活動レポート
楽しく学校に通っているよ ! :カンボジア障がい児支援
2024年7月9日
©Yoshifumi Kawabata
カンボジアはインドシナ半島南部に位置する東南アジアの国です。
ベトナム戦争の余波で1970年代以降、ポル・ポト政権時代を含めて内戦や混乱が続きました。
現在は都市部を中心に経済発展が進む一方で、農村部では貧困が根強く残っています。
ページ内メニュー
面積 | 181,035平方キロメートル |
---|---|
人口 | 17.2百万人(2022年国連人口基金) |
首都 | プノンペン |
民族 | 人口の90%がカンボジア人(クメール人)とされている。 |
言語 | クメール語 |
宗教 | 仏教(一部少数民族はイスラム教) |
※出典:外務省ホームページ
カンボジアでは、教育環境が整っていなかったり、周囲の理解が得られないなどの理由で、障がいのある子どもたちの多くが学校に通えていません。政府はそのような状況の改善に向けて、障がい児教育に関する国家方針の制定や、障がい児教育を専門とする大学の設立など、制度の整備を進めています。しかし、インクルーシブな学習環境に必要な基準が示されていなかったり、具体的にどのような対策が必要かが分かりにくいなど、学校や教育の現場では多くの課題が残されています。
56%
障がい者の識字率は、
全国平均約80%に対して約56% ※1
60%
弱
15-19歳の障がい者のうち、60%弱が
未就学または小学校を修了していない ※2
©Yoshifumi Kawabata
AARの支援で歩行器を使って歩けるようになり、学校に通って学ぶチャリヤさん
障がいの有無にかかわらず、子どもたちが個々の特性やニーズに応じた配慮を受けながら一緒に学ぶインクルーシブ教育を推進しています。モデル地域では障がい児の教育支援体制の確立を目指した取り組みを継続し、その経験を他の地域にも伝えています。また、学校へのスロープやバリアフリートイレの設置や、教師への障がい研修などを行っています。
車いす工房では、障がい者のあるカンボジア人職員も働く。製造・配付・修理を一貫して行う。
AARが1994年から運営してきた車いす工房は、2006年に現地NGOとして独立しました。工房では、カンボジアでも入手可能な資材を使って車いすや歩行器などの補助具を製造し、障がい者に無償で配付しています。配付時には、簡単なリハビリや家族への介護指導、専門機関の情報提供などのサポートも行っています。AARは運営団体への資金的な支援だけでなく、事業運営や財政管理などの職員の能力強化をサポートしています。
1993年~1996年
子どもたちへ
文房具などを配付
手作りのポシェットに生活用品や文房具類を入れて現地の子どもたちに贈る「愛のポシェット」運動を実施。
1996年~1999年
地雷除去活動を支援
イギリスの地雷除去専門団体「ヘイロー・トラスト」と協力し、カンボジアでの地雷除去活動を実施。
1993年~2011年
障がい者のための
職業訓練校を運営・支援
障がい者が縫製、バイク修理、ITなどの技術を習得し、就労につながるように支援。
「友だちができ、
字が
読めるようになりました」
ソティアラくん(10歳)
息子は生まれつきいくつかの障がいがあり、学校に通ったことがありませんでした。しかし、AARの支援や先生・地域の人々の協力によって、今では学校に通えるようになり、友だちと楽しい時間を過ごしています。以前よりも発話が明確になり、文字も少しずつ読めるようになっています。また、補装具を使わずに歩ける距離が長くなり、トイレにもひとりで行けるようになりました。(両親へのインタビューより)
「工房で働けることが
何よりもうれしい」
ピンさん(55歳)
生まれつき左足に内反足の障がいがあります。AARが運営していた職業訓練校で裁縫技術を学び、今はAARが設立した車いす工房(2006年に現地NGOとして独立)で働いています。製造スタッフとして、車いすにつける座席カバーなどを作っています。