駐在員・事務局員日記

ミャンマー:職業訓練校の一日って?

2016年09月08日  ミャンマー
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執筆者

生田目 充

2016年4月よりミャンマー事務所駐在。大学時代、中国のハンセン病の元患者が暮らす隔離された村でワークキャンプを開催するサークルに所属。4年間で10度にわたり同村を訪問し、周囲の理解促進や差別の解消に取り組んだ。物流会社に勤務した後AARへ。趣味はサッカー、読書。茨城県出身

記事掲載時のプロフィールです

AAR Japan[難民を助ける会]は2000年からミャンマーのヤンゴンで、障がい者のための職業訓練校を運営しています。洋裁・理容美容・コンピューターの各訓練プログラムをミャンマー全土から集まる障がい者に提供し、就労支援を行っています。当訓練校では、経済的に苦しい障がい者が訓練に専念できるよう、全寮制となっています。今回は、寮で共同生活を送る訓練生がどのような一日を過ごしているのかを、ヤンゴンでの日常風景を交えて、駐在員の生田目充がお伝えします。

寮生活の一日

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毎朝30分間の朝礼で、一般教養について学びます(2016年5月4日)

職業訓練校に併設されている寮では、約45人の訓練生が3ヵ月半の間、共同生活を送ります。起床は朝5時45分。校内を清掃後、自分たちで調理して朝食をとります。メニューは大抵カレーです。毎朝授業の前に8時半から30分間の講義があり、現地スタッフや外部講師の講話から生活上の注意点や金銭管理、ビジネスマナーなど、一般教養を幅広く学びます。一方、近くのアパートに住んでいる私は、8時半からの業務開始に合わせ訓練校に出勤します。バスや電車など交通機関が未整備のヤンゴンでは、移動手段が限られており、訓練校への交通手段は、ヤンゴンで一般的な交通手段であるタクシーを使っています。近年中古車の輸入規制が緩和されて以降、ヤンゴン市内の車両台数も飛躍的に増え、交通渋滞は日常茶飯事です。ミャンマーのタクシーは乗車前に料金交渉が必要で、せっかく捕まえたタクシーを取り逃がすことも。

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この日の昼食は、チェッタヒンと海藻スープ。日本から持参したふりかけをかけてみました(2016年8月29日)

私も午前の授業に参加してみました。洋裁コースの授業では、ミシンを使う練習をしています。採寸、型の切取り、縫い付けなど、訓練生は手先を器用に使い、技術を習得しています。午前の授業を終えると、コース毎に昼食の時間となります。スタッフも訓練生と一緒に、用意された料理を食べます。ですが、メニューは昼食も毎日カレーです。ミャンマー語では、チェッタヒン(鶏肉カレー)、ウェッタヒン(豚肉カレー)と呼ばれているミャンマー料理です。「ヒン」というのは、日本語でおかずや煮込み料理を意味しますが、ミャンマー人にとってヒンと言えば、一般的に、ミャンマーカレーを指します。カレーといっても日本のようなとろみのあるカレーではなく、玉葱、ニンニクなどの野菜、トマトなどを大量の油で炒め、煮詰めて水分を飛ばしたもので、油っこい仕上がりとなります。私は今までほかのお店で、この油で幾度となくお腹を壊し、ミャンマー料理を受けつけなくなっていました。しかし、訓練校で毎日出される昼食のミャンマーカレーは不思議と箸も進みます。

前向きな姿に触れて

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洋裁コースの一コマ。採寸通りに切取り、縫いあげていきます(2016年8月8日)

ミャンマーは日本の四季と異なり、暑季・雨季・乾季に分かれており、5月中旬から10月中旬は雨季に当たります。日中は蒸し暑く、エアコンのない訓練校では、日々暑さとの闘いです。午後の授業は16時半に終了。夕方になり暑さもやわらいできたところで訓練生は授業を終えて寮に戻ります。私が訓練生に挨拶をすると、訓練生は必ずニコッと笑顔を見せて挨拶を返してくれます。訓練生に限らず、ミャンマーの人々は温和で素直な性格の人が多く、接していて気持ちも明るくなります。放課後は近くの市場に買い物に行ったり、自習をしたりして、一日を終えます。

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訓練校の卒業式後に、同じ歳のコンピュータコースの訓練生と。卒業しても訓練生との交流は続いています(2016年8月17日)

卒業後、訓練生は故郷で自分のお店を開業したり、一般企業に就職したりして自立していきます。微力ではありますが、今後も訓練生が独り立ちしていけるよう、しっかりとサポートを行っていきたいと思います。 現在、AARでは、できるだけ多くの方々に職業訓練校の存在を知ってもらうため、積極的に見学を受け入れています。ミャンマーにお越しの際は、ぜひ当校にお立ち寄りください。

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