活動ニュース

アフガニスタン:女性から女性へ これからの地雷回避教育

RSS
4月4日は「国際地雷デー」です。4月29日(水・祝)、地雷をテーマにしたチャリティ朗読コンサートを開催します。

長年にわたり治安の不安定な状態が続くアフガニスタンでは、今も分かっているだけで毎月およそ40人が地雷・不発弾事故の被害に遭っています。このような危険から人々が身を守れるよう、AAR Japan[難民を助ける会]は2002年から、地雷や不発弾がどんな形をしているのか、見つけたらどうすればいいのかなどを教える、地雷回避教育を行っています。2005年からは、AARが教材として独自に制作した短編映画を使い、『移動映画教室』を実施してきました。上映後、AARのアフガニスタン人スタッフが、ポスターなどを使って地雷の種類や危険性などについて教えます。アフガニスタンでは娯楽が少ないため、"映画"を見られる貴重な機会とあって好評ですが、当初なかなか女性たちの参加は叶いませんでした。講師が全員男性だったからです。アフガニスタンの文化習慣上、成人した女性が家族以外の男性と同じ部屋で過ごすことはできません。

女性の役割の大きさを重視

アフガニスタンでは女性が外に出ることは少ないため、地雷・不発弾事故の被害に遭うのは主に男性や子どもたちです。しかし、家庭のなかで子どもたちのしつけの役割を担っているのは母親。母親たちに地雷などについての知識があれば、それは子どもたちにも伝わる―そう考えて、私たちは女性への教育を重視してきました。2012年からは女性のスタッフを雇って『移動映画教室』を開始したところ、女性の参加者が大幅に増加。クリニックや女性支援センターなどを精力的に回った結果、2010年には100人にも満たなかった女性の受講者は、2013年には1万人近くにのぼりました。

「子どもたちを守りたい」

これまで講師はAARのスタッフが務めていましたが、昨年からは住民のなかから希望者を募って、指導員として育成を始めました。私たちが長年にわたり蓄積してきた地雷回避教育の手法を伝えることによって、今後は地域の人たち自身が地雷や不発弾の危険性を、ほかの住民に教えられるようにするためです。昨年は男性の指導員120名を育成し、今年からは女性の指導員も増やすべく動き始めました。

指導員に応募した女性のひとりは、カブールの学校教師。地雷や不発弾はとりわけ子どもたちにとっての脅威だと考え、AARの研修を受けました。「地雷や不発弾の危険について注意を呼びかけることは、私の、そしてすべてのアフガニスタン人の責任です。地雷回避教育には効果があり、実際に事故を減らすことができるのです」。彼女は今、勤務先の学校で、子どもたちに地雷について教えています。「子どもたちには、教わったことを友人や家族に伝えていってほしいと思います」。彼女を含め、すでに10人の女性が指導員になるための研修を受けました。 住民から住民へ、女性から女性へ。正しい知識が伝わり、いつか地雷などの事故に巻き込まれる人がいなくなるように。そう願いつつ、AARは支援を続けています。

※この支援は皆さまからの温かいご寄付に加え、ジャパン・プラットフォーム(JPF)からの助成を受けて実施しています。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務局 宮越 清美

大学卒業後、証券会社を経て国際協力NGO駐在員としてイランやヨルダンで難民支援などに従事。2013年10月にAARへ。アフガニスタン事業などを担当。宮崎県出身

< 活動ニューストップに戻る

ページの先頭へ