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ラオスで不発弾対策の総合的な取り組みを行っています

2010年04月23日  ラオス地雷対策
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1960~70年代のインドシナ戦争で200万トン以上の爆弾が投下されたラオスは、世界で最も不発弾に汚染された国の一つと言われています。現在でも、全17県中15県で不発弾被害が頻発しており、毎年新たに100~300名の死傷者が出ています。そこで難民を助ける会は2009年9月、協力団体とともに2つの事業を開始しました。

被害者と家族への医療費・生計支援

畜産研修の様子

鶏の飼育方法を学ぶ畜産研修にて、鶏にワクチンを接種する被害者のリーさん。不発弾で両足を失いました(写真提供:WEC)

2009年11月から、不発弾事故件数が多い北東部のシェンクワン県において、協力団体の世界教育協会(WEC)とともに、被害者へ直接の支援を行なっています。

不発弾被害者の多くは貧しく、十分な治療費を払うことが困難です。難民を助ける会は被害者の医療費を負担するとともに、医師や理学療法士が継続して往診できるよう支援しています。

また、被害者と家族が、収入向上のために豚や鶏の飼育方法を学ぶ研修を行いました。12月には20名が参加し、社会復帰に向けた一歩を踏み出しました。

車いす、義肢・装具に関する情報を全国に

熱心に講習を受けるラオスの保健医療担当者たち

保健医療担当者を対象にした講習会の様子。ラオスの地方の村々でもサービスが行き届くよう、各地で同様の講習会を開いていきます

首都ビエンチャンの国立リハビリテーションセンターでは、難民を助ける会などの支援を受けて車いすや義肢など補助具を作り、障害者に提供しています。 しかし、地方に住む障害者の多くは、そうした情報を得る機会がありません。

このため、難民を助ける会は県や郡の保健医療担当者を対象に、彼らが地域の障害者に対して、その人が必要な補助具や医療サービスを得る手助けができるよう、講習会を行っています。

義肢や装具を作っている団体COPEと協力し、2009年9~10月に中部の2県で講習会を開き、合計112名が参加しました。今後同様の講習会をラオス南部でも開催し、地方の村々へもサービスが行き届くことを目指します。

これらの事業に加えて、難民を助ける会は、不発弾事故が起きた際に村で適切な応急処置などが行われるよう、地方の緊急医療体制を強化していきます。今春にはシェンクワン県に事務所を開き、事業を始める予定です。

農作業の火が不発弾に…

チョウアちゃんを診察する医師

郡病院医師が自宅を訪問し、チョウアちゃん(右)の治療経過を診察します(写真提供:WEC)

2009年7月、シェンクワン県ナム・ムワン村に住む、チョウア・ヤンちゃん(7歳)は不発弾の事故に遭いました。農作業をしている母親の傍らで焚き火をしていた時、地中に埋もれていた不発弾に炎が引火してしまったのです。

爆弾の破片が目の近くにあたったチョウアちゃんは、県病院まで10時間かけて運ばれました。8日間の治療を受けて視力を回復しましたが、今後も継続的な治療が必要です。

難民を助ける会はWECと協力して、継続治療と往診にかかる費用を支援します。また、両親が離婚して経済的に厳しいチョウアちゃん一家の収入向上のため、家畜を飼育するための技術指導を行います。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 板垣 文子

2009年9月より東京事務局でラオス・スリランカ事業を担当。大学院で国際人権法を学んだ後、国際NGOで地震被災者の支援に関わる。その後国内団体での難民支援の仕事を経て、難民を助ける会へ(東京都出身)

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