第27回国際地雷対策プログラム責任者会合が4月29~30日、スイスのジュネーブで開催され、AAR Japan[難民を助ける会]から東京事務局の紺野誠二が参加しました。紺野が会場周辺を歩いて感じた思いをお伝えします。
国連というと本部があるニューヨークの摩天楼ビルを思い浮かべるかもしれませんが、ジュネーブにはニューヨークに次ぐ大きな事務所(国連ジュネーブ事務所)が置かれています。事務所のすぐ近くには、国連高等難民弁務官事務所(UNHCR)や赤十字国際委員会の本部があるなど、人道の街といえます。今回の会合が開催されたジュネーブ国際会議場には、難民支援に尽力した緒方貞子さんの名前が冠されたサロンもあります。
国連ジュネーブ事務所の前には脚が一本折れた巨大ないすのモニュメントがあります。このいすは、地雷やクラスター爆弾への反対の意思を込めて設置されたものです。地雷被害の大きさ、深刻さを象徴しているかのようです。地雷対策の会議を行うのにとてもふさわしい場だと思います。
事務所から少し離れた芝生の広場には、二つの石碑が並んでいます。片方の石碑には、たくさんの花が手向けられており、1994年にルワンダで起こった大虐殺事件の被害者を追悼するメッセージが3カ国語で記されていました。もう一つの石碑の足元にはユリのような花が咲いており、大きな文字で「ボスニア・ヘルツェゴヴィナ、1992-1995」「スレブレニッツア、1995年7月11日」と示されていました。両方の石碑にはたった一言だけ共通する言葉が刻まれていました。それは「ジェノサイド」という言葉です。
今もガザやウクライナ、そしてその他の紛争が生じている街で血が流され続け、ジェノサイドのような状況が生じているとも言われています。人道支援に携わっていると、次から次へと生じる紛争や武力衝突の悲惨さに目をそむけたくなります。あまりの現実の大きさに圧倒されると、一人ひとりの命を大切にするという基本的な精神が見失われてしまいがちです。ですが、この二つの石碑はそれではいけないことを思い知らせてくれました。我々NGOにできることはほんのわずかなことかもしれません。ですが、あの悲劇を繰り返さないように、未然に防ぐようにしないといけない。そう強く思わされました。
紺野 誠二KONNO Seiji東京事務局
AARから英国の地雷除去NGO「ヘイロー・トラスト」に出向し、コソボで8カ月間、地雷・不発弾除去作業に従事。現在は地雷問題やパキスタン事業を担当。