サラームアレークン(タジキスタンの公用語・タジク語でこんにちは)!
駐在員の堀尾麗華です。赴任地での楽しみの1つといえば食文化を知ること。中央アジアの主食、丸く平たいパン「ノン」は、スープやサラダにはもちろんのこと、パスタやオッシュと呼ばれるピラフなどの主食とともに食卓に並ぶほどの、まさにタジキスタンの人々にとっての「ソウルフード」。 その昔、現地職員が研修で訪日した際「ノンが見つからない!」とひと騒動が起きたとか。海外で日本米を恋しくなる私たちと同じ感覚でしょうか。そんな彼らが愛してやまない「ノン」の魅力とレシピを紹介します。
中央アジアで広く親しまれる「ノン」は、地域によって特徴があります。事業の関係でたびたび訪れた、首都ドゥシャンベから東へ約190kmに位置するラシュトの「ご当地ノン」は、何といってもそのサイズ。とにかく大きいです。
ノンを食べるときは、手でちぎってみんなでシェアをします。食べきれなくても決して廃棄せず、家畜の餌にしたり、生活困窮者に渡したりします。生活困窮者は、そのノンを農家の人などに売って現金収入にするそう。約30年前、5年間ほど内戦下にあったタジキスタンでは、食糧難を経験した人も多く、ノンをはじめ食への敬意が随所で見られます。
タジク料理に欠かせないパンにはノン以外にも、牛乳、小麦粉、水を混ぜた「クルチャ」、小麦粉とサラダ油を混ぜた「ファティール」があります。
そんなタジキスタンの人々が愛してやまない「ノン」、「クルチャ」、「ファティール」を、現地職員と一緒に作ってみました。窯がなくても、オーブンで作れます。
レシピはこちらから。自宅で過ごす時間が多くなった今、ぜひ皆さんもご家庭で作られてみてはいかがでしょうか。
ちなみに「ファティール」にはいくつか種類があり、今回作ったレシピはお茶と一緒にいただくお菓子用。タジキスタンの食事はお茶で始まり、お茶で終わります。紅茶や緑茶に砂糖をたっぷり加え、レモンを入れて飲むのがタジキスタン流。ミルクティーもよく飲まれ、現地職員が作ってくれました。なんと、砂糖ではなく少量の塩を加え、カップに注いだ後にバターを投入。そこにファティールをつけていただきました。(このミルクティー、バターを飲んでいるようで私の口には合いませんでした…。)
Let’s bake!
堀尾 麗華HORIO Reikaタジキスタン事務所
在ボツワナ日本国大使館、ユニセフネパール事務所で勤務後、2020年11月にAARに入職。英国の大学院で障がいと開発の修士号取得。趣味はヨガ。兵庫県出身