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今日も、親しみやすい地雷回避教育をめざして ―紙芝居やゲームが大好評です―

2009年09月29日  スーダン地雷対策
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20年以上にわたる紛争が終結してから4年半が経過したスーダン。しかし残念なことに、「紛争が終われば、平和に、そして安全に暮らせる」わけではありません。紛争中、基地や陣地を守ったり、人の移動を制限するために埋設された地雷、投下されて爆発せず地上に残された不発弾、戦場や軍事基地に放置されたままとなっている爆弾・・・。それらがスーダン国土に無数に残り、人々の生活を脅かし続けています。南コルドファン州で行っている地雷回避教育の様子を、ハルツーム駐在員の大豆本由紀が報告します。

文化に合わせた教材づくりから始めて

今日も村々を巡回し、地雷回避教育を続けます

難民を助ける会がこれまでにスーダンで作成したパンフレットは、46万2千部。

地雷や不発弾による事故からスーダンの人々を守るため、難民を助ける会は2005年11月より、地雷回避教育を実施しています。彼らの文化や風習に合わせた、当会独自のパンフレットやポスターなどの開発から取り組みました。パンフレットはこれまで46万2千部を作成し、スーダン国内だけでなく、隣国の難民キャンプでも他のNGOによって配布されています。2006年8月からは、スーダン国内で2番目に地雷・不発弾の汚染度が高い南コルドファン州で、村々や、国際機関が運営する帰還民センターを巡回して教育活動を行っています。2009年8月までに教育を受けた人数は延べ37,285人にのぼります。

村人や長老の協力は欠かせません

長老の「鶴の一声」で、村人たちが集まります

イーカ長老と挨拶する大豆本駐在員。2回目の訪問なので、話合いもスムーズです

8月初め、巡回教育活動の現場を訪れました。難民を助ける会の事務所から、舗装された道を1時間半、さらにでこぼこ道を車で走ること30分。イーカ長老が手を振って私たちを迎えてくれました。

村で地雷回避教育を行うには、村人、特に村長や長老の協力が不可欠です。事前に私たちの活動について説明し、実施の許可をもらい、村人を集めてもらえるようお願いします。

また、地雷や不発弾の発見情報を村人から集め、当会が協力する地雷除去団体に報告します。村人と地雷除去団体との橋渡し役、これも私たちの重要な仕事のひとつです。

ゲームや紙芝居に、子どもも大人も釘付け!

「やった!もう一組とったよ!」

絵合わせのカードゲームは子どもたちに大人気。

翌朝私たちが村を再び訪れると、時間前に既に、20名程の女性と子どもが集まっていました。スタッフのハヤットが子どもたちを集め、カードゲームを始めます。これは地雷や地雷原を示すサインなどの写真のペアを集める、「神経衰弱」のようなゲームで、難民を助ける会が独自に作成したものです。ペアが集まるたびに、ハヤットは「何の写真か」を丁寧に子どもたちに説明していきます。

カードゲームが終了する頃には男性たちも集まり、地雷回避教育がスタートです。ポスターなどを使って、「地雷・不発弾とはどんなものか」、「どこに存在するのか」、「地雷原を示すサインとは」、「地雷・不発弾を見つけた場合の取るべき行動」、「事故に遭わないようにするにはどうしたらよいか」を説明します。

この真剣な眼差し…!

「近道した兄弟はどうなるんだろう…?」紙芝居に引き込まれます

その後、紙芝居を使って内容を復習します。紙芝居は、「学校に遅れそうな姉弟が、近道をしようとして使われていない道を通り、不発弾を発見してしまう!」というストーリーです。今年から使い始めた新しい教材で、子ども向けに開発したものですが、スリリングな展開と教育員の演技力に大人も釘付けです。

最後に、習ったことを自宅や学校で確認したり、共有したりできるよう、地雷・不発弾の写真などを載せたノートやパンフレットを配り、地雷回避教育は終了します。

村人の記憶に残りやすいよう、そして子どもたちにも理解できるよう、現場で教育を行うスーダン人スタッフと私たちは議論と努力と工夫を重ねながら、地雷回避教育を実施しています。

今後も、村人にとってさらに親しみやすい地雷回避教育をめざしていきます。

私たちが巡回教育をがんばっています ―スタッフにインタビュー―
パシャ(チームリーダー)

「スーダンの国の復興・発展に貢献したい」と思って、この仕事をしています。特に雨季には、車が泥道で立ち往生するなど、大変なことも多いですが、他の教育員と共に頑張っています。

パシャ(チームリーダー)

ハヤット(教育員)

この仕事は、村人たちを地雷や不発弾による事故から救っていると実感できて、とても好きです。また、村人たちは自主的に集まってくれるので、雨などで時間に遅れてしまうと心が痛みます。

ハヤット(教育員)

アメール(教育員)

雨季には村人は農作業に出てしまうため、人を集めるのに苦労します。ときには、時間に誰も集まってこないこともあります。ですから季節により、村人の農作業の後に時間を設定するなど、工夫しています。

アメール(教育員)

日本の皆さん、僕たちの活動を支えてくださり、ありがとうざいます!

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

スーダン・ハルツーム事務所 大豆本 由紀

2009年3月より駐在。大学卒業後、民間企業、在外公館、政府機関で勤務。イギリスへの留学を経て、インドネシアで紛争後の復興プログラムに従事した後、難民を助ける会へ。(兵庫県出身)

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