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カンボジア:学校に通える喜びを、障がいのある子どもたちにも

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4/18(金)「NGO職員のやりがいも苦労も全部見せます!ただいま東南アジアで奮闘中」

教師も試行錯誤しながら

カンボジアの障がいのある子どもたちの多くは、就学年齢に達してもさまざまな理由から、教育を受けられずにいます。AARでは2013年4月より、南部のカンダール州で、より多くの障がい児が教育を受ける機会を得られるよう支援しています。駐在員・園田知子が報告します。

子どもたちと園田知子

舗装工事が完了したコッチュラム小学校の子どもたちと園田知子(右)(2013年10月14日)

AARはまず3つの小学校で、車いすでも使えるようトイレを新設または改修。スロープの設置や敷地内の舗装などのバリアフリー工事を行い、学校が障がい児を受け入れる物理的な環境を整えました。

次いで、昨年8月には各校の教員を対象に、障がいについて理解を深めてもらうための研修を実施。さらに障がい児がいるクラスの担任教諭には、障がい児が理解しやすい教材の活用方法を学ぶ研修を行いました。障がい児の席の配置、聴覚障がい児に話す際の声の大きさ、弱視の子どもへの板書のしかたなども詳しく説明しました。参加した多くの教員が、学んだ内容を日々の授業で役立ています。

参加者のひとり、チュム・サルンさん(コッチュラム小学校教員)は、自分が受け持つクラスに数名の障がい児がいます。研修を受けてから、障がい児への配慮を考えるようになり、使う言葉や態度も変わったと言います。「研修では、障がいのある子どもへの説明のしかたや接し方など、それまで苦労していた問題への対処方法がわかりました。障がい児も学びたいという気持ちは同じ。ほかの子どもたちと一緒にきちんと学べるよう助けてあげたいと思うようになりました」。

インタビューに答えるチュム・サルン先生

AARの教員向け研修が助けになったと話すチュム・サルン先生。「これからも子どもたちの"学びたい"という気持ちを伸ばしていきたい」と話してくれました(2014年2月27日)

小学校での授業の様子

聴覚に障がいのあるニー・ルティーローマニアくん(9歳)の席は最前列。先生が大きな声でゆっくり話してくれるので、「前よりよく聞き取れるよ」と嬉しそうです(2014年1月13日)

「できる」が自信につながる

ロイ・サポワン先生

ビーレアくんの担任のロイ・サポワン先生(右)も、「AARの教員研修後は、障がい児に愛情を持って接しています」と語ってくれました(2014年2月27日)

3つの小学校で、障がい児一人ひとりの必要性に応じて子どもに車いすなどの補助具を提供したり、リハビリテーションや治療の支援も行っています。補助具を得て学習がしやすくなり、リハビリを通して自分でできることが増える。それが、障がい児自身の自立と自信につながっています。

ニー・ビーレアくん(8歳)はプラエク・タミア小学校1年生。生まれつき両腕がありません。これまで足を使って机の下で小さな黒板にチョークで文字を書いていました。AARが足台つきのいすを支援したところ、とても書きやすくなったと喜んでくれました。「学校は楽しいし、(バリアフリー)工事のお蔭で校内でも移動が楽になったよ」と嬉しそうです。

ビーレアくんの担任のロイ・サポワン先生も、「これまでは障がい児を教えることに苦労していましたが、教員研修が大きな助けになりました。今は愛情をもって接し、学習を後押しするようにしています」と語ってくれました。

足でメモを取るビーレアくん

ニー・ビーレアくん(8歳)は生まれつき両手がありません。これまでは机の下に黒板を置いて、文字が書きにくそうでした(2013年7月)

専用のいすを使うビーレアくん

AARがビーレアくんに足台つきのいすを支援したところ、「とても書きやすくなった」と話してくれました(2014年2月21日)

地域の人々も巻き込んで

スローガンを掲げて行進する子どもたち

小学生たちが「障がい児にも就学の機会を」と訴えながら村を練り歩きました(2013年9月20日)

障がい児が教育の機会を得るためには、学校だけではなく、地域の人々の理解や協力も不可欠です。新年度の開始を控えた昨年9月下旬、当会が活動する3つの村で、適齢期の子どもたちの就学を促すキャンペーンを行いました。小学生たちが大勢参加し、「障がい児の就学は、地域の貴重な人材の増加につながります」「障がいのある子もない子も、すべての子どもが就学する権利を持っています」などのスローガンが書かれた札を掲げたり、ちらしを配付したりしながら、就学の大切さを訴えて村を練り歩きました。

寸劇

寸劇を通して障がい者への理解を深めてもらうイベントを開催しました。子どもたちも熱演し、地域の人たちにも好評でした(2013年11月22日)

また、カンボジアの障がい者に関わる法律について、地域の人々に知ってもらうためのイベントも行いました。小学生たちが、教育、雇用、治療、リハビリをテーマに寸劇を披露しました。

例えば教育をテーマにした寸劇では、障がい児とその母親役が2組登場。ひとりの子どもがその母親と一緒に学校へ就学の登録に出かけるのを見て、もうひとりの子は自分の母親に、「ぼくも登録に行きたい」と訴えます。しかし母親は、「あなたは障がいがあるのに学校に行って何になるの」と返します。

ここで寸劇が終わり、参加者に、今のやり取りを見てどう思ったかなどを話し合ってもらいます。議論した後に、障がい児にも教育を受ける権利があり、それは法律のどの部分に書かれている、とファシリテーター役のAAR現地スタッフが説明します。

寸劇は、大切な法律の話を堅苦しくなく説明できる上、参加者も関心を持って自ら考え学べる、とても効果的な方法です。子どもたちも上手に演じてくれ、障がい児の家族を含む地域の人々にも好評でした。

活動を通じて障がい児やその保護者、先生たちから「ありがとう」の言葉を聞くたび嬉しくなります。しかし、カンボジアでこのような支援を受けられる障がい児は、まだほんの一握りです。同様の取り組みをほかの地域にも広げ、障がいの有無に関わらず、すべての子どもたちが笑顔で通い学べる学校が増えるよう、活動を続けてまいります。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

カンボジア事務所駐在 園田 知子

大学卒業後、在外公館勤務を経て、イギリスの大学院で教育開発を学ぶ。その後、青年海外協力隊員としてカンボジアで2年間、途上国の学校運営に携わり、2011年5月よりAARへ。「障がい児のために今できることを一つひとつこなしていきたい」。山口県出身

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