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スタッフ日記[国際協力の現場から]

東日本大震災から15年ー共に歩んだ皆さまへ

2026年2月26日

2011年3月11日の東日本大震災から、15年が経ちます。震災当初から東京事務局で東北事業を担当し、2013年から16年まで東北事務所長として支援にあたった坂瀬(加藤)亜季子が、当時の活動を振り返り、被災された皆さま、ご協力くださった皆さまへの想いを綴りました。

AARが寄贈した車の前に立つ、施設職員とAARスタッフ

東北事務所長時代に支援した福祉施設の皆さまと。左端が坂瀬=2015年2月

地元の皆さまに支えられた日々

東日本大震災の支援活動の際にお世話になりました皆さま、いかがお過ごしでしょうか。東京では2月半ばに雪が降り、東北で目にした冬の景色を思い出しました。私が事業を担当していた当時、AARは盛岡、仙台、相馬に拠点を置き、多くの地元の方々に、職員やボランティアとして加わっていただきました。年齢や背景もさまざまでしたが、「自分の故郷の力になりたい」という思いは誰もが同じでした。

私たちは毎日のように、地域の皆さまの元に向かい、仮設住宅での物資配付や炊き出し、福祉作業所の再建など多岐にわたる支援を行っていました。地元の地理に明るい運転手の方、被災者の体をケアしてくださった理学療法士、心に寄り添うカウンセラーの方など、地域の皆さんのご協力があってこそ、きめ細かい支援を届けることができました。現在、AARの東北事務所は閉じていますが、ともに奔走した方の多くが、今も地域の福祉の現場などで活躍されていると聞いています。

仮設住宅の集会場で、座卓を囲って座る女性たちとAARのスタッフ。

仮設住宅の集会場での交流イベント=2015年2月

被災地で聞いた言葉の重み

今、当時を振り返ってまず心に浮かぶのは、反省ややるせない思いです。被災者の皆さまに教えていただいたことは数知れず、「かえってご負担を増やしてしまったのではないか」と、胸が詰まる思いに駆られたことを、今も忘れることができません。

「困っていることはありませんか」とお尋ねしたとき、甚大な被災をして想像を超えるようなご苦労や思いがあったはずなのに、言葉少なに淡々と状況を語られた方。「もっと大変な人がいるから」と支援を辞退された方。その思いやりや心の痛みの深さに、私は何度も言葉を失いました。

町を元気づけようと、途絶えていた祭りの復活をお手伝いしたことがありました。当日は町を離れた方々も地元に戻り、にぎわいが生まれました。しかしその後、多くの住民の方が移転を決断されたと知りました。愛着ある土地を離れる選択。残る選択。そのどちらにも、計り知れない葛藤があったはずです。お祭りに参加をされていた皆さまの顔を思い出すと今も胸が締め付けられます。

一方で、少しずつ前へと歩みを進められる皆さまの姿に何度も励まされました。支援していた福祉作業所を訪ねるたびに、活動が少しずつ広がっていく様子を目にし、心からの敬意を抱きました。移動の車中から、新しくできたお店の看板を見つけると「町に灯が増えたね」と同僚たちと喜び合いました。津波で大きな被害を受けた大槌町にオープンしたイタリアンレストランでいただいた料理は絶品で、今なお鮮やかに記憶に残っています。

旅立った直江さん、浅野さん

この15年間に、皆さまの元に伺っていた二人の大切な仲間が旅立ちました。

福島での活動に尽力した3代目の東北事務所長の直江篤志さんは2018年7月、赴任先のザンビアでマラリアに罹り、帰らぬ人となりました。写真を撮ることが好きで、プロ級の腕前だった直江さんの写真には、被写体の方々がいつも自然な表情で写っていました。「どうしてこんなにも自然体の写真が撮れるのですか」と尋ねると、「自分の存在を消すのです」と答えていたのを思い出します。支援の場でも同じように、自分を前に出さず、黒子に徹し、被災された方の思いに寄り添う姿勢で、一つひとつの支援に丁寧に向き合っていました。

向かい合って談笑する女性とAARスタッフ(直江さん)

福島県から関東に避難している方を訪問する直江さん=2011年12月

カメラを向いて笑う子ども

直江さんがザンビアで撮影した子どもたち=2015年8月

2022年に逝去された浅野武治さんは朗らかでいながら、人一倍の細やかな気遣いのできる方でした。避難所や仮設住宅でのイベント、福祉事業所の支援のほか、避難を余儀なくされた福島県の子どもたちを連れて野外活動をするなど幅広く活躍されました。

調理師免許を持つ浅野さんが、支援の一環として岩手県の福祉作業所の皆さんとともに作り上げた授産品「トマさんソース」は、複数のコンクールで評価され、今も販売されています。

事務所で打ち合わせする男女。机の上にはとまさんソース

施設職員と『トマさんソース』についての打ち合わせ。右が浅野さん

お二人のことをご存知の方が、もしこの記事を読んで思い出してくださったなら、これほどうれしいことはありません。

震災から15年。その年月をどのように感じておられるかは、皆さまそれぞれ異なるものだと思います。厳しい道のりを歩んでこられた皆さまに、心より深い敬意を表します。

AARは東日本大震災の被災地の支援を続けています。15年前と同じ規模の支援とはいかないかもしれませんが、お困りのことがありましたら、どうか遠慮なくご連絡ください。寒さ厳しき折、どうか皆さまが少しでも穏やかな日々を過ごされていますよう、心よりお祈り申し上げます。

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とまさんソース4缶
AARが開発を支援した岩手県大船渡市の非営利型一般社団法人かたつむりの「トマさんソース」。岩手県大船渡市の特産品である「さんま」と、地元産の高糖度ミニトマト「赤崎元服とまと」を組み合わせて作られた万能ソースです。ミートソース風、カレー味、グリーンカレー味、ほうれん草カレー味の4種類。

かたつむりのオンラインショップでご購入いただけるほか、大船渡市のふるさと納税の返礼品にもなっています。


坂瀬 亜季子SAKASE Akiko東京事務局支援事業部

2010年入職。東京事務局にてハイチおよびザンビア事業を担当。2011年より東北事業に携わり、2013年3月から3年間、東北事務所長を務める

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