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スタッフ日記[国際協力の現場から]

4言語プラスαが飛び交う職場で:トルコ

2022年1月31日

どこに赴任するにも、多くの駐在員にとって悩みの種となるのが、言語の問題ではないでしょうか。仕事は英語で済むとはいえ、例えば市場での買い物やタクシーに乗るとき…現地の人々が使っている言語が必要になります。多言語が飛び交うトルコ・イスタンブール事務所の日常を、駐在員の小島秀亮が紹介します。

高層ビルが立ち並ぶイスタンブール。ビル群の近くには川が流れる。夕焼けが建物を包んでいる

国内最大の都市で経済・文化・歴史の中心地、イスタンブール。事務所は市郊外に位置し、人々の生活感あふれる雰囲気が漂います


トルコの公用語は、トルコ語です。駐在するイスタンブールでは比較的多くの人が英語を話せますが、地方では多くの場合トルコ語しか通用しません。日本で日本語以外が通じにくいのと似ていますね。

ただ、2011年のシリア危機勃発以降、約360万人のシリア難民を受け入れているトルコでは、イスタンブールの街中でも大多数のシリア人が話すアラビア語を耳にする機会がたくさんあります。シリア国境に近い地域では、その割合はより高くなります。

4人とも男性。屋外のテラスで談笑中の一コマ

ともに働く仲間。左から、シリア人のモアッタズ、トルコ人のジャン、小島、そしてトルコ人のヤクップ

イスタンブール事務所では、日本、トルコ、そしてシリアの3つの国籍プラスαの職員がともに仕事をしています。全職員での会議の際などは英語を使いますが、小さなグループに分かれれば、それぞれが話しやすい言語で会話が始まります。たとえば、1. 英語(全員の共通語)、2. 日本語(駐在員同士)、3. トルコ語(トルコ人同士、トルコ人・シリア人の間)、4. アラビア語(シリア人同士)といった具合です。

そして「プラスα」がクルド語です。クルド人は、「国を持たない最大の民族」と言われるように、自らの国家を持つことなくトルコやシリア、イラクなどに点在し、それぞれの生活圏で少数民族として暮らしています。

2冊が公園のベンチに置かれている

アラビア語の辞書とトルコ語の学習書

AARスタッフの中には、クルド系トルコ人やクルド系シリア人も多くいます。彼らは全員、クルド語のほかに、トルコ語とアラビア語を話せるので、クルド語を聞く機会はあまりありません(記事タイトルを「5言語」ではなく「4プラスα」にしたのは、こんな理由でした)。

さて、自他ともに認める「語学おたく」の私は、「まずはトルコ語をどうにかしなくては!」と夜な夜な家で勉強しつつ、仕事の休憩時間には、シリア人スタッフからアラビア語を、トルコ人スタッフからはトルコ語を習い、ゆくゆくはクルド語も…などと企んでいます。ここでは、インターネット上でも情報が少ない、アラビア語とクルド語のフレーズを、トルコ語と併せていくつかご紹介しましょう。


日本語 トルコ語 アラビア語 クルド語
こんにちは Merhaba!
メルハバ
مرحبأ
マルハバン
Raj baş.
ラジュバシュ
ありがとう Teşekkürler!
テシェキュルレル
شكرأ
シュクラン
Spas.
スパース
元気ですか? Nasılsın?
ナスルスン
كيف الحال؟
キーフルハール
Çawa yî?

チャワイィ

元気です İyiyim
イイイム
كويس
クワイエス
Baş im.
バシュム
美味しい Güzel
ギュゼル
طيب
タイイブ
Xweşe.
ハシェ
お腹すいた Ben acıktım.
ベン アジュクトゥム
أنا جوعان/جوعانة
アナジャウアーン(男)
アナジャウアーナ(女)
Ez birçîme.
エズ ブルチーメ

さらに、現地スタッフが厳選した3言語の諺をご紹介します。私と同じように、読者の中にも「語学おたく」が一定数いることを願いつつ…。


▼トルコ語 Damlaya damlaya göl olur.

(ダムラヤ・ダムラヤ・ギョル・オルル)

諺にちなみ、湖の画像

「一滴一滴が湖になる」

日本語の諺「塵も積もれば山となる」に該当します。これはわかりやすいですね。


▼アラビア語 إذا كان صاحبك عسل لا تلحسو كلو

(イザー・カーナ・サーヒブカ・アスィル・ラー・タルハスー・クッルー)

ハチミツの画像

「もしあなたの友だちがはちみつなら舐め尽くすことなかれ」

日本の諺で強いて言うなら「親しき中にも礼儀あり」や「仏の顔も三度まで」でしょうか。すごく親切でいつも優しい友達がいたとしても、その善意や優しさを良いように利用し過ぎると、いつかはその優しさも枯渇してしまう、善意に頼りすぎるなという教訓です。


▼クルド語 Şêr şêre, çi jine, çi mêre

(シェール・シェーレ・チジーネ・チメーレ)

ライオンの画像

「オスもメスも関係なくライオンはライオンである」

この諺に匹敵する日本の諺は思い浮かびません。ここでのライオンは「勇敢な者」を表しています。つまり、勇敢な人に男も女も関係ない、勇気のある行動をする人は性別に関係なく存在するということです(これを同僚から聞いたとき、クルド人に男女平等の考え方が進んでいると驚きました)。


3つとも全く違う言語なのに、どことなく日本語と似た言い回しがあるのが面白いですね。どの言語でも「教訓」になり得ることは共通しているのでしょうか。皆さんがほんの少しでも、トルコ、シリア、そしてクルドを身近に感じていただけていたら嬉しいです。

事務所で撮影。ハリルと佐伯が仲良く並んでいる

クルド語の諺を教えてくれたトルコ事務所代表のハリルとイスタンブール事務所代表の佐伯美苗

どの言語も難しくなかなか上達しませんが、仕事をしながら好きなことを学べるのは大変嬉しい環境です。亀の歩みのようではありますが、少しずつ話せる言葉を増やし、いずれは難民の方々と簡単な事柄だけでも直接コミュニケーションをとれるようになりたいと、単語の暗記に勤しむ毎日です。

チャイとキュネフェが写っている。キュネフェはパンケーキに生クリームが乗ったようなデザート

トルコでは欠かせないチャイ(お茶)とデザートの一種キュネフェで一休み…


小島 秀亮KOJIMA Hideakiトルコ・イスタンブール事務所

大学院在学中に「国家の枠組みの外に置かれた人々」に関心を持ち始める。台湾のNGOやフランスの日本国総領事館での勤務を経て2021年にAAR入職。趣味は旅行と語学とトランペット。栃木県出身

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