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スタッフ日記[国際協力の現場から]

不便だけど楽しい「アフリカ僻地生活」:ザンビア・メヘバ事務所

2024年10月31日

日本からおよそ1万3000㎞! 数あるAARの海外事務所の中で、最も遠く、僻地にあるのがザンビアのメヘバ事務所です。AARは1984年から2004年までこの土地で、アンゴラやルワンダなど、隣国から逃れてきた難民の支援を続け、2017年からは、難民や定住を決めた「元難民」を対象とした教育支援などに取り組んでいます。

2024年現在、歴史ある地で支援活動を担当するのは、北海道出身の小林鮎実駐在員。とても不便だけど、のんびり温かい。そんな現地生活の様子をリポートします。

(※メヘバでの事業活動の様子はこちらから)

長旅を経て赴任地へ

みなさん、こんにちは!2024年8月にケニアのカクマ事務所から、メヘバ事務所へ異動した小林です。ケニアのカクマも遠かったですが、日本からメヘバへの道のりもなかなかの長旅でした。成田から15時間のフライトでエチオピアのアディスアベバへ行き、そこからさらに4時間飛んでザンビアの首都ルサカに到着。ルサカから国内線に乗り換え、1時間半かけてソルウェジへ。最後に車で2時間、土埃の舞うガタガタ道をゆっくり進んで、やっとメヘバに到着しました。

東京23区と同じくらいの面積のメヘバは、もともと周辺国から逃れてきた難民が集まり、1971年に形成された「難民居住地」でした。しかし50年以上の月日の中で、この土地への定住を決めた人々もいるため、今では「元難民」の「再定住地」とも言えます。草木がまばらに生えた平地に点在する集落には、2階建て以上の建物はなく、お店や住居のほとんどはレンガや土壁、トタン屋根や藁ぶき屋根でできています。

赤土の土地に何本か気が生えていて、子どもが4人歩いている

「メへバ難民居住地」の日常。のんびりとした時間が流れています=2024年8月

太陽光と井戸が生活基盤

インフラはほとんど未整備で、私が住む事務所兼住居も電気・水道が通っていません。電気はもっぱら、屋根に設置したソーラーパネルで賄っていて、緊急時用に発電機を備えています。メヘバは快晴の日が多いですが、強風が吹くことも多く、舞い上がった土埃がソーラーパネルに積もることもしばしば。発電量がぐっと減るので、その都度屋根に上り、パネルをモップで水拭きしています。

水の確保も大変です。飲み水は車で2時間離れたスーパーまで買いに行き、それ以外の生活用水は、10分ほど離れた井戸からトラックで運び、大きなバケツにためて使っています。水汲みは重労働なので使い過ぎには注意。シャワーを浴びるときは、タライに溜めた水を、手桶で汲んで体を洗います。もちろん、給湯器はありません。昼間や筋トレ後は冷たい水で気持ち良く入浴しますが、冷え込む朝晩は鍋で沸かしたお湯を水と混ぜて使っています。

レンガ造りの平屋建ての建物の屋根の上で、男性がモップでソーラーパネルを掃除している。その様子を数人の女性が下から見守っている。

メヘバでは、事務所屋根に上りソーラーパネルを掃除するのも大事な仕事です=2024年8月

素朴でかわいい「メヘバグルメ」

事務所を一歩出れば、ニワトリやヤギ、ブタが子どもたちと一緒に、通りを歩き回っています。5分ほど歩くと露店が集まったマーケットがあり、食材はそこで調達します。青果は玉ねぎ、トマト、葉もの野菜、運が良ければバナナやリンゴが手に入ります。一方、私が気になる人参、きゅうり、キノコ、いちごなどはいくら探してもありません。

ケニアのカクマと比べると、品ぞろえは半分程度。ちょっと残念に思っていたら先日、私の大好物の「チャパティ&エッグ」が売っているのを見つけてビックリ、舞い上がるような気持ちになりました。これは、薄く焼いた小麦粉の生地に、卵やキャベツ、トマト、マヨネーズ、チリソースなどを乗せてロールにしたストリートフード。高カロリーで背徳感がありますが、とても美味しく、80円くらいでお腹がいっぱいになります。なにより前任地のケニアでも食べていた好物。あとから振り返れば、人生の思い出の味になることは間違いありません。

鉄板の上で、黄色い生地にキャベツやトマトがのったお好み焼きに似た食べ物が焼かれている。

メヘバで再会した私のお気に入り「チャパティ&エッグ」

市場ではほかにも、5円ほどで買えるさつまいものフライ、小さな揚げパンの「フリッター」、おばさんたちがバケツに入れて売っている「メヘバパン」(駐在員の間でそう呼んでいます)などが手に入り、素朴でかわいらしいグルメを楽しんでいます。特産品の「メヘバ米」も、日本のお米に似てふっくらして美味しいです。ちなみに平日昼の「サラメシ」は、現地スタッフが、トウモロコシの粉をお湯で練って作った「シマ」と呼ばれる主食を食べます。特に、トマトスープとの相性が素晴らしいです。

青空の下、赤土の広場に簡素な屋根がついた露店が並んでいる。野菜などが売られ、赤や緑などカラフルな服を着た女性が歩いている。

メヘバ生活を支える露店マーケット

日本から遠く、不便なこともたくさんありますが、雄大な自然の中での生活が気に入っています。特にアフリカの大地に沈みゆく真っ赤な夕日と、紫や青色のグラデーションに染まる空は息をのむ美しさです。そんな時、近くの教会から太鼓の音や子どもたちの派手な合唱が聞こえてきて、時間の流れを感じます。

メヘバにはほかでは味わえない自然や発見、現地の人たちとの温かい交流があります。ここでの生活が楽しく、そして誇らしく感じる今日この頃です。

レンガ造りの塀の向こうの空が、紫色から赤色に変化しながら色づいている。

事務所から見た、夕焼けに染まるメヘバの空

小林 鮎実KOBAYASHI Ayumi

大学在学中、学生ボランティアとしてケニア・ウガンダに滞在した。卒業後、民間企業勤務を経て2023年1月AARに入職。約1年間ケニアで勤務後、2024年8月よりザンビア・メヘバ駐在。北海道出身

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