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ウガンダ:地雷被害に遭った方々の生計支援を実施しています

2012年06月05日  ウガンダ地雷対策
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厳しい生活を強いられている地雷被害者を支えるために

ウガンダでは、1980年代後半から約20年間にわたり、政府軍と反政府軍の間で内戦が続き、特に激しい戦闘が繰り広げられた北西部では、多数の地雷が埋められました。その多くは今も残されたままで、被害者が出続けています。被害者は、事故による身体的な障害が原因で仕事を失ったり、治療費のために家や土地を手放し、家業を続けられなくなるなど、厳しい生活を強いられています。2009年のウガンダ政府の調査では、被害者のうち何らかの収入がある人の割合は8%に留まっています。

難民を助ける会では、2009年よりウガンダ地雷被害者協会(Uganda Landmine Survivors Association, ULSA)と協力し、被害者支援に取り組んでいます。現在、事故が多く報告されている北部リラ県で、就職が難しい被害者が自立できるよう、30名を対象に生計支援を行っています。

「将来への希望が持てるようになりました」

運営する雑貨店で、シルビアさん

左目を失明したシルビアさん(右)は雑貨店を開き、当会が提供した菓子や砂糖、洗剤などの販売を始めました(2012年5月14日)

シルビア・アチオさん(40歳)は、2003年、当時営んでいた古着屋に向かう途中、乗っていたトラックが地雷に接触するという事故に遭い、左目を失明。6ヵ月間入院しなくてはならなくなり、店を手放しました。難民を助ける会は2012年4月、雑貨店を開くために必要な物資と2ヵ月分の賃料をシルビアさんに提供しました。開店から2週間で徐々に利益が出始めたそうです。「夫とは事故が原因で離婚しました。もっと利益を出し、ひとりで養っている2人の子どもを学校に行かせたい。そして自分の家を持ちたい」と話してくれました。

車いすに座るコマケチさんと大久保

「ウガンダには多くの被害者がいることを忘れないで」と話すコマケチさん(右)。左は東京事務局の大久保真紀(2012年5月14日)

2002年に地雷事故に遭い、両脚を切断したコマケチ・モーゼズさん(26歳)には、美容室を開くための資材と賃料2ヵ月分を支援しました。コマケチさんは美容師を雇って1ヵ月前に美容室を開店し、今は1日7~8人の来店があります。「人生に希望が持てるようになりました。ありがとう。一人でも多くの被害者が自分のように自立への道を切り開くことができるよう支援を続けてほしい」と話してくれました。

今後難民を助ける会では、生計支援に加えて、地雷被害者15名を対象に治療支援も行う予定です。義肢を必要とする人、地雷の破片が体内に残っている人、身体機能回復のためにリハビリが必要な人などに対して、治療費や入院費、病院までの交通費などを支援していきます。

内戦が沈静化した現在も、老若男女を問わず地雷事故の被害者は出続けています。被害者の方々が前向きな人生設計を描けるよう、難民を助ける会は今後もウガンダでの支援活動を続けてまいります。

美容室でお客さんの頭を刈る男性

コマケチさんの営業する美容室。コマケチさんは高校生のとき、車に乗っていて地雷事故に遭いました(2012年5月14日)

杖を突くソロモン君

ソロモン君(写真中央、9歳)は内戦中に父親と左脚を失いました。小売店を始めるための商品を受け取った母親のジャネットさん(右から2番目)は、「仕事を始めて利益が出るようになったら、子どもたちを学校に行かせたいです」と語っています。ソロモン君の右の女性はULSA代表のマーガレットさん、左端は大久保真紀(2012年5月15日)

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 大久保 真紀

2011年9月より国内・海外事業を担当。米国の大学院在学中にフィリピンでストリートチルドレンの支援を行うNGOでインターンシップを経験。帰国後、政府系国際協力団体で日本やウガンダでの支援活動に従事した後、当会へ。栃木県出身

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