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スーダンの元兵士が地雷や不発弾の被害にあわないために

2010年10月21日  スーダン地雷対策
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20年以上にわたる内戦が続いたスーダンでは、内戦中に埋められた地雷や不発弾により、多くの人々が被害に遭っています。
難民を助ける会では、人々が地雷や不発弾から身を守るための教育(地雷回避教育)を行っています。通常は南コルドファン州の村々を巡回して、子どもや村人たちを対象に行っていますが、2010年7月からは元兵士の人々を対象にした地雷回避教育も開始しました。

元兵士への社会復帰支援の一つとして

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普段の地雷回避教育の参加者とは異なり屈強な元兵士の人々が大勢います

戦争に動員された兵士たちの社会復帰は、内戦後のスーダンが安定するためには非常に重要な課題です(※参照)。国連は、兵士の除隊を支援し、その後実施される職業訓練について説明を受ける「除隊・社会再統合支援キャンプ」を運営し、戦争中に兵士だった人々が、一般市民として社会復帰できるように支援しています。

難民を助ける会は、国連が南コルドファン州のカウダで運営している除隊・社会再統合支援キャンプで、2010年7月から元兵士への地雷回避教育を開始しました。

元兵士に伝える難しさ

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村を巡回して行う地雷回避教育の様子。子どもも多く参加しています

元兵士が参加者の場合、一般市民や子どもたちを対象とする地雷回避教育とは違った注意が必要です。

村を巡回して行う地雷回避教育では、地雷や不発弾の危険を伝えるために、被害にあった場合の肉体、精神、そして経済に及ぼす影響を伝えています。元兵士の参加者のなかには、地雷に限らず何らかの武器で負傷し、障害を負っている人もいます。そうした人々が、地雷や不発弾の被害によって生じるさまざまな苦労を聞かされると、自分の将来に絶望してしまう可能性があります。そのため、地雷・不発弾による被害を説明する際には、兵士たちがそうした否定的な気持ちにならないように表現や説明の仕方に十分な配慮をしています。

また、ほとんどの元兵士は、地雷を含む小型武器を扱った経験があるため、地雷を発見すると自らの手で除去しようとしたり、不発弾を自分で爆破してしまおうとしたりすることがあります。しかし、地雷や不発弾を安全に取り除くためには、訓練を受けた専門家が専用の機材を使用することが必要で、中途半端な知識ではかえって危険を招いてしまいます。そのため、地雷や不発弾の危険を再認識してもらうとともに、正しい情報に基づいた責任のある行動をとってもらうことが大切です。

戦闘に関わってきた元兵士たちは、社会復帰の際に一般市民から快く受け入れられないこともあります。また、出身地とは異なる地域で「新参者」として生活しなければならない場合もあります。社会の一員として人々に受け入れられていくためには、地域の中で責任のある行動を取っていくこと、そしてそれを継続していくことが欠かせません。

「村に帰ったときに子どもたちにも学んだことを伝えたい」

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真剣な表情で講義を聞く元兵士のアダムさん

参加者の一人である、元兵士のアダムさん(55歳・男性)は「地雷や不発弾の危険性についてよくわかった。これからは自分が気をつけるとともに、村に帰ったときに子どもたちにも学んだことを伝えたい。難民を助ける会の地雷回避教育チームが来てくれてうれしい。」と話してくれました。

元兵士たちが社会復帰する道のりは長く険しいものかもしれません。しかし、地雷や不発弾に関する正しい知識を持ち、周りの人たちを危険から守りたいという思いが育てば、それがやがて地域の人々に理解されていくでしょう。そう願いながら、雨期の悪路をキャンプまで通う日々が続いています。

※元兵士の武装解除・動員解除・社会再統合(DDR)について
スーダン内戦後の課題として、小型武器の問題があります。
戦争中には、自動小銃などの多くの武器が広く人々の手に渡りました。そして、戦争が終わっても、それらの武器は元兵士や一般市民の手に握られたままです。
元兵士たちは、再び戦争が始まることを恐れたり、兵士として以外に生計をたてる方法がないため、なかなか武器を手放そうとはしません。しかし、武器が広まった状況が続いてしまうと、わずかな出来事でも新たな武力紛争に発展する可能性が高くなります。
そのような状況を改善していくためには、元兵士から武器を回収するだけではなく、武器を手放した元兵士が一般市民として生活できるように、生計をたてるための技能を身につける機会を提供していくことが必要です。
兵士としてではなく、一般市民として国に貢献していけるように、国連スーダンミッションや国連開発計画(UNDP)などでは、武器の回収、兵士の除隊やその後の職業訓練を実施する武装解除・動員解除・社会再統合(Disarmament, Demobilization and Reintegration、頭文字のアルファベットを取りDDRと呼ばれている)事業を広くスーダン国内で行っています。

 

 

 

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

スーダン・カドグリ事務所駐在 山浦 遼

2009年1月より北スーダン・カドグリ駐在。教育大学で教員免許を取得。卒業後、青年海外協力隊の小学校教諭としてウガンダに赴任。帰国後難民を助ける会へ。趣味は野球。(宮城県出身)

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