2022年2月にロシアによる軍事侵攻が始まり、「戦争」のイメージが定着してしまったウクライナ。でも、ウクライナには本来、素朴ながらも美味しい食べ物がたくさんあります。AARモルドバ駐在員の東マリ子が現地で味わったウクライナ料理についてお伝えします。
こっちが〝本家本元〟真っ赤なボルシチ
ロシアや東欧諸国で広く親しまれている家庭料理ボルシチ。ロシア料理として認識されていますが、実はウクライナ発祥の料理です。家庭ごとに入れる具材や作り方が異なり、ウクライナ人にとってのボルシチは、日本人にとっての味噌汁のような存在なのです。オイリーなものやあっさりしたもの、牛肉を使ったものもあれば豚肉を使ったものもあり、「スメタナ」という乳脂肪分の高いサワークリームを混ぜて食べます。
ボルシチはお肉がゴロゴロ、ジャガイモなどの野菜や豆もふんだんに入っているので、かなり食べ応えがあります。日本だったら2人分くらいになるかもしれません。それに「パンプーシュカ」と呼ばれるガーリックブレッドが付いてきます。スープの他にサラダとメインまで頼むと……後で後悔することになりますので、いつかウクライナに行ってボルシチを注文する際は、くれぐれもご注意ください。
侮るなかれ!ジャガイモパンケーキ
こちらもウクライナの家庭料理、ジャガイモのパンケーキ「デルニ」。外はカリッ、中はモチモチ。一見小さく見えますが、侮ることなかれ。こちらも見た目以上に食べ応えがあります。ボルシチを完食した後、私は3枚出てきたデルニ(写真)を2枚しか食べられませんでした……。
そして、何と言っても忘れてはいけないのが、ウクライナ家庭料理の代表格、水餃子「ワレニキ」。具材は肉、キャベツ、ジャガイモ、カッテージチーズ、キノコなどに加え、ジャム、リンゴ、サクランボなどバリエーションが豊富で、食事にもデザートにもなります。
このように、ウクライナには美味しい料理がいっぱい。軒数は多くありませんが、日本にもウクライナ料理が楽しめるレストランがありますので、試してみてはいかがでしょうか。ウクライナに再び平和が訪れ、以前のように自由に訪問できる日が一日も早く訪れることを心から願っています。
*日本外務省の海外安全情報(2023年10月現在)では、ウクライナは「レベル4:退避勧告」に該当しますが、AAR Japanは独自の情報収集に基づき、安全を確保して短期間入国することは可能と判断しました。AARは今後も万全の安全対策を講じながら、ウクライナ人道支援に取り組んでまいります。
東 マリ子HIGASHI Marikoモルドバ事務所
大学でロシア語を専攻。商社や在ロシア日本大使館勤務の後、2021年にAAR入職。旧ソ連タジキスタン駐在を経て、2023年1月からモルドバ駐在員としてウクライナ事業を担当。