生活の基盤をつくる:シリア難民が笑顔でいられるように
フォトジャーナリスト川畑嘉文さんとAARシリア難民支援事業担当の景平義文がシリア難民支援の現場を語るトークイベントを開催します。3月3日(火)19:00から、八重洲ブックセンター本店8階ギャラリーにて。 |
シリア国境に近い、トルコ南東部のシャンルウルファ市。ここでAARは昨年7月、祖国に戻る見通しが立たず、トルコに定住しようとしているシリア難民のためにコミュニティセンターを開設しました。暮らしていくうえで欠かせない行政サービスについて相談を受け付けたり、各種講座や、シリア人とトルコ人が交流できるようなイベントを実施しています。
シリア人もトルコ人も一緒に
子どもたちに人気があるのは、ブラジルのスポーツ「カポエイラ」の教室です。開始当初、参加者は近所に避難してきているシリア人の子どもたちだけでした。しかし、学校帰りに教室の様子を興味津々にのぞいていたトルコ人の子どもたちも参加するようになり、10月に開催されたワークショップには、シリア人の子どもたち39人に加えて、トルコ人の子どもたちも31人が参加しました。あまり交わることのなかった難民の子どもたちと地元の子どもたちが、一緒に体を動かす貴重な機会となりました。
質問飛び交う、"白熱"トルコ語教室
そして、子どもから大人まで平均して毎回約40名が参加する、もっとも人気の高い講座がトルコ語教室です。日常生活を送るのに必要なため、母国語ではないトルコ語を習得しようと出席者たちは真剣に授業に臨んでいます。子どもたちは、現地の公立学校に通ってトルコ人の友だちを作れるように、一生懸命にノートを取っていて、授業中は質問が飛び交う白熱した雰囲気が漂います。今年1月からは障がいのある方も、送迎車を利用して教室に参加できるようになりました。
新しいコミュニティセンターの設立へ
現在トルコ南東部では、難民の人数に対してこうしたコミュニティセンターが不足しています。そこでAARは、現在のコミュニティセンターの運営を現地の提携団体に任せ、もうひとつのコミュニティセンターを設立する計画です。
シリア危機が始まってから4年が経とうとしています。しかしいまだ内戦が終わる見込みはなく、昨年9月には武装組織「イスラム国」によるシリア北部アインアルアラブ(クルド名コバニ)への攻撃により、さらに多くの難民がトルコに流入しました。避難生活が長びき、トルコでの生活に適応しようとしている方々への「中長期的な支援」と、新たに難民となり食料すら事欠いている方々への「緊急性の高い支援」の2つが求められている状況です。AARはこれらの支援を同時並行で、今後も行っていく予定です。
※この活動は、皆さまからのあたたかいご支援に加え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成を受けて実施しています。
【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
東京事務局 栁田 純子(やなぎだ じゅんこ)
2013年5月よりシリア難民支援事業を担当。「シリア人の子どもたちの笑顔が絶えないよう、引き続き活動を行っていきます」。東京都出身