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スタッフ日記[国際協力の現場から]

山々を馬の背に揺られて:タジキスタン

2022年4月25日

標高4,000~7,000メートルの山々が連なり、国土の90%を山岳地帯が占める――そんな大自然に恵まれた中央アジアの内陸国タジキスタンでは、馬は身近な動物の一種です。馬をこよなく愛する現地職員とともに楽しんだ乗馬体験を、駐在員の東マリ子がお届けします。

山の連なりが遠くに見える田舎道を馬にまたがって進む東

首都ドゥシャンベ郊外の田舎道を行く東(中央)


現地職員や彼の友人らと一緒に市郊外の馬屋を訪れると、馬の世話人があらかじめ準備してくれた馬が待ちかまえていました。早速馬にまたがり、山に向かってパカパカと歩を進めます。中心部の喧騒から逃れ、馬の背に揺られて田舎道を通るのは、とても気持ちがいいものでした。

笑顔で乗馬する東

現地職員の友人が所有する馬屋を訪れ、乗馬を楽しむ東(左)

概して大人しい性格と言われる馬ですが、生き物ですので我々人間のように感情があり、性格もそれぞれ異なります。馬と信頼関係を築けなければ、思うように馬を操ることはできませんし、馬はこちらが初心者だと分かると、指示に従わないこともあります。現地職員たちは時々馬を威嚇するような声を出して、主人は人間側であることを理解させようとします。

確かに、以前タジキスタンの隣国キルギスで友人と乗馬した際、私だけが暴れ馬に当たり何度も振り落とされそうになった…そんな苦い思い出があります。あれは馬になめられてしまっていたのですね。そんなわけで、私は3才くらいの若い馬へ、経験豊富な現地職員や彼の友人は、立派な体格の大人の馬に乗ります。

馬に寄り添う東

休憩中…。人口100万人を数える首都ドゥシャンベでは、市中心部の馬の走行は禁止されています

馬を止まらせたり、方向転換させたりする時は手綱を引くだけでよいのですが、これがなかなかうまくいきません。おそらく手綱の引き方がわるいのでしょう。思った方向に進むことができません。

また、スピードを上げたいときは馬の脇腹を足で蹴るのですが、足を掛ける鐙(あぶみ)が足首に当たって痛く、うまく蹴ることができません。もっと言えば、馬の背の鞍(くら)にずっと座るとお尻も痛くなり…。自由自在に馬を操れるようになるには、相当な経験を積む必要があるのだと痛感しました。

馬の後ろ姿

さようなら、私のお馬さん…

乗馬体験を続けていたある日、私の馬が急にペースダウンしてしまいました。足で蹴っても効果はあまりなく、疲労か空腹だろうと考えていたのですが、どうやら病気だったらしく、その後売却されてしまいました。そのため、私の乗馬はしばらくお休み中です。次のシーズンには乗馬を再開し、華麗に乗りこなせるようになった暁にまたスタッフ日記でご報告できればと思います。それでは皆様、ハイール(タジク語で「さようなら」)!


おまけの「馬」話

中央アジアには、数世紀以前から行われている「ブズカシ」というポロのような競技があります。語源はペルシャ語の「ヤギ(Buz)」と「引きずる(Kashi)」です。頭を切り落としたヤギの胴体をボール代わりにし、より長く保持するか、ゴールまで運べば勝ちです。

元々は戦闘訓練だったものが競技へと変わったという説があります。年に数回大きな大会があり、勝者には現金、車、家畜などの豪華景品が贈られるため、参加者たちは相当真剣です。非常に激しい競技で、観戦者は大盛り上がり。

現地職員から最初に聞いた時、「ムズカシィ?日本語??」と頭にはてなマークが浮かびましたが、彼らは彼らで「日本人の駐在員間でよく『ブズカシ』と話しているようだけど、どういう意味なんだろう?」と思っていたようです(笑)。

※ポロ:乗馬を伴う団体球技で、世界で最も古い歴史をもつ。紀元前6世紀のペルシャを起源とし、欧州を中心に普及。乗馬人口が少ない日本ではあまり知られていない。


東 マリ子HIGASHI Marikoタジキスタン事務所

民間企業や在ロシア日本国大使館での勤務を経て、2021年にAAR入職。同年7月よりタジキスタン事務所駐在。趣味は音楽鑑賞とスポーツ観戦。青森県出身

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