷を踏む。左足を失い、義足をつけている。難民を助ける会が支援する職業訓練校を卒業

焚き木を集めていたときに地雷を踏み、左足を失いました。家業である農作業ができなくなり、「僕は家族のお荷物になってしまった。これからどうやって生計を立てていったらいいのか?」と苦しみました。そんなとき、ラジオで難民を助ける会が支援している職業訓練校のことを聞き、申し込みました。電気製品の修理コースで学び、今は電気製品修理の店を開いています。被害に遭い絶望した私に再び希望を与えてくれた職業訓練校は第二の両親です。自分が持つ技術をほかの障害者に伝えたいという夢を持っています。自分の生き方が、周囲の人の“障害者は何もできない”という偏見を変え、カンボジアでの障害者に対する認識を変えることにつながって欲しいです。

ミーン・サリムさん (カンボジア、25歳)
ミーン・サリムさん

16歳のとき、地雷を踏む。左足を失い、義足をつけている。 難民を助ける会が支援する職業訓練校を卒業

畑で農作業中に地雷が爆発し、左足を切断。被害に遭ってからは、足を失ったことが辛く、周りから差別を受けたりもし、死んでしまいたいとさえ思いました。そんな中、両親は私を励まし、手に職をつけるよう勧めてくれました。職業訓練校で裁縫の技術を身につけ、今はバッグの店を開いています。私を差別していた人たちがお店に来てくれたことがとても嬉しかったです。これからは、お店を大きくして、私の技術をもっと多くの人たちに知ってもらい、障害者への偏見をなくしていきたいです。地雷は決して作らないで欲しい。地雷は被害者の人生をとても悲しいものにしてしまいます。

チャンサモン/チャンタホン・ブンサヤソンさん親子(ラオス)
チャンサモン/チャンタホン・ブンサヤソンさん親子

母:28 歳。2年前、娘とともに不発弾の被害に遭う。脚に運動・感覚障害が残り、痛みが伴う。村のヘルスセンター薬剤部に勤務
娘:6歳。爆発時に飛んできた破片で手にけがをし、傷が残る。現在幼稚園に通っている

職場に向かう途中、娘とともに不発弾の爆発に巻き込まれました。不発弾に使われている鉄を売るため解体している人たちがいたのです。私は足に障害が残り、娘の手の中には今も爆弾の破片が残っています。しかし、仕事を再開することができましたし、周りの人たちも以前と変わらず接してくれたので勇気付けられました。もっと良い仕事をするため、まだまだ勉強を続けていきたい。娘の夢も看護師になることです。被害に遭った子どもたちが教育を受け、仕事につける社会であって欲しいです。昔使われた爆弾が、今の私たちの生活を苦しめています。これから私たちのような被害が起きないように、戦争がなくなって欲しいと願っています。

「語り合おう、地雷問題!~地雷被害者とともに~」東京でも交流イベントを開催!

ラオスからの招聘者を交えたグループ

和やかな雰囲気の中、それぞれが率直な意見を出し合いました

3月23日には、学習院女子大学(東京都新宿区)にて、サミットに招聘した被害者と直接語り合い、地雷・不発弾問題をより身近に感じてもらうための交流イベントを開催しました。ウガンダ・ラオス・カンボジアそれぞれの国のお菓子をつまみ、リラックスした雰囲気の中、招聘者と参加者がグループに分かれて話し合いました。

参加者からは「地雷被害者の声を直接聞き、衝撃を受けた」、「彼らが力強く生きていこうとしている姿勢に励まされた」といった声が多く聞かれ、充実した集いになりました。平日の昼間でありながら、小学生を含む学生や社会人など45名に参加いただきました。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 小川 祐子

2008年12月より東京事務局で広報・支援者サービスを担当。大学、大学院で国際法を専攻。在学中より国際協力の仕事を志す。公務員として6年勤務後、難民を助ける会へ。(東京都出身)

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