東南アジアの内陸国ラオス中部で8月上旬から続いた大雨によって、16県70郡800村で、洪水や土砂崩れが発生し、約5万人が被災しました。特に農地や家畜、道路の被害が大きく、被災住民は不安な日々を過ごしています。AAR Japan[難民を助ける会]は食料配付など緊急支援を開始しました。AARラオス事務所の山本慶史が現地から報告します。
首都ビエンチャンから空路で約1時間。メコン川沿いに位置する同国中部サワンナケート県の県都カイソーン・ポムウィハーン郡に8日到着しました。同県では14郡のうち10郡が被災したといい、国内線の機内からも洪水や冠水の爪痕が確認できました。
まず、ラオス人職員のケオとともに、農地被害が大きかったベトナム国境近くの同県ウィラブリー郡に入り、被災した農家など住民67世帯(434人)にコメや即席めん、飲料水を届けました。
現地の空港からピックアップトラックでウィラブリー郡まで8時間かかりました。舗装道路は途中までしかなく、残りの2~3時間は大雨で赤茶色にぬかるんだ水溜まりや泥道をゆっくりと進みました。途中でコメをたくさん積み込んだため、ぬかるみにはまらないか心配でしたが、何とか無事に到着し、仕分け作業には現地の行政職員、商店の人、レンタカーのドライバーなど皆が手伝ってくれました。
行政幹部の説明によると、同郡内のサイニャラ、ナモン、ノンカパーン3村では、農地に深刻な被害が出たにも関わらず、行政も国際機関の支援も入っていませんでした。ラオスは国民の7割以上が農業に従事しており、3村の人口約1,600人のほとんどは農家です。一家族が4~13人と大きく、市場に出荷するというより、自分たちで食べるためにコメ作りをしています。しかし、8月上旬の洪水の2週間前にも河川氾濫があり、多くの田畑が台無しになってしまったそうです。10~11月の収穫時期を目前にしていただけに、住民の落胆は大きかったといいます。
同郡サイニャラ村の寺院で配付した支援物資は、一世帯あたりコメ15キロ約1,800円)、即席めん15袋、ペットボトル飲料水24本です。村長たちから「遠い日本からわざわざ支援してもらい、村人一同感謝しています」との言葉があり、山本からは「災害の多い日本では、災害は他人事ではありません。日本の皆さんからの支援で今回物資をお届けしました。少しでもラオスのみなさんの助けになれば幸いです」とお伝えしました。
夫と子供2人の4人家族のナンさん(54歳)は、田畑が全て冠水してまい、コメもキャッサバもダメになったといいます。「おコメは家族で食べるために、キャッサバは生計の足しにしていたので、どちらも失ってどうすればいいのかわからない」と嘆きつつ、「こうして日本の方々に助けてもらって感謝しています」と手を合わせてくれました。
余談ながら、AARラオス事務所会計担当のバニーダはサワンナケート県出身。「故郷のために支援してくれて、日本の皆さん、本当にありがとうございます」と話しています。AARのラオス洪水被災者緊急支援へのご協力をどうぞよろしくお願い申し上げます。
山本 慶史YAMAMOTO Yoshinobuラオス・ビエンチャン事務所
全国紙、地方紙記者を経て2023年2月にAARに入職、同年3月からラオス・ビエンチャン事務所駐在