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クラスター爆弾を含む不発弾に汚染されたラオスで、被害者支援のための新事業がスタート

2010年09月21日  ラオス地雷対策
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不発弾の被害者への緊急医療体制の強化をはかります

2010年9月8日、ラオスの首都ビエンチャンにあるラオス国立リハビリテーションセンター(NRC)にて、新事業「シェンクワン県におけるクラスター爆弾を含む不発弾被害者支援事業」の署名式がラオス政府と難民を助ける会との間で執り行われました。ラオスの新聞「ビエンチャンタイムズ」でも取り上げられました。
2010年9月9日付ビエンチャンタイムズ記事

この新しい事業は、ラオスの中でも不発弾の被害が多い北部のシェンクワン県での不発弾被害者支援です。シェンクワン県には、不発弾の被害に遭った人へ適切な治療を行える病院が非常に乏しく、救急車などの緊急の搬送システムも整っていません。また車が入れないような悪路も多いため、ラオス政府機関の統計によれば、不発弾による事故が起きた際、被害者の40%前後が命を落とし、一命を取りとめたとしても、傷口が悪化して四肢を切断せざるを得なくなることも多くありました。そのため、難民を助ける会では、シェンクワン県の2郡93村の村落保健ボランティア186名を対象に、事故直後に必要な応急処置や医療施設までの搬送を行えるよう研修を行い、救急キットも配付し、不発弾事故による死者を減らし、負傷者の障害の程度の軽減を目指します。

第一発見者の村人の助けがなければ、クラスター爆弾を含む不発弾事故の後に何が起こるでしょう?

放牧中に不発弾被害にあった青年

1.牛追いの青年が村で不発弾の事故に遭ってしまいました

不発弾事故で片足を失い倒れる被害者

2.青年は瀕死の重体ですが、村人はだれも来ません

被害者のもとへ向かう医師

3.事故の2時間後に医師が到着

治療の甲斐なく亡くなる被害者と嘆く医師

4.しかし到着が遅いと、高度な救命治療も無駄となってしまいます

村人による速やかな応急処置があれば、このように命を救うことができます

倒れる被害者

1.青年が不発弾の事故に遭ってしまいました

被害者を馬で搬送、適切な応急処置などを行う村人と保健所職員

2.けれども、もし村人に知識があれば、被害者を速やかに応急処置を行い、馬などで保健所まで運び、点滴などを行うことができます

被害者をトラックで大きな病院へ搬送する

3.そして被害者を、より高度な処置を施せる郡か県の病院へ搬送

手術を行い被害者も元気になりました

4.手術を行い、被害者は一命をとりとめることができます。(出典:Hans Husum, Mads Gilbert & Torben Wisborg, "Save Lives, Save Limbs" Third World Network, 2000.)

「ラオスの人たちとともに事業を成功させましょう」

署名式で抱負を語る岡山駐在員

「地元の村人たちの積極的な参加に期待します」と語るラオス事務所駐在代表の岡山典靖

署名式に参加したラオス国立リハビリテーションセンター(NRC)のスパン・インティラート副所長は、「この新しい事業によって、シェンクワン県内の多くの郡で不発弾被害にあった人々に適切な救急医療を届けることができるようになります。日本からの支援に心から感謝したい」と述べました。難民を助ける会からは、ラオス事務所駐在代表・岡山典靖と、東京事務局の太田夢香が出席。岡山は、「難民を助ける会は、2000年よりラオスで車イス製造を通して支援活動を行ってきましたが、これまで地元の人々の自主性や地域との連携の重要性を実感してきました。この事業も、シェンクワン県の村人たちとともに協力し、事業を成功させましょう」と抱負を語りました。

覚書に署名し握手する岡山駐在員(左)とNRCのスパン副所長

新事業のスタートを祝い握手を交わすNRCのスパン副所長と難民を助ける会のラオス事務所駐在代表・岡山典靖(左)。左端は事務局の太田夢香

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 太田 夢香

2009年7月より東京事務局で海外事業を担当。大学卒業後、米国の民間リサーチ会社に勤務。国際協力に携わる仕事に就きたいという思いから、難民を助ける会へ。(神奈川県出身)

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