活動ニュース

アフガニスタン:映画を通して地雷や不発弾の危険性を伝えています

RSS

世界でも有数の地雷汚染国であるアフガニスタン

アフガニスタン地雷対策調整センター(MACCA) によれば、アフガニスタンでは今でも毎月新たに40人近くの人が地雷や不発弾による被害に遭っています。難民を助ける会では、地雷や不発弾による事故から身を守る方法を伝えるため、アフガニスタン人スタッフによる地雷回避教育を様々な形で行っています。そのうちのひとつ、「移動映画教室」についてご紹介します。

映画を通して正しい知識を身に付けて欲しい

カブール県(緑)、パルワーン県(黄)、パンジシール県(ピンク)を中心に地雷映画教室を行っています

移動映画教室では、地雷・不発弾の問題や地雷被害者支援をテーマにした短い映画を上映して、人々に正しい知識を伝えています。2005年8月からこれまでにカブール県、パルワーン県、パンジシール県を中心に村々を訪問し、のべ38万人に映画を使った教育活動を行ってきました。正しい知識をしっかりと身に付けてもらうため、約100の村々で年に数回ずつ上映会を行うようにしています。アフガニスタンにおける地雷被害者の約半数は子どもであるため、対象は子どもたちが中心。上映会は村の学校やモスク、村の集会所などで行っています。

移動映画教室チームの一日を見てみましょう

現在はカブール事務所の3名が移動映画教室チームとして活動しています。どのような一日を過ごしているかご紹介したいと思います。

午前8時

カブール事務所へ出勤。アフガニスタンでは朝8時から夕方4時が定時です。

午前8時20分

機材や荷物を車に積んで、上映会を行う村へ出発します。電気や上映に必要な機材がそろっていない場所が多いため、発電機や映写機、映画を映すスクリーン代わりの白いシーツ、暗幕なども、教材とともに車に積み込んで持って行きます。

午前10時
村に到着したモバイルシネマチーム

村に到着。移動映画教室が来るのを楽しみにしていた子どもたちがすでに集まってきています(2012年3月28日、パルワーン県バグラム)

パルワーン県バグラムにある村に到着。会場へ案内してもらい、機材を準備して、いよいよ上映会のはじまりです。

午前10時10分~午前12時

地雷の恐ろしさだけでなく障害者支援についても考えてもらう場に

まず、地雷被害者支援をテーマにした約20分間の映画を上映します。外で遊んでいるときに地雷を踏み、両足を失ってしまった男の子の話です。サッカーが大好きだった男の子は、事故の直後は悲嘆に暮れ、家に閉じこもりがちになってしまいます。しかし家族や友達、先生の助けを借りてだんだんと元気になり、映画の最後には車いすバスケットボールのプレイヤーとして活躍する、というストーリーです。

地雷被害に遭ったとしても、友達と一緒に学んだり遊んだり、スポーツを楽しむこともできます。そのためには本人のやる気と、周りの人たちの理解と協力が必要です。上映中、子どもたちは映画を楽しみながらも、とても集中している様子です。

ポスターを使いながら地雷や不発弾について説明

上映後、ポスターを使って地雷や不発弾について説明します。(2012年3月28日、パルワーン県バグラム)

上映後はパンフレットやポスターなどの教材を使って、地雷や不発弾はどんな形をしているのか、見つけたときはどうすればよいかをさらに詳しく説明します。地雷や不発弾には様々な種類があり、知らずに近づいて怪我をする子どもが多くいます。見つけたときは近づかず、すぐに大人に知らせる必要があります。また、道に赤い石が置いてある場合は、その先の土地はまだ地雷除去が行われていないということ。白い石の置いてある道を通らなくてはなりません。

授業中は、たくさんの質疑応答を通して子どもたちの理解を深めます。授業のあとはノートやパンフレットを渡し、上映会に来られなかった家族や友達にも授業で学んだことを伝えてもらえるように、子どもたちにお願いします。

午後1時

荷物をまとめて村を出発し、事務所に帰る前に食堂でお昼ごはん。ランチタイムは1時間です。

午後2時30分

カブール事務所に到着。日報を書いて明日の仕事の準備をします。4時頃には業務を終え、家に帰ります。

上映会に来ていた子どもとお兄さんに話を聞いてみました

お兄さんと一緒に上映会に来てくれた12歳の男の子。お兄さんは以前地雷の被害に遭い、両足を失いました。「今日映画を観て、絶対に地雷に触ってはいけないこと、それから近寄ることもいけないことが分かりました。もし地雷や不発弾を見つけたら、すぐに警察やおとなに知らせるようにします」と話してくれました。お兄さんは、「危険な場所やものには決して近づいてはいけないということを学んでほしくて、彼を今回の上映会に参加させました。この映画は教育上とても意味があるし、子どもだけでなくすべての人に観てもらいたいです」と言っていました。

今後は女性への教育により力を入れていきます

難民を助ける会カブール事務所では、この移動映画教室のほかにも、独自に作成したラジオ番組や短いテレビドラマを通して教育活動を行っています。今後特に力を入れていく予定なのが、女性を対象にした地雷回避教育です。アフガニスタンの一部の村では、薪を集めたり飲み水を汲みに行くときに、地雷がまだ埋まっているかもしれない危険な場所を通ってしまうことがあります。難民を助ける会では、そうした仕事をする女性たちが地雷や不発弾による被害に遭うことを防ぐため、カブール事務所の女性職員を増やし、女性への教育を進めています。また、母親は子どもたちとじかに接する機会が多いので、学んだことを子どもたちに分かりやすく伝えてくれることも期待されます。

これからも様々な手段を通じて、地雷回避教育と被害者支援のメッセージをアフガニスタン全国の人々に伝えていきます。

※この活動は、皆さまからのご寄付に加え、ジャパン・プラットフォームの助成を受けて実施しています。

< 活動ニューストップに戻る

ページの先頭へ