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スタッフ日記[国際協力の現場から]

「アジア比較教育学会」でインクルーシブ事業を発表:パキスタン

2026年1月5日

パキスタンの首都イスラマバードで2025年11月、「アジア比較教育学会」(CESA: Comparative Education Society of Asia)」が開催されました。この学会はアジア各国で2年ごとに開かれており、今年のテーマは「インクルーブで公正な教育への課題」でした。AAR Japan[難民を助ける会]は、パキスタンで行なっているインクルーシブ教育事業について発表し、保護者が関与することの重要性を訴えました。長年この事業に関わる池田直人専門家がご報告します。

学会発表中のムザンミール職員

学会で発表するAARパキスタン事務所のムザンミール・イスラム職員

主体的に事業に関わる「親の会」

AARは2019年から、パキスタン北西部のハイバルパフトゥンハー州(KP州)で、主に公立小学校を対象に、障がいの有無に関わらず誰もが学びやすい環境づくりを支援しています。

一般的に、開発途上国で行われるインクルーシブ教育の推進事業では、法制度整備、カリキュラム・シラバス開発、教員訓練、啓発活動、バリアフリー建設といった内容が多くみられます。これに加えて、AARでは「障がい児の親の会」を設立し、親の会が事業の計画・実施・評価の各過程に、主体的に関わっていることが特徴です。

「保護者の関与」重要性を強調

学会では、6つの分科会の内、「Education for global citizenship (GCED), peace and sustainable development(地球市民教育、平和と持続可能な開発)」にイスラマバード事務所のムザンミール・イスラム職員と、池田直人専門家が参加。約30人を前に「パキスタン、KP州でのインクルーシブ教育推進における、障がい児の親の意味ある参加」というタイトルで発表を行いました。

学会バナー前で撮影

学会に参加したムザンミール・イスラム職員と池田直人専門家

ムザンミル職員は、「親の会」が不就学の障がい児の家庭訪問を行って地域の学校への就学を呼びかけたり、障がい児が授業を受ける際のサポートをメンバーが交代で行なったりしている取り組みなどについて紹介。障がい児の親が関わることで障がい当事者の主体性も確保される点において、国連障害者の権利条約のスローガンである「Nothing about us without us(私たち抜きに私たちのことを決めないで)」のひとつの事例だと示しました。また保護者の関与や働きかけが、政府の説明責任や発信能力を高め、教育現場でインクルーシブ教育を推進する強い動機づけになることも強調しました。AARは、今後も「親の会」と力を合わせながら、インクルーシブ教育の推進を進めてまいります。

池田 直人IKEDA Naoto

2000年以来、パキスタンにおける国際開発事業や学術研究に従事。現在は、同国におけるAARのインクルーシブ教育促進事業に専門家として関与している

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