ミャンマー水害:「私もやっと被災者と認めてもらえた」
AARは、ミャンマーとパキスタンで発生した水害の被災者に対し、緊急支援を実施しています。パキスタンでの最新活動報告はこちら
ミャンマーで発生している水害の被災状況は、少しずつ改善しています。AARではいまだに自宅に帰れず避難生活を続ける方々に、食料や生活物資の配付を続けています。8月21日までに6つの州と地域で、併せて445世帯の障がい者のいる家庭と、2つの避難所に支援物資を届けました。
8月21日までの配付実績
【配付地域・世帯】
ラカイン州 100世帯マグウェイ地域 97世帯
サガイン地域 50世帯
ヤンゴン地域 19世帯、避難所2ヵ所
エヤワディ地域 179世帯、避難所1ヵ所
【緊急物資の内容(1世帯あたり)】
お米、豆、干し魚、魚の缶詰、調理油、鍋、飲料水、衛生用品(歯ブラシ、石けんなど)、懐中電灯など
今の私に必要なものばかり。日本の皆さん、ありがとう
ポリオの後遺症で足に障がいがあるカインラシュエさん(43歳、右写真)は、家庭教師の仕事で生計を立て、一人暮らしをしていました。7月中旬、激しい雨が降り続き、町全体が洪水に襲われる中、「自力で逃げられない私は溺れ死んでしまうのでは」と、不安に震えていました。近所の人が逃げ遅れた人たちを小舟で助けに来てくれて、ようやく小高い丘へと逃れることができました。
避難所に行けば大丈夫だと安心したのもつかの間、どこの避難所もすでに人で溢れかえっていて、カインラシュエさんは入れてもらえません。そこで、やむをえず親せき宅に身を寄せました。ところが政府やNGOなどからの支援物資は、個人宅には届きません。ほとんど何も持たずに逃げてきたカインラシュエさんは、支援物資を受け取ろうと、避難所に向かいます。しかし避難所の管理者から「これらは避難所にいる被災者のためのもの。外部の人には渡せない」と言われてしまいました。親せき宅も決して裕福ではありません。いつ自宅に帰れるかわからず、その間は家庭教師の仕事もできず、これからどうなるのかと心配は募るばかりでした。
協力団体のMILIは、このような障がい者ひとりひとりの状況を把握し、避難所だけでなく個人宅にも支援物資を届けています。やっと物資を受け取ることができたカインラシュエさんは、こう話します。
「支援物資をもらったのは初めてです。他の人のように自分も被災者の一人として認められたことがとても嬉しいです。いただいた物は、今の私にはどれも必要なものばかりです。支援をしてくださったMILIや日本の人々、全ての方々にお礼と感謝の気持ちを伝えたいです」
カインラシュエさんのように、障がいのためにとりわけ困難を強いられたり、様々な理由から支援を受け取ることができなかったりということが、災害時にはミャンマーに限らず日本でも、どこででも起こりがちです。AARでは協力団体のMILIとともに被災した方々の状況をしっかり確認し、引き続き支援を届けてまいります。
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郵便振替: 00100-9-600 加入者名: 難民を助ける会 |
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【報告者】 記事掲載時のプロフィールです
ヤンゴン事務所 中川 善雄
大学卒業後、日本赤十字社に約5年勤務。その後、国際協力の現場を希望しAARへ。2011年3月より2013年9月までタジキスタン駐在。2013年10月よりミャンマー・パアン事務所、2015年1月より同国ヤンゴン事務所駐在代表。神奈川県出身