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2025年までに世界から地雷をなくそう!―6/11「地雷ゼロを目指す夕べ」を開催

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2019年6月11日(火)、帝国ホテル本館中2階光の間(東京都千代田区)にて、イギリスの非営利団体ヘイロー・トラストとAAR Japan[難民を助ける会]の共催で、「地雷ゼロを目指す夕べ」を開催しました。地雷除去の専門団体であるヘイロー・トラストとは、AARは1996年から世界各地で一緒に活動しています。会場にはアフガニスタンやアンゴラの大使をはじめとする各国大使館の方々、国会議員およびメディアの方々、日々地雷対策をご支援いただいている方々がかけつけ、イギリスから来日したヘイロー・トラストの職員やAAR職員も合わせ、88名が集いました。

受け継がれるダイアナ元妃の志

ダイアナ元妃がヘイロー・トラストの行うアンゴラの地雷除去現場を訪問されたのが、1997年。白いシャツにカーキ色のズボンをはいた女性が、防護服をまとって地雷原を歩く写真をご記憶の方も多いかもしれません。それから22年。地雷原だったこの土地は除去が完了し、今では人々が生活する活気ある町となっています。その街で生まれて、育って、また新しい命が誕生するのに十分な期間が過ぎました。世界にはこのような場所がたくさんあります。そして、そのような場所を一か所でも増やしていくことが求められます。そのために1997年に「対人地雷禁止条約(通称オタワ条約)」が作られ、今日現在164ヵ国が加盟しています。
そして2014年に条約締約国が集まって開催された会議の場で、「2025年までに地雷を撲滅する」という目標を定めました。今回開催した「地雷ゼロを目指す夕べ」は、その実現に向けた取り組みを後押しする目的で企画しました。

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各国大使館や国会議員、メディア、支援者など88名が集った「地雷ゼロを目指す夕べ」

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ヘンリー英国王子からのビデオメッセージでは、母である故ダイアナ元妃の姿も

冒頭、ヘイロー・トラスト代表のジェームズ・コーエン氏が開会のあいさつをした後、ダイアナ元妃の次男であるヘンリー王子によるビデオメッセージが上映されました。ヘンリー王子は母の遺志を受け継ぎ、精力的に地雷対策活動に取り組んでおられます。ダイアナ元妃がまいた種が大きな花を咲かせているのです。

続いて外務省の辻清人政務官、猪口邦子参議院議員、山口那津男参議院議員、デイヴィッド・エリス英国臨時代理大使からご挨拶を頂戴しました。

「それぞれが自分にできることを」―地雷被害者の紛争ジャーナリストが講演

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「地雷で子どもたちが未来を奪われることのない世界は、実現できると信じている」と語るジャイルズ・ドゥーリー氏

特別ゲストとして来日し、講演したのが、紛争ジャーナリストであり、自身も2011年にアフガニスタンでIED(即席爆発装置)の被害に遭ったジャイルズ・ドゥーリ―氏です。ドゥーリ―氏は両足と左腕を失いながら、複数回にわたる手術と厳しいリハビリに取り組み、わずか1年半後には取材活動を再開。現在も紛争に傷つく人々の姿を伝えるとともに、自身の体験も語り伝え、地雷対策への支援も積極的に行っています。
彼はときにはユーモアを交えながら、イラクやカンボジアで出会った地雷の被害にあった子どもたちその家族の痛みや苦しみ、つらい思い、そして彼自身も被害者として同じような思いを抱いていることを語ってくれました。そして会場に向け、「皆さんひとりひとり、自分に何ができるかを考えてほしい」と訴えました。

スピーチの動画と全訳はこちらをご覧ください。

参加者同士が熱い議論

スピーチの後は懇談の時間となり、参加者同士、あるいはドゥーリー氏を囲み、あるいはヘイロー・トラストやAARの職員らとともに、活発に語り合いました。

会場には、これまでの日本の政府や市民の支援で行われた地雷除去活動や、それによってもたらされた地域の安全と発展を振り返る写真パネルも多数展示しました。

また、地雷除去活動に従事した経験を持つ私は、会場に模擬地雷原をつくり、除去作業を実演しました。小さな模擬地雷原ですが、実際に埋められている状況を再現し、どのように埋められていて、どのように地雷を見つけるかを細かく説明しました。「作業中に負傷してしまう方はいないのかしら? 危険な命がけの作業なのですね」「本当にこんなに小さいの、対人地雷って?」といった驚きの声が聞かれました。

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地雷対策活動のパネルを説明するヘイロー・トラスト代表のジェームズ・コーエン氏(中央)

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模擬地雷原で、実際に使われている地雷探知機を用いながら除去を実演。「地雷ってこんなに小さいんですか」と驚きの声が

「夕べ」に参加してくださった皆さまからは、「素晴らしい活動をしてますね、ぜひとも継続してほしい」「できる限り応援していきたい」「日本の多くの人に地雷問題が続いていること、傷ついている人がいることを知ってほしい」など、数多くのコメントを頂戴することができました。

地雷ゼロを目指し、皆さまと力を合わせて

日本ではすっかり下火になってしまった感のある地雷問題ですが、現実にはまだまだ深刻な問題です。2003年と比較して、被害が大幅に減ったカンボジアのような国もある一方、一時的に被害は大幅に減ったものの最近は被害が激増しているアフガニスタン、紛争が続くことによって被害が多数出ているシリアのような国もあります。

汗水たらしながら地雷除去に取り組む人々。子どもたちのために地雷の被害にあわないように教育を続けている人々。被害にあった人たちに寄り添いながら支援を続けている人々。ヘンリー王子を筆頭に、ヘイロー・トラストの職員、ほかの多くの団体の仲間が世界の各地で今日も支援活動に従事しています。多くの皆さまに支えられながら、これらの仲間たちと地雷の被害をなくすために活動できることをとても誇りに思います。皆さまの思いとともに、ヘイロー・トラストとAARは、「地雷ゼロ」を目指して地雷対策活動を地道に続けてまいります。

【報告者】 記事掲載時のプロフィールです

東京事務所 紺野 誠二

2000年4月から約10ヵ月イギリスの地雷除去NGO「ヘイロー・トラスト」に出向、不発弾・地雷除去作業に従事。その後2008年3月までAARにて地雷対策、啓発、緊急支援を担当。AAR離職後に社会福祉士、精神保健福祉士の資格取得。海外の障がい者支援、国内の社会福祉、子ども支援の国際協力NGOでの勤務を経て2018年2月に復帰。茨城県出身

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