スーダン、アフガニスタンで地雷対策に取り組む現地スタッフが来日しました
「地雷対策の現場から」
2014年4月、AARが地雷・不発弾対策を行うアフガニスタン、スーダンの両事務所から現地職員が研修のため来日しました。日本の方々に地雷被害の現状や現在行っている支援について報告するとともに、互いの活動における課題や対策、工夫などを共有しました。
対人地雷全面禁止推進議員連盟の総会で活動を報告
4月10日、4名は超党派の国会議員で組織される対人地雷全面禁止推進議員連盟(小坂憲次会長、小渕優子幹事長)の総会に招かれ、地雷問題の現状や両国での活動について報告しました。同議連は1997年に発足し、日本の対人地雷禁止条約の署名に大きな役割を果たしました。
自身も不発弾被害者でもあるアフガニスタン事務所のスタッフは、「近年、地雷だけでなく不発弾被害も深刻で、特に子どもの被害が多く、彼らは特に教育の面でサポートを必要としています」と報告。また、「私は、AARを通じて日本から支援を受け、英語やパソコンを学び、今こうして祖国の地雷被害の削減に貢献できています」と、同議連の取り組みと日本からの支援に感謝を述べました。総会では同議員連盟より、AARの地雷回避教育活動や被害者支援のためにと、50万円のご寄付をいただきました。
自国での活動や文化・生活を紹介
4月11日には、報告会「地雷対策の現場から」を株式会社グローバルユースビューロー本社の多目的サロン(東京都港区)にて開催。4名が、活動と自国の文化や生活について報告しました。スーダン事務所のサナは、活動を通じて出会った地雷被害者とのエピソードや女性ならではの苦労・役割を紹介しました。「イスラム国スーダンでは、私のような女性が地方の村で活動することは簡単ではありません。受け入れてもらうために、地域によって異なる文化・風習を尊重し、服装や振る舞いに気を使います。しかし、女性だからこそ入れる場所もあり、女性だからこそ伝えられることがあるのです」と語りました。
また、両事務所の職員は、お互いの活動報告を聞いて、「アフガニスタンの地域主体型地雷回避教育という手法は、治安が悪化している地域で非常に有効。スーダンでも試したい」「アフガニスタンでは、経験から教師や宗教指導者を巻き込むことが重要だとわかった。スーダンでも参考にしてほしい」など、意見を述べ合いました。参加者からは、「同じテーマでも国によって違う活動のアプローチがあって興味深かった」「被害を克服して活躍している姿に、心から励まされた」などの感想が寄せられました。
AAR地雷対策のますますの充実をめざして
AARが地雷・不発弾対策に取り組んで約20年になりますが、現地職員同士の交流は初の試みでした。今後もそれぞれの国で、歴代のスタッフが長い年月をかけて積み上げた経験・知見を共有しあいながら、AARの地雷・不発弾対策をより充実させていきます。
各国の活動について詳しくはこちらをご覧ください。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 本多 麻純(ほんだ ますみ)
2011年9月より支援事業を担当。米国の大学を卒業後、民間企業勤務を経てAARへ。「地雷対策は、平和構築にも欠かせません」