「非常用テントでは、とても冬を越せそうにありません……」。アフガニスタン西部で10月7日以降に発生した地震では、多数の建物が倒壊し、被災者はがれきと化した村で不安と絶望の日々を過ごしています。AAR Japan[難民を助ける会]カブール事務所の現地職員がこのほど大きな被害を受けたヘラート州に入り、支援物資配付に向けた調査を開始しました。被災地の様子を報告します。
![瓦礫の上で作業する住民6人。写真中央には子どもが立っている](https://aarjapan.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/10/アフガン地震1.jpg)
全壊した家の下から家財道具を重機で掘り出す作業を見守る村人たち=アフガニスタン西部ヘラート州のシヤ・アーブ村で10月26日
首都カブールの西方約650キロ、イランと国境を接するヘラート州では、10月7日の2回の大地震に続き、11日と15日にもマグニチュード6超の地震が発生しました。現地の実権を掌握しているイスラム主義勢力タリバンは、地震直後に死者は2,400人以上と発表。国連人道問題調整事務所(UNOCHA)によると、同州では7日の地震だけで死者1480人、約2000人の負傷者が出ており、その半数以上は倒壊した家の下敷きになった女性と子どもたちです。
![瓦礫の中に門扉だけそのまま残っている写真](https://aarjapan.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/10/アフガン地震2.jpg)
門扉だけを残して跡形もなく全壊した家屋
AAR職員が訪れた同州ジンダジャーン地区のシヤ・アーブ村は震源に近く、ほとんどの家が崩壊し、村が丸ごと消えていました。門扉だけを残して全壊した家、木立の他は何も立っていないエリア……震災後だいぶ経ってから到着したブルドーザーが、がれきに埋もれた家財道具を掘り起こす様子を、不安そうに見守る村人たちの姿もありました。
![被災者のテントが立ち並ぶ様子](https://aarjapan.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/10/アフガン地震3.jpg)
集落の近くに建て並べられた非常用テント群
家を失った人々は今、援助団体が支給した非常用テントで暮らしていますが、簡易なテントでは、床にじゅうたんを敷いても寒さを十分しのぐことはできません。村人のひとりは「もうすぐ厳しい冬がやって来ますが、幼い子どもたちを抱えて、食料も毛布も何もかも足りません。これ以上はとても耐えられそうにありません」と訴えます。地震で母親を失った子どもたちも多く、裸足で外を歩いている姿を見かけました。
![被災した子ども3人の写真](https://aarjapan.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/10/アフガン地震4.jpg)
非常用テントで暮らす子どもたち。母親を地震で亡くした子も多いという
シャムスディンさん一家は貧しいながらも5人家族が仲良く暮らし、震災の1カ月前に男の子が生まれたばかりでした。そのお祝い気分もつかの間、小さな石造りの家が倒壊し、妻と赤ちゃんが亡くなってしまいました。「夫として親として、こんなにつらいことはありません。今は5歳の息子、4歳の娘の世話をしながら仮設テントで過ごしています。これから厳しい冬がやってくるので、まずは食料、そして安心できる住まいが必要です。残された子どもたちがほんとうに心配です」
![テントの前で、被災した男性に話を聞くAAR職員](https://aarjapan.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/10/9.jpg)
シャムスディンさん(左)に話を聞くAARカブール事務所職員
高齢のアフマドさんは3世代17人の大家族の家長でしたが、娘3人と孫4人の命が奪われました。「私たちは何もかも失った。家財道具もがれきに埋もれたままだ。同じ村に住む親せきの家も軒並み壊れてしまって、誰にも頼ることができない。まず食料が必要です」。また、冬を越すための住まいや衣服、生活用品が必要だと訴えます。
![白いテントの前に立つ二人の男性と2人の子ども](https://aarjapan.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2023/10/10.jpg)
アフマドさん(左)と一緒に避難生活を送る孫たち
AARは現地調査で把握した被災者のニーズに基づき、小麦粉や油、米、豆、砂糖、そして毛布やせっけんなど必要な物資を調達して、11月から1,260世帯に配付する予定です。当会は長年にわたって、アフガニスタンで地雷対策や国内避難民、災害被災者支援に取り組んできた実績があります。AARのアフガニスタン被災者支援へのご協力をお願い申し上げます。
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